FPが探る 国会議員 「給与の手残り」


先日、国会議員の期末手当(ボーナス)が支給された。

その額なんと309万円。

毎月のお給料である「歳費」はコロナ禍を理由に2割減となっているが、その他の手当てはほとんど無傷である(年末期末も10万円ばかりの微減で乗り越えた)

ロクな補償もせずに民間に自粛ばかりを求めているくせに、自分たちは税金を貰いまくり、痛みとは一切無縁。

そんな姿勢に、庶民からは

マジ、ふざけんなよ・・・

と怨嗟の声が上がっている。




そこで本日は、人の財布を探らせたらピカイチの私FP加藤が、

国会議員の給与と、実際の手残り

を考察してみた。

まずは、国会議員の給料の「額面」を見てみよう。

・歳費(給与)          129万4,000円/月
・期末手当(ボーナス)      635万円(年2回に分けて支給)

           年合計 2,172万円

更に「経費的」な扱いとして、以下の2つが支給されている。

・文書通信交通滞在費 100万円/月(年間1,200万円) 
・立法事務費                  65万円/月(年間780万円)

合計 1,980万円

         総合計 4,152万円

これが全議員に共通した収入。

なお、前述の通り、歳費に関しては、現在、コロナを理由に2割減となっているので、129万円が103万円前後になっている。

毎月26万円、年間312万円の減収となるが、それでも4,152万円が3,840万円になるだけなので、全体からすれば7.5%程度しか減っていない。

このような数字を見れば、

国民向けのポーズ

と思われても仕方がないだろう。

では、上記の収入の「手残り」はどんな具合だろうか?

実際のところ、額面よりは実際に手元に残るお金の方が大事で、これが生活に直結してくる。

歳費と期末手当の合計2,172万円は給与所得なので、実際の手残りを計算すると、ざっと1,330万円前後かと思われる(家族構成によっても異なる)

次に文書通信交通滞在費(以下、文書)

なんとこれ非課税。そして領収書の提出も必要ない。

非課税ということは手残り率100%なので、100万円×12ヶ月=1,200万円がまるまる残る。

仮に手取り1,200万円を給与で実現しようとすれば、額面で2,000万円ちかい金額が必要になるので、この「非課税」はかなり美味しい。

更には領収書も必要ないので、個人で使うことも可能で、過去にはこのお金で不動産を買った猛者もいたそうだ。

実態としては、第二の給与と言える。

最後の立法事務費(以下、立法)は、これは議員個人というより、「会派」へ入るお金で、政治資金として団体に雑所得が課せられる。

実際にどの程度が残るかは分からないが、ほとんどの政治家が税金がかからないよう「使いきっている」と思われるので、こちらも「ほぼ非課税」だと思って良い。

つまり、

給与 1,330万円(コロナ歳費削減で現在は1,160万円くらい)
文書 1,200万円
立法    780万円

合計 3,310万円(現在は3,140万円)

が実際に使えるお金。

FPとしての経験で言わせて貰えば、ほとんどの国会議員が、

「給与(1,330万円)はまるまる嫁さんに渡して、文書、立法(1,980万円)が自分の小遣い」

という感じではないだろうか?

だからこそ、給与は削減されても良いが(嫁さんが嫌な顔をするだけ)、「俺の金」である文書・立法は死守したいのだろう。




また、政治家はこれ以外にも寄付や政治資金パーティーの会費などを集めており、自民党の大物政治家にもなれば、1億円、2億円くらいの収入がある。

逆に野党の議員は、結構名が売れている人でも3,4千万円レベルなので、逆に野党議員の方が給与への依存度は高いのかもしれない。

うがった見方をすれば、給与を下げられて困るのは野党で、自民党からすれば

「給与下げる?別にいいぜ。でも本当に良いの?野党の皆さん」

という感じなのかもしれない。

このあたりの阿吽の呼吸で、野党も歳費削減には触れないし、それを良いことに与党もダンマリを決めているのだろう。

しかし、こうして眺めてみると、実際に使えるお金は3,300万円くらいで、実態としては儲かっている中小企業の経営者の出費とさほど違わない。

あくまで個人的な意見だが、一国の運営を担う国会議員なのだから、これくらいの給料がないと恰好つかないだろう。

しかし、それは通常時の話。

コロナは未曽有の災害であり、こんな時くらい、ドカッと下げろよ・・・そう思う。

コロナに苦しむ庶民、その平均世帯年収は550万円。

ガースーも携帯会社ばかりいじめてないで、

我々も全議員年収550万円で1年やります!!

くらいのことを言えば格好良いのだが、まあ、言わないだろな。

本日のコラムでした。

 

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12月 13th, 2020 by