損害保険の担当者があまりにひどかった場合の対処法


何かしらの事故などで被害者となった場合、加害者側の損害保険会社とやり取りする場面があります。

自動車事故などが分かりやすい例でしょう。

相手方が保険に入っていた場合、交渉はこの保険会社とすることになります。

数日経つとその保険会社の担当Xから電話がかかってきます。

経験上、95%は「ちゃんとした方」なのですが、5%程度は「問題がある」平たくいえば「ひどい担当者」に当たることがあります。

このような時、どのように対処した方が良いのでしょうか?

そのことをお話する前に少しだけ裏側をお話します。

まず、損害保険会社において「支払担当」という仕事は激務中の激務とされています。

社内でもその部署に「異動」という内示を受けると、本人も凹みますし、周囲からも「気の毒だが修行。頑張れ!!」というような声がかかるような仕事です。

まず、被害にあわれた方と「直接交渉をする」という点だけを見てもハードです。

被害者の中には極めて冷静に対応してくれる方もいますが、そのようなケースは少数で、ほとんどはかなり厳しい言葉使いで話してくる方が多く、中には延々数時間も怒鳴り散らすような人もいます。

これだけでも精神を削られるのに、更に会社側からは「なるべく安く済ますように」というミッションを与えられています。

相手の言い分を100%飲んで、言われたままに支払いが出来るのであれば楽なのですが、多くの事故においては「過失割合」という概念があり、その点の調整をしなくてはいけません。

自動車事故においても、

「ちょっとでも自分も動いていたら10:0はない」

などと言われますが、これはある程度事実です。

停車中の車に後ろから突っ込んだ。などの事故であれば、10:0。つまり100%相手が悪い、ということになりますが、多少なりとも自車が動いている場合、なかなか10:0と認定されることはなく、9:1、8:2などになることが多いのです。

但し、9:1の事故の場合、1の方からすると

「何で私に10%も責任があるんだ?どう考えても相手が悪いだろう」

という内容のものがほとんどです。

要は納得出来ない、ということです。

そこをなだめ、すかし、上手い具合に9:1で話を付ければ、組織内では「優秀」とされますし、これが8:2などに出来れば「最優秀」ということになるのが、損害保険会社です。

「被害者がいるのに、とんでもない話だ!!保険会社の責務を果たしていない!!」

そのような批判があることは重々承知していますが、9:1や8:2というのも、何も根拠なく言っていることではありません。

諸々の事故、特に交通事故に関しては過去の判例が山ほど積み上がっているからです。

例えば「9:1では納得できない!!」と訴訟に踏み切った方が、結局「9:1」で決着。

高額の弁護士費用を考えれば「やらない方が実入りは多かった」というようなことも実際に多いのです。

保険会社も利益を追求する組織ですから、少しでも支払いを減らしたいというのは当然のことであり「理屈が立つのであれば値切る」のが現実でもあります。

少々話が長くなりましたが、支払担当者は「目の前の被害者」と「会社からのプレッシャー」との間に挟まれていることをご理解頂けかと思います。

しかし、冒頭でも述べた通り、95%の担当者は両者のバランスを取って上手くやってくれます。

「被害にあわれているのだから、要求通りに払ってあげたい(自分の金でもないし・・・)」

というのが担当者の本音で、明らかに無理筋の話でなければ、何とか会社を説得してくれることがほとんどです。

ただ、中には底意地が悪いと言うか・・・

その人の本性なのか、本当は優しいのにあまりに辛い仕事をし過ぎて根性がねじ曲がってしまったのか・・・

もしくは敢えて「無能」を演じて、支払担当部署からの移動を目論んでいるのか・・・(意外とこれも多いらしい。)

始めから喧嘩腰(もしくは無気力)でコミュニケーションも取れない。

何を言っても「検討中」や「まだ精査していない」など、暖簾に腕押しで話が進まない。

残念ながら、このような担当もいます。

こういうタイプは「弁護士を立てる」と言っても「ほー、どうぞどうぞ。金かかるだけですよ」という感じで、まったく動じません。

では、この手の担当にあたってしまった場合、どのようにすれば良いのでしょうか?

手っとり早いのは、その保険会社のクレーム窓口に電話をすることです。

現在、金融庁の指導もあり、保険金の支払いのクレームは部署ごとではなく、全社横断的に対応するようになっています。

担当者が1人で抱えこんでいる事案でも、クレーム窓口を通すことで、その担当者の所属長などにも情報が共用され、それらが解決するまでクレーム担当部署にトレースされますので、以後、適当な対応はできなくなります。(多くの場合、担当が代わります。)

但し「口のきき方が悪い」、「なんとなく感じが悪い」という程度の内容では薄いです。

逆に「クレーマー気質の人なのかな?」と思われてしまう可能性もあるので、担当者の何がダメなのか?その説明が重要になります。

例えば「◯月◯日までに状況を報告する」と言ったのにその連絡がなかった。という職務怠慢や、具体的な会話の中で「◯◯さんにも責任がある」、「どうせ◯◯だったんでしょ?」というような断定、推測を含む発言など。

これらの事実を伝えることで、一体何が問題なのか?ということを、保険会社に伝えることが出来ます。

また、感情的にならず「何も解決せず、本当に困っています」というスタンスで伝えることで「こちらは冷静。おたくの社員がおかしい」ということが強調されます。

でも・・・

被害の損害を賠償することが、損害保険会社の責務であり、そのために毎月保険料を預かっているのです。

その点から言えば、担当次第で対応が変わるなどと言うことはあり得ないことなのですが、組織である以上、残念ながら「外れ」がいるのも事実。

そのような相手には何を言っても心根を変えることは出来ません。

そう思って臨機応変にご対応下さい。

本日のコラムでした。

 

 

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2月 15th, 2023 by