ハイセンスのテレビ故障で感じた1%を切る勇気


先日、自宅のテレビ(ハイセンス製:中国メーカー)が故障し、その「保証」をめぐる際に感じたことについて述べたい。

結論から言えば、「ああ、これじゃ日本のメーカーは太刀打ち出来ないな・・・」ということ。

では、本題。

ちょうど1年ほど前、それまで使っていたテレビが急に映らなくなり、Amazonで新しいものを探していたのだが、ハイセンスという中国メーカーのものが異様に安い。

58インチで確か5万か6万か。

10年以上前には20、30万円くらいしていたものが、そんな値段で買えるのかと驚いたが、口コミや評判などを見ても、一部には辛辣な意見もあるものの、概ね「普通に使える」という声が多い。

試しに使ってみるかと購入したが、実際に届いたものは非常に軽いし、付属のリモコンにもあらかじめAmazonプライム、Netflixなどのボタンが配置されており、それを押すだけで勝手にアプリを立ち上げてくれる。

単純にその完成度に驚いた。

もちろん最新の日本メーカーのものに比べれば劣るところもあるのだろうが、それは値段ほどの差ではような気がする。

「これじゃ日本のテレビが赤字になるわけだ」

妙に納得した。

が、それからわずか1年。

ある日から、画面に緑がかった縦線が入るようになり、日に日に酷くなる。

Amazonで購入した際「3年保証」とあったので、ハイセンスのサポートセンターに画像付きでメールをすると、

「おそらく故障なので、交換に伺いたい。しかし、大変申し訳ないのだが、当該商品の在庫がなく、2週間ほどお待ち頂きたい」

とのこと。

更に2週間後に連絡が入ったが「まだ製品が届かない。世界的な半導体不足のせい」と言う。

こればかりは仕方がないので、待っていると、更に2週間後、ようやく交換してくれた。

しかし、電源を入れてみると、今度は赤い線(と言っても気づかない程度のもの)、そして左端の一部が映らない(これもほんの1cm四方程度で気にはならない)

交換に来た作業員自らが

「これは初期不良品です・・・本当にすいません」

と恐縮しているので、怒る気にもなれなかったが、前の緑線トラブルよりはマシなので、とりあえずはそれを設置してもらい、後日、再び交換するということで去っていった。

そして翌日、案の定「在庫がない」と言う。

しかし、同時に「同じシリーズで65インチならすぐに交換出来るのでどうか?」と提案された。

58と65では当然、65の方が高い。

つまり無償でアップグレードしてくれるということで、それ自体はありがたいことではある。

ただ、我が家は65インチの大画面を悠々と楽しめるような家ではなく、猫の額ほどの家に一家4人が肩を寄せ合いながら暮らしている。

そのため、58インチを買った時ですら「デカイな・・・」と思ったくらいで、正直、65インチはありがた迷惑でもある。

結果、あくまで58インチでの交換を申し出たが、それがいつ可能なのかは「また来月に・・・」という返事だった。

以上、ここまでの話を聞いてもらえれば

「中国メーカー、安かろう悪かろう(製品もサポートも)」

と言われても仕方がないし、個人的な実感としてもそんなところだ。

日本のメーカーであれば、こんなことはまずあり得ない。

だが、同時にこうも思った。

感情論を抜きにすれば非常に合理的

実際のところ、我が家のテレビが1年で故障したのは運だろう。

99%の人は当初の私のように、普通に満足して使っているはずだ。

中国メーカーは1%のために過剰な在庫やパーツなどは持たない。

そのため、運悪くババを引いてしまった私のような場合には悲惨な目に会うが、それでも「65インチでどうか?」という代替案がある。

サポート担当者の話では、どうやらこの65インチも前シリーズの売れ残りのようで、メーカーからすれば在庫処分になる。

ユーザーの方も、私のような特殊事情(単に家が狭いだけだが)がなければ、58→65へのアップグレードは単純に喜ぶ人も多いはず。

日本のメーカーのサポート体制は確かに素晴らしいが、わずか1%のトラブルのために持たねばならぬ在庫・パーツや人員は膨大で、結局のところそれらのコストは購入代金に転嫁されている。

結果、製品価格は割高になり、韓国勢や、より割安な中国メーカーに太刀打ち出来ない。

また「58がないから65に」という対応も、公平性ばかりを重視する日本のメーカーでは出来ないだろう。

1%の不満を切れるか?

これは電機メーカーだけでなく、日本のありとあらゆる分野で同じことが言える。

日本人の気質なのか、些細なレアケース全てをカバーしようとする。

「きめ細かい」と言えば聞こえは良いが、結果、システムは複雑化、ガラパゴス化、高コスト化してしまうことが、かねてより問題だと言われてきた。

1%を怖がり、余計な仕事とコストが増える。

自分自身の仕事をかえりみても、多くの心当たりがある。

1%を切れない。

その勇気がない。

実際、今回その1%になったが、確かに気分は良くない。

しかし世界を主戦場とする会社としては「これが正解」なのだろう。

色々と考えさせられた出来事だった。

本日のコラムでした。

 

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11月 27th, 2021 by