就職活動 Aラン大学にあってFラン大学にないもの


昔から就職活動の相談をされることが多い。

27年前、私が就職活動をした1997年は就職氷河期真っ只中で、有効求人倍率は0.9。

つまり職を求める学生が全員は就職出来ない状況。

しかも、その年、北海道トップの北海拓殖銀行(拓銀)が破綻し、暗澹とした雰囲気が漂う。

このような中、私自身はCランクの日大、そしてマニアックな化学科、正直、就職戦線では不利なことばかりだったが、それなりに戦略を立てた結果、一部上場企業を中心に7社から内定をもらっていた。(今にも通じるが面接が得意だった)

数少ない私の絶頂期だ。

そのため夏ごろを過ぎても就職が決まらない友人からアドバイスを求められ、偉そうに履歴書を添削したり、面接のコツなどを伝授。

ちなみに、それらのアドバイザリー業務の結果はかなり好調で、その後、友人たちは続々と内定を取っていった。

当時はかなり感謝されたのだが、今となっては覚えているのは私だけだろう。

自分の手柄だけは忘れない。

数多い私の悪癖だ。

 

なまじこんな経験があるため、社会人になっても、お客様のお子さんや、取引先のアルバイト学生などが就職で困っていると、気軽に相談に乗っている。

このような場面で、私は次のことを説明する。

1 アナタが思っているアナタと、大人が見たアナタは違う

2 履歴書はカマせ

まず、就職が上手くいかない学生は自分が分かっていない。

「私ってこうなんです」、「友達からこう言われます」という主張がズレていることが多い。

「いや、アナタは大人から見ればこう見えるよ」と助言すると「えー、でも」と自分の説明を始めるが、聞いているだけで鬱陶しい。

「アナタがどう思うかは関係ない。相手がどう思うか。決めるのは相手。」

わりと厳しくそう伝える。

その上で私が感じたインスピレーションから作られた「像」を演じてもらう。

その像に沿った形で履歴書を作り込む。

今まで生きてきた全て、経験してきた全てはこの会社で活躍するためにあった。

そこまでストーリーを落とし込み、入社したい、ではなく、入社して何がしたいか?を熱く語る。

履歴書の上では入社することは既に決まっている前提だ。

所詮、就職活動などオーディション。

アナタの演技が好きか嫌いか、それだけだ。思いっきりやれば良い。

私自身はこのスキームに絶対の自信を持っているし、前述の通り実績もある。

が、悲しいかな上手くいかないこともある。

端的に言えば「レベルの低い大学(Fラン大学)の子は決まらない」ということ。

ここまでお読み頂き「そりゃ当たり前だろ!!」と突っ込まれそうだが、いや、違うのだ。

当然ながらSランク、Aランクの学生は良いところに入りやすい。

そのレベルの学生が就職活動が上手くいかないのは、自分の見せ方が下手なだけ。

そのため「これを直せ」と言えばグンと良くなる。

元々頭が良いので、勘所が良いし、先人の言うことを素直に聞く。

そしてすぐ直し、すぐに結果が出る。

対して、レベルの低い大学の学生は、その素直さがない。

「この通りにやれ」

そう言っても、何故かひねる。(あくまで傾向、素直な子も沢山いる)

「卑下する必要はないが、Fラン大学であることは事実。恰好付けずに、根性と熱意を売りにしろ!!」

そのストーリーに基づいて履歴書を作っても、何故か最終稿で「何だ?その糞エピソード・・・」というようなもの(多分に自分を恰好つけるような)を入れる。

結果、文章は極めてバランスの悪いものになり、悪酔いするような読後感を残すことになる。

「また書類選考で落とされました」

恨みがましくそう言われても、そりゃそうだろうね・・・としか言いようがない。

そうなると、なかなか決まらない。

スタート時点で不利な上、我を出すものだから、その結果は推して知るべし。

 

だが私自身、これをダメだとも不快とも思っていない。

そもそもSランクだ、Aランクだ、Fランクだと人間を早い段階でランキングする大学受験も、先生から教えられたことを「これはこういうものだ」と素直に従える奴が勝つ。

それが出来ないからFランクなのだ。

大人の言うことを聞かない尾崎豊的な生き方が、そう簡単に変わるわけがないではないか。

「いいね。そのスタイルで頑張れ!!」

いつもそのように励ましている。

 

数年後、「教え子」たちと会うことがある。

S、Aランクの大学を出て、S、Aランクの会社で活躍する者。

当たり前だが、たった数年で随分としっかりしてすっかりエリートが板についている。

対してFランクの大学を出て、Fランクの会社に入った者。

個も我も分かった上で引き受けた会社は、そのまま個も我も潰さずに育てることが多いのか、なかなかクセの強いビジネスマンになっている。

もちろんどちらが良い悪いの話ではない。

だが、後者の方がやや私の好みではある。

本日のコラムでした。

 

 

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5月 12th, 2024 by