一応、化学科出身の中小企業経営者が思うwithコロナの世界


このブログでも何度か書いているが、私は一応、大学は化学科を出ている。

とは言え、高校時分「化学だけ」しか得意でなかったので、結果的には三流大学の化学科にしか入れなかったのだが、当時は「化学者・研究者」を目指し、特にバイオテクノロジー分野に興味があったため、その方面の授業だけはわりと真面目に聞いていた。

そんな25年以上前で止まっている知識ではあるものの・・・

新型コロナのワクチン開発については非常に懐疑的である

完成はするだろうが、皆が期待するほどのものではない。と思っている。

ちょっと小難しい話になるが、生物にはDNAとRNAというものがある。

DNAは生物の設計図のようなもので、それをもとに細胞がコピーされる。

こんなものを見たことがある人も多いだろう。

二本の鎖が相対していて、原則的に目の前のものと同じ配列になっている。

わざわざ2つあるため「コピー」をする時にどこかが間違った場合、それに気づきやすい。

目の前のものが異なっていれば、それは「異常」ということで、そのDNAを含んだ細胞は自然に消滅する。

対して、コロナウィルスなどの「ウィルス」はRNAと言って、DNAのように2本ではなく1本の鎖しかない。(例外もあるが、ここでは話をシンプルにするために1本ということで)

そのため、コピーをする時に「異常=突然変異」があっても、目の前に「見本」がないから、それを修正せずに生き残る。

つまり「マイナーチェンジ」が起こりやすい。



当時の教授がこう言っていた。

風邪(コロナを含む)のウィルスはRNAレベルでとにかく凄いスピードで亜流が生まれるので、ワクチンを開発しても、

キリがない

と。

実際、新型コロナも既に3つの種類が存在すると言われており、それら全てに共通するワクチンが出来れば良いが、それすら「完成した頃」には、また違うタイプが出てくる可能性は否定できない。

ちなみに、今回の件でお客様であるドクターや、薬の研究をしていた経験を持つ友人などに話を聞いてみたが、ワクチンとウィルスとの関係は、25年前と変わっておらず、私と同じような見立てをする人が多かった。

もちろん創薬技術は急速に進歩しているので、画期的なワクチンや、新型コロナに罹患しても症状を劇的に緩和する薬(インフルエンザにおけるタミフルのようなもの)が出来る可能性もある。

だがそれでも、新しいタイプや、薬に耐性を持ったタイプが出てくるリスクは常にあるので、新型コロナを「一族もろとも」撲滅することは出来ないだろう。

何が言いたいのかと言えば、

待っていても「何か」が救ってくれるわけではない

ということ。



インフルエンザより厄介な「風邪」がある。

その存在を認めて、それを前提に前にすすむしかない。

今の自粛もどこかで解除せざるを得ず、長くてもあと2,3ヵ月が限界だろう。

かと言って、皆が元通りの生活をすれば、あっという間に感染爆発。

下手をすればNYのようになりかねない。

また、短期的に日本だけ、アメリカだけ、など「エリア限定」でおさまったとしても、人が国をまたいで自由に動き出せるまでには相当な時間がかかる。

それに、今回のことで「人との距離感」も変わった。

他人のちょっとした咳にも敏感になり、家族や恋人などでなければ、近距離でのコミュニケーションに多くの人が抵抗感を示す世の中になるのではないか?

やはり、withコロナの世界は、以前と似てはいるものの「ちょっと違う」景色になると思う。



反面、今回のことをきっかけとして、多くの企業でテレワークが推進され、結果的に生産性は確実に向上。

学校の現場でも、オンライン学習なども解禁される風潮で、従来の「教育」がその形を大きく変えようとしている。

つまり「良かったこと(生産性・効率化)」も多い。

だからこそ、緊急事態宣言解除後は、より生産性・効率化をアップして、人の活動を抑えつつ、以前の経済活動と同レベルを目指すことが求められる。

それでも実際のところ以前の8割程度を維持するのががせいぜいだと思うが、その8割であっても、その代償として少なくない人が新型コロナで亡くなることになるだろう。

経済活動の活発化と、コロナの死亡者数は常に比例してしまうので、残念ながらこれは仕方ないことである。

日本では、

・インフルエンザで年間約2~3千人が亡くなっている

・肺炎で年間13万人が亡くなっている

という「事実」があるが、これに

・コロナで数千人~1万人が亡くなる

という新しい「事実」が加わることになる。

経済活動の再開と引き換えに、一定数の死亡を許容する。

withコロナの世界の入り口にはそんな「踏み絵」がある。

私個人としては、既にその絵を踏む覚悟をしている。

その犠牲者がたとえ自分自身や、大切な家族であったとしても、冒頭で書いた通り救世主が現れる可能性は低いのだから。

それはワクチンも治療薬もあるインフルエンザですら、年間数千人の犠牲者が出ていることが物語っている。

だったら手洗い、密集を避けるなどの「やるべきこと」をやった上で、withコロナの世界を生きるしかない。

本日のコラムでした。



 

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4月 29th, 2020 by