奥様か?〇〇さんか?配偶者の呼び方論争


面白いニュースを見つけた。

宮内庁が春と秋に開催する園遊会。

総理、各大臣、都道府県知事や、各界の功労者が並び、陛下がその労をねぎらう。

スポーツ、芸能などの分野の有名人が陛下からお声をかけられている映像を目にした方も多いだろう。

この会、当事者だけでなく、その配偶者も招待されるのだが、その際、胸に付ける名札には「〇〇夫人(夫が功労者の場合)」、もしくは「〇〇夫君(妻が功労者の場合)」と表記される。

これについては以前から「時代遅れ」との批判があったようで、2024年10月30日に開かれる秋の園遊会から、配偶者の名前が記載されるとのこと。

なるほど・・・

この話を聞いて思い出されるのは、セールスの世界にも「奥様派」と「名前派」があるということ。

特に保険や不動産はご家族を相手にするし、実際の現場では夫より妻の意見の方が強い。

旧来の価値観で言えば、「ご主人」、「奥様」とお呼びすることが多かったのだが、私がこの世界に入った21年前から、

「まるで旦那の付属品のように女性を一括りに『奥様』と呼ぶのはおかしい。お名前があるのだから〇〇さんとお呼びすれば良い。」

という「進歩派」がいた。

ジャンダー論のはしりとも言えるだろう。

反面、

「いや、理屈は分かるが、それでも、いきなり下のお名前で呼ぶのは馴れ馴れしいようで、はばかれる。やはり奥様がしっくりくる。」

という意見もあった。

こちらもこちらで分かる。

なお、私がいた保険会社は外資系だったので、進歩的な名前派が4割、保守的な奥様派が6割という感じ。(当時)

同じことを古来の国内生保の方に聞いたことがあるが、ほぼ100%「奥様派」とのことだった。
(これも15年くらい前の話だが)

で、私はと言うと「奥様派」だ。

私が入社してすぐに配属されたチームの上司は「名前派」で、同じチームの重鎮(外資系生保では成績の良い重鎮プレイヤーは若いマネージャーより偉い。芸能界に似ている。)は「奥様派」だったのだが、両者の主張を聞き結果的には「奥様派」に所属した。

重鎮の「いきなり下の名前ってなんかキモくね?」という意見に説得力を感じたことが主な理由だ。

例えば私の妻は加藤A(本人の希望で名前は伏せる)と言うが、初めて会った営業マンがいきなり「Aさん」と呼べば、「何だ!!お前ら!!まさか出来てんのか!!」などと思ってしまい、何の話をされても一切入って来ない。

と、言うのは冗談だが、まあ、何と言うか、このあたりは感覚の世界だろう。

もしくは、私自身に男尊女卑的な思想が染みついていて、自分の妻を所有物のように思っているようなところがあり、そのため他人が妻を気安く名前で呼ぶことに抵抗があるのかもしれない。

なお、昭和生まれであるため、20代前半までは「やや男尊女卑」的なところがあったが、その後、保険業界で女性の優秀さにコテンパにされた経験から、現時点では男尊女卑どころか、平均化すれば女性の方が優位なのでは?というくらいに考えが改まっている。

やはりチンコのデカさばかりを競いたかがる男性より、女性の方が全体をまとめる力があると言うか、各国のリーダーに女性が増えているのもこのあたりが背景なのではないか?

さて、ここでふと思う。

何かの拍子で、うちの妻がある業界で頭角を現し、陛下主催の園遊会に招待されたら?

以前のルールで言えば、私は「加藤A夫君」という名札を付けることになる。

うーん、なんかヤダ。

「加藤圭祐という名前があります。なんですか?『夫君』っていうのは?『夫』ならまだ分かりますが、君を付けられると凄いバカにされているような気がします。」

受付で、こんなことを言い出し、ひと悶着起こしてしまう気がする。

妻の付属品として扱われると自分は腹が立つのに、女性を「奥様」と呼ぶことには違和感を持たない。

このあたり、根深いジェンダー意識があるようで、自身の内面をのぞき込むのは少々怖い。

21年間、「奥様派」であったがそれそろ私も改心するべきか?

なかなか悩ましいところだ・・・

本日のコラムでした。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします


9月 1st, 2024 by