人と関われば良いことも悪いこともある!!ビビってんじゃねーよ!!な話


他者と深く付き合い、激論を交わし、お互いの良いところを認め合い、悪いところを非難し合う。

昔に比べてそんな「熱さ」がなくなった。

まあ、誰でもそうだろう。

その分、巧緻な「冷たさ」と言うか、

期待しているから、裏切られた時に腹が立つ。ハナから期待しなければ良い

という経営者や大企業の管理職の方々が口を揃えて言う「大人の流儀」が身についてしまっている。

だが、これは別の弊害もある。

期待しない、ということは、すなわち相手に興味を持たないということと同義であり、その分、人間関係は希薄になってしまうのである。

「期待」と「失望(怒り)」はニワトリと卵の関係のようなもので、相手のことを深く知ろうと思えば、そこに関係性と期待が生まれ、裏切られれば怒りを感じる。

であるなら、始めから興味を持たず、期待もしなければ、何か意に沿わないことがあっても「そんなもんだろうな」と諦めがつくわけだ。

しかし、これも遠い場所から自分を俯瞰して見れば、

もう傷つきたくない・・・誰も愛さないんだもん!!

というような手痛い失恋を味わった高校生レベルの「保身的思想」とも言える。

多くのビジネスマンが長年の経験から身につけたはずの「大人の流儀」は高校生が「拗ねている」のと何ら変わらない。

しかも、若者は何度失敗しても人を好きになるのに対し、こちらは日を経るごとに貝のように心を閉ざしていく。

ほら、もう歳だから。飛んだり跳ねたりして、怪我すると危ないから・・・

そんなところだろう。

大人の流儀は、人を信じ、愛すことからの現役引退とも言える。

悲しいことだ。

だが先日、その考えを大いに改めさせられることがあった。

弊社は生損保8社を扱っているので、各社に1人ずつ担当者がいるのだが、当然ながら、仕事が出来る、出来ない。性格が合う、合わないがある。

会社を立ち上げた当初こそ、

「俺たちはパートナー、仲間だよな!!」

的なノリで付き合っていたが、彼ら彼女らは会社員でもあり、数年で担当者も代わる。

また、少数ながらも保険会社の威光をかさに着る横柄な人もいて、嫌な思いをしたこともあり、そうなるとだんだんと「大人の流儀」になっていく。

いちいち深く付き合ってもキリがないからだ。

X生命のAさんは20代で、少し会話しただけで「親御さんに大事に育てられたんだろうな」ということが伝わってくる好青年。ここ数年、うちを担当してくれている。

しかし、おっとりした性格もあり、何とも合わない。

過去何度かミスあり、その都度注意はしたが「まあ、こんなもんだろう」という程度で、その点、冒頭で述べてきたように寒々とした態度をとっていた。

だが、ある日、彼から電話があり、こう言われた。

「社内の案件が出てきまして、是非、御社にお願いしたいのですが・・・」

保険会社には社内案件というものがある。

代表的なものが、社員の家族や友人の契約で、この話も彼の同僚のお父様が経営する会社の法人保険だった。

だが、これらは社員自身が担当することが出来ない。

コンプライアンスの観点から、身内の契約の管理は禁止されているからだ。

そうなるとどこか適当な代理店に担当をさせることになるのだが、これはその話に関係している社員の一存で決めることになる。

代理店側にとっても「美味しい話」である。

契約手続きだけをするだけで成績になるからだ。

そのため、大抵はその社員が懇意にしている「有力代理店にお礼として差し出す」というのが慣例である。

率直に言って、彼とは「良い関係」というわけでもないので、正直驚いた。

「何でうちなの?」

「いや、いつもご指導頂いてますし、色々とご迷惑をおかけしているので、せめてと思いまして」

恥ずかしそうに彼はそう言った。

案件自体もそうだが、その気持ちが嬉しかった。

そして同時に己を恥じた。

深く付き合わないのが大人のやり方、などと身構え「どうせ、◯◯だ」と人を決めつける頭の硬さ。

「ありがとうございます。しっかり担当させて頂きます。」

そう言って、素直に礼を述べた。

もちろん第三者的に見れば

「餌もらって早速しっぽを振ってるの?笑」

という見方も出来るだろうが、彼はそんな打算的なタイプでもないし、もしそうなら以前から私と馬が合っているはずだろう。(その方がやりやすい)

ふと思う。

もし、これと同じことが10年後に起こったら?

その時、私は57歳。同様の感動があるだろうか、と。

「普段、お前のとこの商品を売ってやってるのだから、これくらいのお礼は当たり前。こんな程度で感謝すると思うなよ、ケッ」

うわー、最悪のジジイだ・・・もう死んだ方が良い。

でも、こうなる可能性もゼロではない。

だって、10年前。37歳で会社を始めた時、10年後にこんな心が寒々としていると思ってなかったから。

やっぱり愛と感謝だよ。人生は!!

人と関われば、良いことも悪いこともある。ビビってんじゃねーよ!!

若者からそんなことを教わった本日のコラムでした。

 

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10月 29th, 2022 by