ラーメン店、開業時の保険を解説!!


過去にも何度か書いたことがあると思うが、弊社には飲食店のお客様が多い。

特にラーメン屋さんが多く、流石にここでは名前は挙げられないが有名店のご契約も預からせて頂いている。

ラーメン屋さんの業界は古くからの徒弟制度と、先輩・後輩の上下関係が残っているため、既存のお客様から新しいお店を始める部下、後輩をご紹介頂くこともあるのだが、

「保険、全く分かりません・・・どうしたら良いですか?」

という方がほとんどだ。

美味しいラーメンを作ることに関しては玄人だが、経営や経営管理については当然なが素人で、保険に関しても一から検討いただくことになる。

開店までに必要な保険はざっと以下の通り。

1 店舗の火災保険

2 PL保険(生産物賠償責任保険)

3 従業員がいる場合には労災上乗せ保険(+経営者賠償責任保険)

4 経営者本人の保険

 

一つずつ見ていこう。

 

1 店舗の火災保険

まずは1について、飲食店の場合、まずは店舗は借りる。

稀に自宅などの自己所有物件の一部を改装して始める方もいるが、基本的には賃貸契約を結んでお店を借りて事業をスタートするため、火災保険への加入が必須となる。

賃貸を仲介してくれる不動産屋さんからも、

「契約までには火災保険に入って、その証拠として証券のコピーを提出して下さい」

と言われる。

仮に店舗から火を出してしまった場合、店舗内の設備や什器を失ってしまう上、床、壁紙、天井なども燃えてしまえばオーナーへの賠償責任も発生する。

また、自分の店舗だけでなく、隣近所にも被害が及んでしまうこともあるだろう。

だが、日本では失火法という法律があり、よほどの過失(ほぼ「わざと」というような行為)がない限り、近隣の被害については賠償する必要はない。

これは狭い日本ならではの法律で、

「火事はお互い様。何かあっても相手には賠償出来ない」

というルールになっている。(欧米では責任を問われることが多い)

そのため周囲への補償は考える必要はないのだが、これは裏を返せば他人の貰い火で自分の店舗が燃えてしまっても相手の責任を問えないということ。

飲食店は駅前などのエリアに集中していることが多く、同じビルに複数の飲食店が入っているケースもある。

そのため、近所の店舗から火が出て、その延焼に巻き込まれた場合でも自分の店舗の損害は自分で負わなくてはいけない。

清水の舞台から飛び降りる気持ちで始めた自分の店が火事で燃えてしまう。

まさに悪夢だろう。

その損害を最小にとどめる意味でも火災保険は必須と言える。

 

2 PL保険(生産物賠償責任保険)

次にPL保険。正式には生産物賠償責任保険と言われる。

これは飲食に携わる方であれば、すぐに必要性を理解してもらえるのではないか?

一番怖いのが食中毒。

もちろん、そのようなことが起こらないように細心の注意を心がけているだろうが、それでも「100%絶対ない」とは断言出来ない。

万が一、このような事態になった時、被害者への補償を肩代わりしてくるのがPL保険だが、これは

・単独で加入する

・火災保険(飲食店舗向け)のオプション(特約)として加入する

という2つの方法がある。

お店のスタート時であれば火災保険に特約としてセットしてしまうことが多いかもしれない。

保険料も年間数千円程度と安いので、是非とも加入して欲しい。

 

3 従業員がいる場合には労災上乗せ保険(+経営者賠償責任保険)

これは開店してから「しばらく後」の話ではあるが、従業員を雇用した場合、その従業員が業務中に怪我をしたようなケースで使う保険が労災上乗せ保険である。

飲食業では指・足腰の怪我、火傷などが多い。

このようなケースでは労働保険から労災が支払われるのだが、かなり少額でもあるため、従業員が「納得できる金額」は受け取れない。

そこで労災上乗せ保険が必要になってくる。

この保険に入っていれば労災に「上乗せ」して補償が受けられるため、大切な従業員を守るという点では有効だ。

昨今の人手不足は深刻で、特に飲食業は人集めに苦労している。

その点、経営者が自社のスタッフに

「うちはもし怪我をしても労災以上の補償をするので安心して欲しい」

と言い切れるのは福利厚生の面では強い。

が、実はこの保険には経営者を「守る」面もある。

それが経営者賠償責任保険。

労災上乗せ保険のオプション(特約)として付けられる補償で、内容としては

「経営者としての法的責任、賠償責任を負った時にその賠償金を肩代わりする」

というもの。

具体例として圧倒的に多いのが、社員やその遺族からの訴訟だ。

会社の管理がずさんなため大怪我をした。

会社の仕事がきつすぎてうつ病に、そして自ら命を絶った。

このような時に、会社や経営者が訴えられてしまったようなケースで役に立つ。

先にも書いたように飲食業はいまだに徒弟制度、先輩、後輩の関係が厳しく、パワハラ、セクハラが起こりやすい土壌がある。

流石に最近の経営者はそのあたりに敏感で、自分自身がそのようなことに加担することはほとんどないが、創業時からの古株社員が日の浅いスタッフを見えないところでいじめていた、というようなものは未だにある。

たった一店舗から初めて、2,3店舗に多店舗展開、業績は好調だが社長自らお店に立つことは少なくなった。そんな頃が一番危ない。

転ばぬ先の杖ではないが、ある程度の規模のなったら入っておいた方が良い保険と言える。

 

4 経営者本人の保険

最後が経営者本人の保険。

商売を始めるという「大勝負」にあたり、ご自身の保険も見直しておいた方が良い。

修行中はあくまで雇用されていた立場なので、もし怪我や病気で仕事を休んでも労災や傷病手当金が受け取れるが、経営者になればそうはいかない。

また事業を立ち上げるということは「お店(会社)=自分」ということにもなるので、もし自身に何かあればお店も立ち行かなくなってしまう。

この分野の保険は「結婚しているか?子供がいるか?」等々、その経営者の状況によっても異なるので、一概に「この保険が良い」とは言い切れないが、いずれにせよ使われていた身とは違うので、保険も同じで良いはずはない。

お店を開く時の忙しさは想像を絶するので、どうしても自分の保険は後回しになってしまうのだが、どこかのタイミングでは見直しをした方が良いだろう。

 

以上、「ラーメン店、スタート時の保険」について解説した。

なお、弊社のちょっとした自慢なのだが、弊社のお客様のラーメン店で潰れたところは

一店もない

もちろんこれはお客様のたゆまぬ努力によるもので、弊社が何かをしたわけでもないのだが、「縁起が良い」という点においてはお客様に喜ばれている。

本日のコラムでした。

新規オープンをご検討されていらっしゃる方、ご相談などございましたら、

info@mikazuki-navi.jp
加藤 圭祐(代表取締役)

までご連絡下さい!!

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします


3月 1st, 2025 by