多少の羨望。業界団体としては優秀な「日本医師会」


日本医師会。

最近の認識としては

・幹部が「自粛しろ」と上から目線

それなのにコロナ対策への非協力的な態度

・しかも自分たちは宴会やパーティーをしている

と言ったところで、まるで「悪の組織」のような扱いを受けている。

特に中川会長の嫌われ方は半端ではなく、普段温和なうちの妻ですら、彼がテレビに映っているだけで

「コイツ、ホントに何なんだよ!!偉そうに!!」

と吐き捨て、まあ、えらい嫌われようで、少々気の毒でもある。



もちろん身を粉にしてコロナ治療に取り組んでいる民間病院・クリニックもあるが、全体としては

「コロナには関わりたくない」

というクリニック経営者が多いのは事実であり、その点、不興を買うのは理解できる。

しかし、新型コロナが「2類相当」と格付けされている以上、その治療には、他の患者と「治療スペース」や「動線」を分ける必要があり、実際問題として街のクリニックでは対応できない。

また、仮に新型コロナを受け入れた場合、風評被害も怖い。

このような事情もあり、経営者医師としては

「そもそもやれない」

というのが本音だろう。

ちなみに中川会長は、医師としては新さっぽろ脳神経外科病院の理事長であるが、新型コロナの治療は受け入れていない。

このことをあるニュースで、

「医師会会長、口だけで自分のところでコロナ患者を診ない!!」

と報じていたが脳神経外科が感染症の「専門外」であることは一目瞭然で、いくらなんでもその批判は的外れな気がする。

もっと言えば、医師会を批判すること自体に意味がない。



そもそも「日本医師会」は民間病院の業界団体であり、全ての医師を代表しているわけでもないし、ましてや政治家や厚生労働省の役人でもない。

あくまで街の病院・クリニックの団体で、メンバーは皆一国一城の主。

大きな借金を背負って、スタッフを食わしてる。言わば中小企業の経営者であり、医師会はその利益を守るために存在している。

つまり世間に何を言われても、会員の利益が優先されるわけで、その観点からすれば、中川会長は良い仕事をしていると思う。

別に嫌味でも何でもなくそう感じる。

その功績こそ、ワクチン接種の「上乗せ金」だろう。

これが、去年、今年にかけ、診療控えで売上が激減していた街のクリニックを救った。

弊社はお客様にクリニック経営者も多いので、その実情を聞いていたが、コロナによる患者減で、売上前年比ー80%というところも珍しくなく、飲食業と並ぶ「コロナ大打撃業種」だった。

「何とかしてくれ!!」

医師会に悲鳴に近い声が多く寄せられたことは容易に想像できる。

「じゃあコロナを診れば良いじゃないか、診療報酬の上乗せが凄いんだから」

と思うかもしれないが、前述の通り、ほとんどのクリニックで物理的に対応出来ないし、無理に診療をしてクラスターでも発生させてしまったら・・・

コロナを診ないのか!!と批判するくせに「人のミス」は大好物のマスコミの餌食となり、イメージダウンは必至。下手をすれば潰れる・・・・

そんな状況を一変させたのが、今年6月以降のワクチン接種で、

・週150本以上を4週間以上続けること

を条件に、1本5070円の報酬を支払う支援策(通常のワクチンは2,070円/本)が、街のクリニックに「バブル」を引き起こした。



クリニックによっては、一般診療を閉めて、ワクチン一本だけに絞ったところも多い。

私が接種したところもそんな感じで、そのクリニックでは診療時間も延長し「1日平均150本」打っていると言っていた。

単純計算で76万円の売上。月25日で1900万円になる。

また、都道府県別に別枠の助成金などもあり、小規模のクリニックにとっては天の恵みとなった。

このバブルは6月から10月くらいまで続く予定で、去年、今年の売上減を補う有効打となっている。

「これで一息つける」

そう本音を漏らすクリニック経営者も少なくない。

これらの「上乗せ」も当然ながら、医師会が

「何かしらのインセンティブが必要」

と強く主張した結果だ。

勿論、そこに議論はある。

この緊急事態。医師ならば、金のことなど言わず、従来の2,070円で打つべきでは?

正論だろう。

だが、「経営」でもある。綺麗ごとばかりでは済まない。

多くのクリニックが長期間の売上低迷に苦しんでおり、こんな時に役に立たないなら、何のための業界団体なのか?

ワクチン接種上乗せ金は明確な医師会の「勝利」である。

散々批判された中川会長のあの舐めた態度も

「政府が何を言おうが、俺たちがいないと何もできねーぞ。軽く見るなよ!!

という恫喝のようであり、自民党に一歩も引かない姿勢は力強い。

私が医師会のメンバーなら、思わず「いよ!!兄貴!!」と叫んでしまいそうだ。



今回のコロナ。

飲食や、旅行・観光など、大打撃を受けた業界は数限りないが、政府の対応は不公平・不平等であり、どの業種にも怨嗟の声があふれている。

弊社も生保協会、不動産協会、FP協会などの「業界団体」に所属しているが、このコロナで、会員のために政府から「何か」を勝ち取ったような団体はない。(もちろん、色々と頑張ってはおられると思うが)

その点「憎まれ子」を演じてまで会員のために働く「医師会」が多少羨ましくもある。

なお、中川会長の病院も、確か脳神経外科だったはずだが、ワクチン接種を受け付けておられる。

「専門外だがワクチン接種くらいなら協力しよう」

ということで、その仁徳には頭を垂れるしかない。

本日のコラムでした。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします


10月 1st, 2021 by