率直に言って驚いた。
2020年の出生数、2019年86.5万人に対し、2020年は85万人を下回る予想(過去最低)とのこと。
また、2020年は婚姻数も53.7万件と、前年に比べ7.8万件も少ない。
コロナにより結婚式を挙げられない、という事情もあるだろうが、婚姻数の低下・先延ばしは、そのまま出生数にも影響する。
そのため日本総合研究所の試算では、2021年の出生数は2020年と比べても更にマイナス7.5%、78.5万人まで減る見込み。
日本の出生率は2019年に1.36だったが、それが2020年に1.3台前半、そして2021年には1.3を割り込み、1.2台になる可能性が高いと言う。
出生率が1に近づけば、女性が生涯に平均1人の子供しか生まないということになり、つまり男女1組(大人2人)から1人の子供しか生まれないので、
一世代ごとに子供の数が半分になる
ということを表す。
なお余談ながら、2020年は死亡者数が11年ぶりに減った。
2019年は139.4万人の方が亡くなったのに対し、2020年は138.5万人と約9,000人ほど死亡者数が減少。
これは季節性インフルエンザによる死亡者数が減ったことが影響しているとのことで、コロナ禍は高齢者の寿命を伸ばして、新生児の数を減らすという、少子高齢化に拍車をかけたことになる。何とも皮肉な話だ。
本題に戻る。
出生数激減。
これらのことは、一見「コロナのせい」ではあるが、その本質は違う。
結局のところ、若い世代が感じる、国、社会、将来への絶望が反映されているのではないか?
・ああ、やっぱり国って何もしてくれないんだな・・・
・会社も社会も冷たいもんだな・・・
・こんな世の中で子供育てるって苦行じゃね?(親も子も)
元々そう思っていたのが、それがコロナで白日の下に晒された。
それが実態ではないかと思う。
ではどうすればよいのか。
本来なら国会議員が真剣に考えるべきテーマだが、会食に忙しいようなので、各家庭の現場を知るFPの私が「すぐにでも出来る少子化対策」を献策したい。
3つある。
1 保育料・学費無料・塾費用助成
2 子育て世帯の減税(控除枠の拡大)
3 医療費無償化の統一
少子化を解消するには、当然ながら子供を作ってもらうこと。これしかない。
そのためには「金と責任感」という2つの論点からハードルを低くする必要がある。
1 保育料・学費無料・塾費用助成
1については、既に一部は実現しているが、今の制度では所得制限が厳しすぎて全然ダメだ。
以前、当ブログでも取り上げたが(ここがヘンだよ!!大学無償化)、一番お金がかかる大学の費用などは、住民税非課税世帯、つまりほぼ生活保護レベルの家でないと無償にならない。
どこの家に行っても、教育に関する最大の悩みは「大学の費用」であり、
子供が生まれる=18年後の大学債務決定
と捉えている親は多い。
現在、大学生は約300万人ほどいる。
私立と国公立で学費は違うが(私立 100万円/年、国公立 60万円/年)、中間値を80万円/年とすれば、
300万人 × 80万円 = 2.4兆円
で無償化が実現できる。
もちろん相当な予算ではあるが、go toで2兆円も3兆円もばら撒けるのであれば、やってやれないことはないだろう。観光業も大事だが、それも観る「人」がいればこそだ。
まずは半額助成でも良いから、早くやるべきだ。
その他、小中高は当然無償化。更に教育格差を是正するために、塾の費用なども助成する(こちらは所得制限があっても良いと思うが)
「教育費なんてかからない」
そう思える世の中にするだけで、子供を持つ心理的ハードルはかなり下がる。
2 子育て世帯の減税(控除枠の拡大)
これも必要だろう。
現行制度では児童手当など、子育て世帯へ国から「給付」する仕組みとなっているが「くれてやる感」が凄い。
そして、それすら減らす方向である(児童手当廃止 本物の「スーパークレイジー君」は誰だ?)
別に「くれ」なくて良い。
減税すれば、同じことだ。
扶養控除を変える。
それだけでこれが実現できる。
現行制度では、子の扶養控除は
16歳~18歳 38万円(一般の控除対象扶養親族)
19歳~23歳 63万円(特定扶養親族)
となっている。
平たく言えば、高校生の子がいれば38万円、大学生だと63万円、これが世帯主の所得から控除される。
だが、以前から感じていた。
何で?
と。
FPの現場から見れば、中学生と高校生でかかるお金に差などない。
更に言うなら、子供が小さいうちこそ、一般論として親の所得が低いだろうから、その頃から控除してあげる方が優しい。
つまりは、子育て世帯には恒常的に控除枠を設けるべきだろう。
若い世代に、
子供を作れば税金がムチャクチャお得
という感覚を持ってもらうには、良い方法であると思う。
3 医療費無償化の統一
子供の医療費は、無償、一部負担、有償が、都道府県、自治体ごとに違う。
ルールとしては、通院と入院それぞれで
「原則〇歳まで無償」
という最低限のルールを都道府県が決め、更に自治体が「うちは〇歳まで無料です」と上乗せ部分を決める。
例えば東京の場合、就学前、つまり小学校1年生になるまでは通院、入院ともに無償だが、それ以降、何歳まで無償なのかは、各自治体(23区、市など)によって異なる。
実際のところ、中学卒業までは「ほぼタダ」というところが多いが、北区では更に高校生まで「入院はタダ(通院は一部負担)」となっているし、「日本のモナコ」と言われる千代田区では、高校生まで入院だけでなく、通院も無償だ。
一方、財政の厳しい地方自治体はかなりの塩対応。
通院、入院ともに就学前(6歳)まで、というような自治体もある。
それらの情報は厚労省のコチラのページにまとまっているので、もしご興味があればご覧頂きたいが、傾向としては西高東低で、東や北(北海道、東北など)に行けばいくほど、その財政を反映して条件が厳しくなる。
だがこれも、
おかしくない?
声の代わりにフォントを大にしてそう言いたい。
はっきり言うが、これはもう差別だ。
住んてるエリアで何故に医療費負担が違うのか?
子供を増やせ!!と言うなら、こういう「細かい差別」からなくす必要がある。
「全国一律18歳まで無料」を国が主導してやるべきだろう。
以上、三献策。
もちろんこれらは全て「金の話」で、実際にはこれだけで少子化が解決するわけでもない。
本来なら、子供に優しい社会、子育てに理解ある社会を作るべきだが、それには相当な時間がかかる。
だが逆に「金の話」だけに、すぐに出来ることでもあるし、これすら出来ないなら少子化など止まるわけがない。
本日のコラムでした。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします