巨大地震で家族・友人を失う確率は?


もし大地震が発生した場合、自分自身が亡くなる、もしくは家族、友人が亡くなる可能性はどれくらいあるのだろうか・・・

そんなことを考えたことはないか?

不謹慎な話ではあるが、南海トラフの発生が危惧される昨今、それらの「確率」について解説をしたい。

現時点で発生確率が高いとされているのは、南海トラフ地震と首都直下型地震であるが、それぞれの対象エリアに住む人口と、予想されている死亡者数は以下の通りとなっている。
注:内閣府 防災情報ワーキンググループの報告より抜粋

・南海トラフ地震

地震の影響を受けるエリアの人口 6300万人

予想される死亡者数           32万人(エリア人口の0.5%)

・首都直下型地震

地震の影響を受けるエリアの人口 4434万人

予想される死亡者数          2万3,000人(エリア人口の0.05%)

データ上では南海トラフの死亡率はおおよそ0.5%(200人に1人)、首都圏直下型の死亡率は0.05%(2,000人に1人)ということになる。

もちろん、これらのデータはただの「予測」であって、何時に地震が発生するか?季節はいつか?などの要因によっても被害者の数は大きく変わるし、南海トラフの場合、人口の多い首都圏よりは、静岡、高知などの「太平洋沿岸」に接している県に被害が多いと予想されているため、先の確率も「どこに住んでいるか?」によって大きく左右される。

しかしながら「確率(死亡者数÷人口)」という面から見れば、どちらも分母(人口)が大きいため、死亡者数が多少増減しても、最終的な「パーセンテージ」にはそれほど影響しないと思われる。

以上のことから、かなり不確定な情報ではあるものの、南海トラフ0.5%、首都圏直下0.05%を「死亡率」として話を進めたい。

まず、自分自身(1人)が地震で亡くなる確率はもろにこの通りだ。

南海トラフが発生したら0.5%、首都圏直下なら0.05%であり、ほとんどの人が「そんなもんなのか」という感想を持つだろう。

だが、これが複数人となると話が変わる。

例えば我が家の場合、私と妻、子供二人の4人家族だが、それが全員無事で済む確率は、

0.995の4乗=0.98015

98%の確率で全員無事:2%の率で誰かが被害にあう

となる。

そして、この範囲をより広げ、親戚、親しい友人、職場の同僚など「30人」とすると、

0.995の30乗=0.860384

86%の確率で全員無事:14%の確率で誰かが被害にあう

となるのだが、14%の確率で「わりと親しい人が亡くなる」となれば「結構高いな」と思われる方も多いだろう。

以下、参考までに人数を増やした場合を記載する。

100人 全員無事 60.5%:被害あり 39.5%

200人 全員無事 36.7%:被害あり 63.3%

300人 全員無事 22.2%:被害あり 77.8%

400人 全員無事 13.4%:被害あり 86,5%

500人 全員無事   8.2%:被害あり 91.8%

 

同様の計算を首都圏直下型地震で行うと、以下のようになる。

4人   全員無事 99.8%:被害あり 0.2%

30人   全員無事 98.5%:被害あり 1.5%

100人 全員無事 95.1%:被害あり 4.9%

200人 全員無事 90.4%:被害あり 9.6%

300人 全員無事 86.1%:被害あり 13.9%

400人 全員無事 81.9%:被害あり 18.1%

500人 全員無事 77.9%:被害あり 12.1%

 

当然ながら、知り合いが多ければ多いほど「誰かが亡くなる確率」は上がるのだが、無論、こんな計算など意味はない。

あくまで確率であって、引いてしまう時には引いてしまうし、そして実際に人が亡くなれば、本人と周囲の人たちにとって、それは「1/1」だからだ。

但し、敢えてこのような計算をしたことには多少の意図がある。

最近、テレビやネットでは、すぐそこに死が迫っているような「脅し一辺倒」の情報が多く、逆の意味で「抵抗しても無駄、なるようにしかなかならない・・・」というような無力感を感じるのは私だけだろうか?

だが、確率的には自分や家族が死ぬ確率はそこまで高くはない。

だからと言って「何の準備もしなくて良い」などと言うつもりはない。

むしろ、しっかりと準備をすることで生存確率を上げることが出来るし、

「こんな低確率のハズレくじで死んでたまるか!!」

という気持ちで地震に備えて頂きたい。

そんな気持ちを込めた本日のコラムでした。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします


8月 10th, 2024 by