ニセコは「まだ」買いか?現地を見てきた


昨年の夏、お客様から

「海っぺりの土地が欲しい!!」

と言われ、奄美大島へ飛んだ。

その時の様子は以下のコラムで紹介したが、

海っぺりの土地を探せ!!千葉、沖縄、奄美、海沿い探訪記

今回は雪。

あるスキー好きのお客様から、以下のような「投資」の相談があった。

・雪山リゾートにコンドミニアム or 一軒家を購入したい

・使わない時は民泊で収支をまわす

その方が候補地の筆頭として挙げていたのが「ニセコ」

ご存知の方も多いと思うが、ニセコは「地価上昇率」で過去6年「日本一」を記録しており、2014年には坪単価5万円だった土地が、現在では70〜80万円と、わずか7,8年で14〜16倍に跳ね上がっている。

そんなニセコが「まだ上がるのか?」

以前から興味もあったので、休みを利用し家族を連れて現地を訪れてみることにした。

さて、そのニセコだが、一言で言うと

圧巻

ニセコに行った人は「まるで外国のよう」と口を揃えるが、モダン&豪華な別荘、コンドミニマムが立ち並び、日本国内にこのような雰囲気の場所はない。

但し、良く見ると昔ながらのペンションや、旅館風のホテルなども残っており「ハード面」で言えば海外7:日本3という感じ。

だが、人やサービスなどの「ソフト面」は、海外9:日本1で完全に外国人にシフトしている。

今回、試しに外国人向けの一軒家コテージに泊まってみたが、室内の説明資料は全て英語。

昨年末、友人が高級コンドミニアムに宿泊した時は、スタッフのほとんどが外国人のため「日本語が通じない」という状況だったそうだ。

地元のスーパーも田舎とは思えない品揃えで、ワインコーナーでは鍵のかかったセラーの中にクリュッグ、オーパスワンなどの5,6万のワイン、更に1本30万円、50万円のものまで並んでいる。



店員に話を聞くと、

「コロナ前はフラっと来た外国人が数本まとめて買っていくこともあった」

とのこと。

数十万円のワインが冬のワンシーズンで数本、数万円のワインなら週に何本か出るとのことで、地方のスーパーではあり得ない。

街を走っていても、土地や物件には「For Sale」という英語と、おそらく中国語で販売中を表すのであろう漢字が併記され、日本語の「販売中」は見かけない。

はっきり言えば、街全体が日本人を相手にしていないのだ。

しかし、2022年3月時点での話で言えば、街もゲレンデも閑散としている。

コロナで外国人が来れないこともあるが、春休みだと言うのに日本人も少なく、コンドミニアムも一軒家コテージも、夜になってもほとんど火が灯らない。

しかし、これが今回の狙い。

冒頭のお客様も、外国人が来ず、苦境に陥っている「今のニセコ」こそ買いなのではないか?と思っていたようで、私もそう感じていたのだが・・・

現実は全くそんなことはなかった。

今回、地元の不動産屋を数軒回ってみたが、価格は一切下がっておらず、むしろ上がっている。

開発案件もどんどん増えているとのこと。

そのため、土地も建物も尋常でないほど高い。

例えば、ニセコの中心街、その目抜き通りに建設中の「雪ニセコ(セツニセコ)」

シンガポールの不動産デベロッパー「SC Global」が開発を手掛けた高級コンドミニアムだが、その価格は最もグレードの低い40平米で6400万円。

ファミリー向けの100平米だと1.5億円、更に広さ、階数によっては3億円、4億円の部屋もあり、価格帯としては、東京都心のタワマンと変わらない。

それでも雪ニセコは街の中心部にあるため、ゲレンデからはやや遠く(と言っても1kmくらい)これでも「手ごろ」なのだそう。

更にゲレンデに近く、スキー、スノーボードを履いたままで出入り出来るコンドミニアムは40平米程度で1億円を超えている。

目下、コロナで外国人観光客は減ってはいるものの、2030年に開業する新函館北斗-札幌間を結ぶ北海道新幹線がニセコ近くの倶知安駅(クッチャン)を通ることが「買い材料」となり、まだまだ価格は上がっているとのことだった。

で、現地を見た私の結論だが

中国資本のババ抜きだな

という印象。

最近、開発されている物件のほとんどが中国資本で、その所有者も必然的に中国、台湾系が多い。

世の中では、

「ニセコは白人スキーヤー、ボーダーに愛されている」

という印象があるが、これはあくまで利用者という立場の話で、実際に物件を所有しているのは中国系なのだろう。



中国の金余りが、日本の雪国に飛び火したという構図で、率直に言ってマネーゲーム。

2030年ごろまでに上手く売り抜けられば儲かるかもしれないが、ババを引けば大損する可能性が高い(不動産は全般的にそういうものだが)

中国人ネットワークに入れない日本人が参加するべきゲームではないと思う。

 

ニセコ アンヌプリ山に広がる4つのスキー場。

それらが価値があることは紛れもない事実だが、その価値が最大化するのはわずか冬の2,3ヵ月であり、そこに建つ不動産が東京のタワマンと同じということには、正直、疑問が残る。

このような景色を見て、思い起こすのは越後湯沢。

バブル期、田舎にはそぐわないタワー型のリゾートマンションが立ち並んだ。

しかし、今ではその価値は10分の1程度になっており、光熱費や管理費が高いことから売買すらままならない。

今回、ニセコには3日間滞在したが本当に素晴らしいところだった。

そんな場所が第二の越後湯沢にならないことを祈るばかりである。

本日のコラムでした。

 

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4月 1st, 2022 by