箱根駅伝ビジネストークで気をつけたいこと


子供の頃、箱根駅伝が嫌いだった。

1月2日、3日。お笑い番組、歌番組が目白押しなのに、時折、親が箱根駅伝にチャンネルを変える。

「変えないでよ!!」

そう文句を言っても、父親に「うるさい!!」と一喝され、仕方なしに一緒に画面を見るのだが、何か面白いのかさっぱり分からない。

お兄ちゃん達が走っているだけ

それを見てるおじさん、おばさんが何故か熱狂しているだけ

子供からすれば、それ以上でもそれ以下でもない。

そして40年の時が流れ、我が家では全く同じ構図が再現されている。

私がちょっとでも箱根駅伝を見ていると、2人の子供がブーブーと文句を言う。

ちなみに、今年は3年ぶりの規制なしの「応援合戦」が見たくて、子供を連れて読売新聞本社前のゴール近くまで出張った。

無理やり連れて来られた子供たちも、現地の熱気、そして、10区を走った1位 駒沢 青柳選手 2位 中央 助川選手のあまりのスピードに驚いていたようだった。

誰かがテレビで言っていた。

「大人になって汚くなればなるほど、若者の汗と努力に感動し、涙を流すのよ」

まあ、そうなのだろう。

たった1時間ちょっとの疾走のために、青春をかけて血の滲むような努力を重ねる。

「4年生 最初で最後の箱根」などというフレーズには、もうそれだけで泣いてしまいそうだ。

さて、そんな箱根駅伝だが、ビジネス上でもかなり有効な「コンテンツ」である。

お客様の出身大学が出場していれば、こんな簡単に盛り上がるネタはないからだ。

今年なら立教。

55年ぶりの出場で話題になった。

16位とシード権は逃したものの、並み居る強豪を相手に大健闘と言える。

また立教は「愛校心の塊」のような人(特に小学校から立教というような方)が多いので、「立教、箱根頑張りましたね!!」などと言えば相手は喜ぶ。

また「日東駒専」にも箱根の話題は良い。

薄っすらと抱えている早慶、マーチ(MARCH)へのコンプレックスを、箱根での躍進が解消してくれるからだ。

その点、今年の駒大などは、もう素晴らしいとしか言いようがない。

お客様の中に「駒大出身者」が何人かいらっしゃるので、お会いした時にはお祝いを述べる所存だ。

なお、私自身は日大ではあるが「日東駒専枠」という連帯感から、東洋、駒大、専修が奮闘しているとやはり嬉しい。

頭で負けているのだから、足では負けるな!!

などと無責任なことを言いながら、これら日東駒専の選手が早稲田やMARCHの選手をブチ抜いてくれると、何となくスカッとするのだからどうしようもない。

その点、日大名物「2区の黒人選手のゴボウ抜き」は、その後、順位を下げることが分かっていても、それなりに誇らしい。

が!!日東駒専以上に箱根に熱狂するのが前述MARCHだ。

日東駒専に比べ、MARCHは「頑張って入った」という方が多いため、母校愛が強い。

そのため、これらの卒業生に駅伝トークは効く。

また、先に挙げた立教以外の、明治、青学、中央、法政は強豪校なので、根強いファンが多い。

だが、気を付けないといけないのは、これら立教を除くMARCHは「基本的に常に出場している印象」があるものの、年によっては「出れなかった(場合によっては複数年)」ことも結構あるということだ。

そのことに気付かずに箱根の話に触れてしまうと、

「最近は全然ダメだけど・・・」

などと急激に場が冷えてしまうこともあるので要注意。

で、更に箱根駅伝トークで気をつけて欲しいことを2つばかり挙げたい。

もちろん私自身の失敗談である。

1つは「マイナー大学だけど箱根にだけは出ている大学卒の人」への注意点。

色々問題があるので、名前は挙げないが「ああ、あそこね」と、いくつかの校名が浮かぶだろう。

この大学を卒業している人に会った時「あっ、箱根駅伝だ!!」と飛びつきたくなる衝動に駆られるが、ちょっと待った方が良い。

先方からすると「はいはい箱根ね。どうせうちは箱根しかないですよ・・」と思っていることが結構あるからだ。

そこにまんまと箱根を繰り出してしまうことで、白々しい空気になってしまう。

ちなみに私の前職の仲の良い同僚で、山梨学院大学のマラソン部出身の男がいたが、その彼自身が

「山梨にあるんだろうな、皆足速いんだろうな。それがうちのイメージだろ?」

と自嘲していた。

良かれと思って言ったことが、思わぬ落とし穴になることもあるので気をつけて頂きたい。

そして2つ目。

慶応は鬼門

そもそも慶応は「慶応大学」と言っただけで「慶応義塾です」などと訂正してきたり、早慶戦を慶早戦と言ってみたり。

なかなか高いプライドをお持ちである。

そんな慶応は近年箱根駅伝に全く縁がない。(戦前は強豪校だったらしいが)

ライバルの早稲田はコンスタントに出場しているし、87回大会(2011年)には優勝までしているのに対し、慶応は70回大会(1994年)以降、出場すら出来ていない。

野球やラグビーに比べると、箱根駅伝での慶応の存在感は著しく低い。

そのため、慶応の方には箱根の話は響かない。

話をしても塩対応されるのだが、これはこれで

「エリートの苦手なところ見つけちゃったっ!!」

という感じがして乙ではある。

しかし、やり過ぎには注意して欲しい。

 

新年早々、感動と勇気を与えてくれる箱根駅伝。

10区ゴール前。疾走する選手を見ただけで涙が溢れてきた。

隣のおじさんとあばさんのカップルも泣いていた。

純粋な母校愛とは別に、多くのビジネスパーソンがあのドラマの中に自分が失った「何か」を見ているのだろう。

来年は100回記念大会。予選会には関東だけでなく全国の大学に門戸が開かれるらしい。

今から楽しみで仕方がない。

本日のコラムでした。

 

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1月 6th, 2023 by