生保業界のビックモーター?FPパートナーのゴタゴタ


損保業界を揺るがしたビックモーター。

今度は生保業界で似たようなことが起こっている。

「マネードクター(マネドク)」のブランドで大量のテレビCMを流し、そして東証プライムに上場してことでも知られる大手保険代理店のFPパートナー。

保険会社各社が強力な販売力を持つFPパートナーに過剰な利益供与をしているとの報道(東洋経済)が流れ、その後、実際に金融庁が調査を行っているそうだ。

問題とされるのは以下の点。

・保険会社が自社に資料を請求した「見込み客」をFPパートナーに紹介。それをFPパートナーが自社営業職員に販売(1件11,000円)

・マネドクのサイトや、店舗の広告(サイネージボード)に保険会社が広告を出し、多額の広告料を支払う(市場価格を大きく超えた額)

・これらの「貢献」をしてくれた保険会社の商品を優先的に販売

なお、これらの情報は現時点では「報道」されているだけであり、事実がどうかは分からない。

だが、保険会社が有力代理店に「あの手この手」でキャッシュバックをするのは生保業界の「あるある」でもあり、おそらく十中八九本当ではないかとも思う。

ほんの10年前までは特別ボーナスというような名目で、保険会社が成績優秀な大型代理店に堂々とお金を支払っていたのだが、金融庁がそれを禁じたことで、手口が巧妙化している。

今回のこともその一つと言える。

また、代理店側が「A生命はここまで払ってくれた」というようなプレッシャーをB生命、C生命にかけ、実際にその代理店のA社の販売実績がぐんぐん伸びていけば、B、Cも黙ってはいられない。

結局、各社の「競り」のような形になり、より大きな利益供与へと繋がっていくのである。

社名は出せないが、以前、ある大型代理店の「保険会社との交渉担当役員」のお話を聞いたことがあるが、

「今期、これだけのボーナスが欲しい。払わなければそちらの商品は一切売らない。(現場に売らさない)」

という感じで保険会社に迫るらしく、交渉と言うよりは恫喝だった。

見た目も語り口も紳士的な方だったが、逆にそういう人の方がこういうことを言うから怖いのだろう。

今回の報道でもFPパートナーの内部では

「アフラックを売ると成績ポイントを3倍にカウントする」

というようなことをやっていたようで、そうなれば現場は当然「アフラック推し」となる。

よほどのへそ曲がりでなければ、アフラックを勧めるだろうから、必然的に販売件数は増える。

金融庁の目指すところの、

顧客利益最優先で公明正大に保険を比較する

という志からは大きく離れた行為であり、到底看過出来ないのだろう。

そして金融庁に睨まれたら、ただでは済まない

ビックモーターのようになるとは思わないが、かなり厳しい「お灸」を据えられることになることは間違いないだろう。

それに嫌気されたのか、2024年3月に7000円台をつけた株価も、2000円台後半まで落ち込んでいる。

ただ同時にこうも思う。

そんなに悪いことなのかね?

と。

利幅が大きな物を率先して売るのは、どこの業界でも行われていることだ。

また「公平な比較を歪めた」と非難されても、今回の報道で出てきている保険会社は、ひまわり、あんしん、アフラック、はなさく、チューリッヒ等々であり、どこもそれなりの商品力がある。(アフラックだけが「やや高いかな?」という感じ)

これが日本の古い保険会社が出しているような、保険料、保障内容ともに明らかに劣っている商品を「推奨」していたのであれば大問題だが、先に挙げたような保険会社であれば、商品の違いは五十歩百歩であり、厳密に「どちらが良い」とも判断できない。

「このあたりの保険会社から選べば、間違いないんじゃないの?」

20年近く保険を販売している私でもそう思うのだが、例えそれが「会社側の都合」で売られたものだったとしても、契約者側にさほどのデメリットがあるとも思えない。(悪い物を売られたわけではない)

「まあ、やり過ぎってことだろうね」

結局のところこれだ。

報道を見ると、内部の情報が赤裸々に語られているので、おそらくは現場の社員の密告や、もしくは付き合いのある保険会社の担当者あたりから情報が提供されているのだと思う。

保険会社から提供された見込み客情報を自社の営業に買わせて、保険を売らせる。

そして、その販売力を背景に保険会社を恫喝し多額のお金を取る。

そりゃ恨みも買うわな・・・・

何にせよ、こういうゴタゴタは保険代理店のイメージが悪くなるので、いい加減にして欲しものだ。

本日のコラムでした。

 

 

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7月 6th, 2024 by