「今入っているドル建の保険って、続けた方が良いの?解約した方が良いの?」
お客様から、そんな連絡が週に1,2件頂きます。
昨今のドル高によって、
・今解約した方が得なのではないか?
・それに、割高なドルを買いたくない・・・
そんな心理があるからでしょう。
さて、本日はこの件について「あくまで個人的な見解」を延べたいと思います。
なお、「これが正解です」などとと言うつもりはなく、当然ながら為替の動きは「読み切れる」ものではないので、あくまで参考意見です。
ご判断は個々でお願い致します。
さて、ドル建の保険を続ける、解約するの判断には3つの視点があるかと思います。
1 現在の状態
2 加入の目的
3 為替の展望
以上の3つです。
1 現状の状態について
まず1つ目ですが、結局のところ「今の状態」を把握していないと、何の判断も出来ません。
知るべきポイント!!
・今までドルベースでいくら支払ってきたのか?(A)
・日本円換算でいくらか?(B)
・1ドルいくらで買っているのか?(B/A)
・現在の解約返戻金はドルベース、円ベースでいくらか?
・現時点での収支は?
要は儲かっているのか?損しているのか?それはいくらか?ということですね。
ここでは、3つに分かれると思います。
1 利益が出ている
2 ほぼトントン
3 まだ損をしている
経験則で言えば、これだけ急激に円安が進行した場合、
加入して5年以上経過していれば「含み益がある」
3~4年で「ほぼトントン」
1,2年で「まだ損」
という感じではないでしょうか?
2 加入の目的について
次に重要なのが、2の加入の目的です。
これは、以下の2つに分かれると思います。
1 死亡保障+貯蓄
2 老後の年金積立(+途中で万が一のことがあったら多少の保険金)
解約をするということは、すなわちこれらの目的は「達成出来ない」ということになります。
例えば死亡保障を目的として加入したのであれば、解約後には保障がなくなり、老後のためのものであれば、解約した場合、別の何かで積み立てる必要があります。
3 為替の展望について
最後に3の今後の展望です。
皆さんこれを知りたいのでしょうが、申し訳ないことに正直何とも言えません。(これが見通せるならそちらのプロになってます)
恐らく年末年始に向けて、
「アメリカ経済の正常化が近づいてきた」
という安定感が出れば、利上げも減速し、今の円安ドル高は落ち着くでしょう。
既にそれを織り込んだのが「今の値段」だと言う見方もあります。
しかし、これらは「アメリカの事情」であって、日本が何か変わったからではありません。
日本は引き続きダメなまま。
今の急激な円安は日米の金利差によるものですが、ベースには日本の将来(少子化、低生産性など)への悲観があります。
我々自身が「ドルを買っている」ことが、それを如実に表しています。
長らく「有事の円買い」と言われてきたのに、昨今では有事(最近ではウクライナ戦争)でも円が上がらない(買われていない)ことからも全世界的な「円離れ」であることが分かります。
そのため、アナリストのレポートなどでも「長期的には円安ドル高が続く」と結論づけたものが多数を占めており、現在のような140円台(120円から130円台程度?)でなくとも、昔のように100円を切るようなことはなかなか想定しにくいでしょう。
また、一部の過激な意見では1ドル200円まで行くというようなものもあり、財務官を務めたミスター円こと榊原英資さんまでがそんなことを言っているのは不気味ではありますが、共通しているのは「対ドルで円が強くなる要素はない」ということだと思います。
これについては、ほとんどの方が「まあ、そうだろうね」と同意するのではないでしょうか?
以上が「3つの視点」の概論ですが、ここからは実際のケースを見てみましょう。
まず、現在「含み益がある」という場合です。
このケースであれば、基本的には「ご自由に決めて下さい」というところです。
但し、そもそも保険に入った「目的(保障や老後資金の積立)」があるはずですから、それを別の「何か」で補う必要があります。
解約したお金を何に使うのか?(投資)ということですね。
例えば不動産などの「モノ」にしておく、もしくはひとまず現金で持っておいて、株価が下がった時などに株、投資信託などに再投資する。
そのような「投資方針」を持つ必要があります。
仮にそのような戦略がなく「今解約した儲かるから」というような目先の利益だけでが動機だと、結局のところ手元の貯金が増えるだけ。
そして、現在、日本でも確実にインフレが進行しているので、日本円で持ち続けるのは正直、お勧め出来ません。
価値が目減りしていくのは火を見るより明らかだからです。
更に言えば、多少儲かったお金が日々の浪費で少しづつ消えてしまうのでは本末転倒ですね。
次に「トントン」の場合ですが、これは判断が難しいです。
トントンなのに解約するということは、
・割高なドルを書いたくない
・将来のドルの展望に期待出来ない
ということで「一旦ここで手仕舞いにする」というイメージです。
これも、基本的には「自分で決めれば良い」という話なのですが、先程のケースと同じように
「で、あるなら何をするのか?」
ということを考える必要があります。
また、「割高なドル」と言っても、仮に来年130円台まで下がるとすれば、半年、1年程度10%割り増しのドルを買っただけです。
その前は1ドル110円台で買えているわけですから、ドルコスト平均法で言えば、1ドル120円台あたりで落ち着いているでしょう。
その時の相場が1ドル130円台をキープしているのであれば悪い状態ではありません。
もしくは、一部の識者が言っているように、1ドル200円時代などが来れば、実は145円でも「安かった」ということになります。
もちろん割高と感じるものを買うのは、誰にとっても抵抗がありますが、保険によるドルコスト平均法は本来「高い時もあれば、安い時もある」というものなので、高い時だけパスをするということは現実的には不可能なのです。
最後に「損をする場合」ですが、これは原則的には続けた方が良いと思います。
唯一、解約をする理由があるとすれば
「将来、アメリカはダメになる」
と確信し、現時点で損切りするということでしょう。
ただ、これは個人的には「?」という感じです。
私自身、社会に出てIT企業、外資系金融と渡り歩いてきましたが、どちらの業界も「アメリカ標準」であり、その強さを身を持って知っています。
無論「アメリカ最高!!」と礼賛しているわけでもなく、正直「どうしようもない国だな」と思うことも多々ありますし、現地にいる方のお話を伺っても共和党、民主党で国を二分した内戦状態のような印象で、対中国・ロシアとの関係も極めて危ういとは思っています。
それでも
アメリカがダメになって日本が良くなる
というシナリオには何の現実性も持てません。
その点からすると、損をしてまでドルを切らなくても・・・という感想です。
ただ、これも考え方です。
今後どうなるか分からないドルより、企業に投資する株や、リアルな不動産などに投資をしたい。だから、ドル資産はリスク回避する。
そのようなお考えであれば、反対する理由はありません。
結局のところ、ドル?円?株?不動産?アナタは何を信じますか?という話ですね。
ご参考になれば幸いです。
本日のコラムでした。
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