老人ホーム選びで学んだ4つのこと


私の母は、ある難病と闘っている。

今までは何とか1人暮らしを続けていたのだが、ここ数ヶ月、症状も進んだこともあり、いよいよ老人ホームを探すことになった。

と言っても、本人を連れていくのも施設側と調整するのも実質は私であり、それらの作業はなかなか骨が折れる。

本ブログをお読み頂いている方の中にも、今後、ご両親の介護などで施設を検討する場合もあるだろうから、ここでメモ代わりに私の経験をお伝えしたい。

 

その1 驚くほど適当な人が多い

看護/介護というのはなかなかハードな仕事であり、現場で働く方々には感謝しかない。

が、管理職なのか、営業職なのか分からないが、施設のセールスをしている人達の中にはびっくりするくらい適当な人が多い。

経験してみれば分かるが、問い合わせても折り返しがないことなどは日常茶飯事で、体感的には

「1/3くらいは連絡がない」

という感じ。

普通のビジネスの感覚では考えられない。

また、聞いたことに対しての回答や、調整事項の報告も相当遅いか、もしくは「忘れている」ということもザラだ。

催促しないと状況を教えてもらえない。

なお、こう書くと私がクレーマーのようでもあるが、我が身を冷静に俯瞰してもそんなことは全くない。

普通の感覚で聞いて、普通の感覚で回答を待っているのだが、1週間程度なしのつぶてというこが珍しくなく、またそれも1人、2人の話でもないので、そもそも業界的にそんな感じなのだろう。

もちろん「人による」

ものすごくきっちりしている方もいるので、全員が全員ではないが、全体的には相当ノンビリしている人が多い。

基本的には待っていれば誰かが来る、というビジネスなので、マーケティングという視点が大きく欠けているのだろう。

なお、介護施設紹介サービスというものも使ったが、まあ、こちらも適当。

条件が全く合っていなかったり、自社が契約している施設に該当するものがないのか、何の連絡もなかったり。

その割には、1、2ヵ月後に「施設選びはどうなってますか?」などと電話がかかってくるので、なかなか鬱陶しい。

紹介サービスを使うより、自分でサイトを調べて、直接電話する方が早い。

その2 金なり

元も子もないことを言うが、施設の優劣は、明確にお金に比例する。

高いところは職員もしっかりしているし、建物も豪華。廊下に置いてある調度品なども良い物が選ばれているが、安くなるに伴い職員の覇気は下がり、身だしなみも汚くなる。

また建物もマンションのショールームのような「高く見せようとしているけど安っぽい」という感じになっていく。

ただ、最低でも5年で2000万円くらいはかかるし、高いと6000万円くらいする。

やっぱり、最後を穏やかに迎えたいなら、それなりに貯金しておくことだ。

そう痛感した。

 

その3 施設ごとのポリシー お看取り率が大事!!

これも当然だが、施設のよってかなり性格が違う。

とにかく豪華な生活を!!というゴージャスさを売りにしているところもあれば、完全に終末医療にフォーカスしているところもある。

後者のタイプの、ある施設を見学した時は、

「お任せ下さい!!楽に逝かせます!!」

的なことを言っていた(そこまで直接的ではなかったが)

説明された方は、手塚治虫氏のブラックジャックに出てくる安楽死を請け負うドクターキリコのような印象で、人の最後ばかり看てるとこんな風になるんだなぁ、などと妙に感心してしまった。

この施設ごとの色(ポリシーや性格)は、サイトなどからは全く分からず、実際に見学するしかない。

但し、「最後は楽に」というのはほとんどの入居者にとっても強いニーズのようで、どの施設もその点に力を入れているようだ。

その取り組みが「どこまで真剣か?」という確認をする一つの指標が「お看取り率」

この言葉自体は私の造語だが、要は「どれだけの入居者さんが、その施設で亡くなっているか?」という率で、これが高ければ高いほど面倒見が良いとも言えるだろう。

豪華さを謳う施設でも、手がかかる状態になるとすぐに救急車を呼んで病院に押し付けてしまうようなところも意外と多く、こういうところはお看取り率が低い。

反面、先に述べたようなドクターキリコ系の施設などでは「ほぼ100%」であり、終末期に有効な麻薬系の麻酔薬(モルヒネなど)なども自施設で管理し「バンバン使いますから」みたいなスタンスだった。

個人的にはもう助からないなら、辛いは嫌だから「バンバンやってくれ」という感じで、好感が持てる。
注:施設は病院ではないので限界はある。結核などの隔離が必要な病気や、骨折などの外科的手術が必要な場合には病院に運ぶしかない。

 

その4 施設の最重要キーパーソンは・・・・

ずばり看護師長だ。

色々な施設を周ったが、現場のトップは圧倒的に看護師長であり、その人の考え方が施設全体の運用方針にリンクしている(ような気がした)

当初は「ドクターかな?」とも思っていたが、有料老人ホームには原則的には医師は常駐していない(併設しているところはあるが)

そのため、どこの施設も訪問診療をメインとしたクリニックが2,3入っており、疾病、性格などに応じて、入居者と医師をマッチングしている。

もちろん治療に関しては医師が司令塔なのだが、さらにそこに「どのように生き、どのように死にたいか?」という観点、つまり生活全般という視点が入ると看護師長に権限が移る。

基本的には「助かる患者」ではないので、医師もそのあたりは鷹揚で、患者さんと意思疎通が出来ている看護師の意見に従っているようだった。(その施設に嫌われたら、仕事がもらえないという心理バイアスもあるのだろう)

なお、施設によって、看護師長=施設長というところもあれば、施設長とは別に看護師長がいるところもある。また、看護師長ではなく、管理看護師(主任看護師)などと呼ぶところあり分かりにくいが、いずれにせよ「看護師のトップ」がかなり重要なポジションだと分かった。

ちなみに、これはあくまで私の個人的な見解だが、利用料金が安くなるにしたがい看護師長のパワーは低下する印象。おそらく安い施設は数字をかなり細かく管理する必要があるので、経営効率が優先されるのだろう。

このあたりはホテルに似ている。

宿泊費が安いホテルは、現場のホテルマンなどには何の権限もないため例外は許されないが、高いホテルになればなるほど、コンシェルジュ的な立場の人が「お客様」のニーズを満たすために、時に採算度外視で動いてくれる。

あまり細かいことを言わずとも、全体が儲かっているから出来ることだ。

有料老人ホームも大枠では「ホテル」のようなものだから、このあたりの構造は近い。

 

最後に・・・

以上、有料老人ホーム選びについて、個人的な感想を述べた。

ちなみにうちの母のホーム選びは二転三転したものの、結局ある施設に決定し、その結果には満足している。

老人ホーム選び。

正直なところ楽しい作業ではないが「親の介護」という重大な課題をかかえる我々世代にとっては避けて通れない。

本日はその経験を共有させて頂いた。

何かの参考になれば幸いだ。

本日のコラムでした。

 

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10月 29th, 2023 by