米はホントに高いのか?各国の「主食負担率」を調べてみた


令和の米騒動が収まる気配を見せない。

米の価格は2025年4月27日の5キロあたり4233円と「史上最高額」を付け、翌週にはわずかに値を下げたものの未だに4000円を大きく超えている。

1年で約2倍になった計算で、あまりに急激な上昇だ。

これに対して、賛否が入れ乱れている。

今回のことで米農家の惨状がクローズアップされ、

「むしろ今までが安すぎた。今後は生産者が生活できる程度の適正な価格維持を」

という意見もあれば、農水省の失政やJA農協、卸売り業者の不当な「つり上げ」を指摘するような話もあり、正直何か正しいのか分からないが、実際のところは「どれもちょっとづつ正解」というところなのだろう。

まず、米農家の実態だが、弊社には兼業農家としてお米を作られているお客様がおり、以前、田植えと稲刈りを体験させてもらったことがある。(詳細は以下のコラム参照)

楽じゃないぜ!!兼業農家のライフプラン

その際に「米作り」の収支をお聞きしたが、

「年間100万円くらいの利益が出る」

という状況で、かつ、5年、10年スパンで数百万円する機械(コンバインなど)の買い替えもあるため、正直なところ労働に見合った収入とは言えない。

その観点から言えば「米はもう少し高くても良い」とも思う。

日本人の主食である米の生産。

それが誰かの善意や献身を前提として成り立っている現状は健全とは言えず、やはりビジネスとして成立させるべきだろう。

とは言え、それでも「1年で2倍」という急上昇は家計を圧迫することにもなり、これに関しては農水省やJA農協のミスなのだろうし、どこかに「利権」があり、今回の騒動で甘い汁を吸っているような気もする。

では、米はいくらが妥当なのだろうか?

それを探る意味でも、各国の「主食の価格」と、収入に対する負担率を調べてみた。

なお、各国の物価は各省庁、シンクタンクなどが出している統計データがあるものの、古いものも多く「今」を反映していないような気がした。

そのため、現地にお住いの駐在員や移住者の「ローカルスーパーでの物の価格」的なブログなどを参照させて頂いた。

そのため、公式なデータではないが、ある程度の参考にはなるだろう。

なお、比較のあたり「主食100キロ(1人分)」を基準とした。

農林水産省のデータによると、米の1人当たりの年間消費量は、1962年の118.3キロをピークに減少を続け、2022年は50.9キロとなっている。

これは米から、パン、麺などへの代替えが進んだことが原因と思われるが、それでも「主食(米+α)」としては大人1人が年間100キロ程度を消費すると仮定した。

それらをまとめたものがこのグラフだ。

日本の米は、昨今、高騰を続けているため、100キロを買うと年間8.5万円ほどとなる。(1年前は半分の4万円前後)

日本の平均給与は460万円なので、負担率は1.85%。

食べ盛りの子供もいるような家庭であれば、これの×3倍、×4倍がかかるので大きな支出だろう。

なお、同じ「米」だけに絞ると、ベトナムのデータが意外だった。

米そのものは日本よりかなり安いものの、給与も低いため負担率は2.57%と日本より高い。

だが、それ以外の米を主食とする中国(南部)、タイ、韓国などは1%を切り、韓国においては0.5%と日本の1/3以下の水準となっている。

米以外で見ると、中国(北部)の小麦が1.17%となっているが、これはウクライナとロシアの戦争による全世界的な小麦の価格高騰が影響しているようだ。

またフランスの主食であるパン。(これも小麦だが、加工品ということで別とした)

日本では高級食品だが、現地ではバケット1本おおよそ1ユーロ(165円)程度で売られており、年間の負担は66,000円と日本より安い。

逆に平均給与は630万円と日本より高いので、負担率は1.05%となっている。

こららの比較の中で最も負担率が低かったのがフィンランド。

主食はジャガイモで、米や小麦に比べると栽培が楽で供給が安定しているため、かなり安価に手に入る。その上、国民の平均給与も高く、負担率は0.23%と低水準。

フィンランドだけでなくジャガイモ主食国は概ね負担率が低そうだ。

なお、繰り返すが、あくまで参考データに過ぎない。

日本人が米だけでなく、麺やパンも食べるように、フィンランド人だってジャガイモだけを食べているわけでもないだろうし、それは他の国も同様。

但し、あくまで主食と給与という関係で言えば「1%弱かそれ以下」という国が多く、現在の米価格は主食としては「高い」ということになるのだろう。

一方、前述の通り、米農家の収益改善も大きな課題であり、以前のような5キロ2,000円台では将来的な継続性がない。

私自身はこの分野の専門家ではないが、素人考えでは「5キロ2000円台後半くらい」が丸く収まるラインなのかな?などとも思ったりする。

久しぶりにFP(ファイナンシャルプランナー)らしい内容だった本日のコラムでした。

 

 

 

 

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5月 16th, 2025 by