ウンコ詐欺とスラムなインド


先日、初めてインドを旅してきた。

仕事でカトマンズに行ったのだが、一緒に行ったメンバーが隣国のインドにも用事があり、一緒について行ったのだ。

首都ニューデリー、そこから南へ30km下ったファリダバト、そしてピンクシティとして有名なジャイプールを5日ばかりで巡ってきたのだが、そんな私の感想は・・・・

インドは詐欺師ばっかり

だ。

無論、これもインドの一面に過ぎず、当然ながら99%のインド人は普通の人なのだろうが、観光客に近づいてくるインド人の99%は詐欺師である。

初日、こんなことがあった。

デリー市街地を歩いていると、知らないおっさんが

「ミスター、お足が大変なことになってますぜ?」

と話かけてくる。

自分の足元を見ると、そこにはウンコが・・・・

しかも半端な量ではない。

履いていたスニーカーの上にこんもりお茶碗一杯分くらいのウンコが乗っかっているではないか。

そのおっさんは靴磨きを生業にしているようで「すぐに靴を脱げ!!」と言う。

言われたままに靴を差し出すと、びっくりするくらいのスピードでウンコを取り除き、綺麗にしてくれたのだが、料金を聞くと2000ルピー(日本円で3700円)・・・・

そして、その靴を抱きかかえ、金を払うまで返そうとしない。

現地の人に聞くと、これは「ウンコ詐欺」というインド伝統の詐欺らしく、2人1組となり、1人がペットボトルに入れた牛のウンコを観光客の足にビュッとかける。

困ったところに、タイミング良くもう1人が現れ、靴磨き代として高額のギャラを要求するという手法らしい。

その時も「そんなところだろうな」とは思っていたので、言い値は払いたくない。

そこで「仕方がないな・・・」という顔を作り、お金を払うためにポケットに手を入れた瞬間、相手の気が緩んだのか、手元も緩んだところで靴を奪い返してやった。

前時代的な詐欺師より、生き馬の目を抜く大都市東京で生きる私の方が一枚上手だということだろう。

その後も「金を払え!!」とまとわりついてきて、あまりのもうるさいので20ルピー(37円)を差しだしたが、当然、靴磨きのおじさんは全く納得しない。

結局、うるさい!!あっち行け!!と日本語で怒鳴り、追い払うしかなかった。

街中の三輪自動車に乗れば、事前に200ルピーと交渉していたのに、着いた瞬間「一人200で、3人だから600だ」と来る。

インドは一事が万事この調子で、とにかく些細なトラブルが多い。

そして、その都度ふっかけられて、ボラらそうになる。

なかなか疲れる国だ。

だが繰り返す。

あくまで「一面」でしかない。

別の面に触れたい。

次の日、一緒に行った友人がスラム街ツアーに連れて行ってくれた。

最寄りの駅でガイドと待ち合わせ、スラム街の中を歩く。

若いガイドからは、

「街の中では写真は禁止です。子供が近寄ってきますが、汚いということはないので握手してあげて下さい。」

そう注意を受ける。

「凄いところへ行った」そう自慢をするために写真を撮ろうと思っていたし、スラム街の子供は何か強烈なウィルスを持っていそう・・・とも思っていた私は、まるでその考えを見透かされたようで己を恥じた。

そのスラム街にはインド中から布の切れ端が集められ、それが路上に廃棄される。

それを道端に座った老婦たちが色ごとに仕分けをしていく。

布の山の中には、ハイブランドのロゴが印刷された色鮮やかなものも数多く含まれ、スラム街の女性たちはその布を貼り合わせて、自分の服として着用する。

そんな女性たちが集まる景色はどこか華やかでもあるのだが、一方では朝から晩まで仕事をしても、1日わずか3ドル(450円)という現実がある。

仕分けされた切れ端は、その後、糸にほぐして再び編み布となり、これが「SDGsな」再生コットンとして重宝されているそうだ。

綺麗な水もトイレもないSDGsから弾き出されたスラム街が生み出す製品が、SDGsとして持て囃されるとは何とも皮肉な話だ。

ガイドをしてくれた青年はデリーの名門大学に通う大学生で、スラム問題に取り組むボランティアとのことだった。

本当に頭が下がる思いだった。

別れ際、せめてこれくらい、と思いチップを渡したが「ツアー代はもらっているので必要ありません」と断る。

「君が必要ないならスラムの皆さんのために役に立ててくれ」

そう言うと、納得して受け取ってくれたが、これも今回の旅で出会ったインド人だ。

人間同様、国も多面的だ。

特にインドの懐は深い。

ような気がした。

インドは2025年には日本を抜き、GDPで世界4位となるそうだ。

そのため最近はインドの「凄さ」を特集するようなコンテンツを多く目にする。

しかし、実際に行ってみると、貧困や大気汚染、衛生環境など、実態としてはまだまだ発展途上国のような印象も受けるが、とにかく街も人もパワフル。

あの中で育った人間はやはり強いだろう。

是非、行って見てきて欲しい。特に若い方は。

しかしながら「じゃあ、一緒に行きましょうよ!!」と言われると、素直に「行こう」とは言えない自分がいる。

50歳間近の身に、インドはやはりキツイ。

本日のコラムでした。

 

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1月 4th, 2025 by