生意気と失礼の境界線


数日前のこと。

家に帰ると極めて不穏な空気が流れている。

どうやら妻と娘の間で何かしらのいざこざがあったようだ。

最近、娘が中学生になり急激に大人びてきたため、我が家では母娘間のもめごとが増えてはいるのだが、

ドントタッチ ゴット ノートラブル(触らぬ神に祟りなし)

これを人生の教訓としている私としては、このような場面で余計な詮索はしない。

そのため、しばらくは放っておいたのだが、妻側から出る「ちょっと聞いてよ!!」というオーラが半端ではなく、その圧に負け仕方なしに話を聞けば、きっかけは母娘間でのLINEのやり取りとのこと。

家族全員で参加予定だった法事があり、その日程を巡っての「言った、言わない」

「〇月〇日は空けておいて、って言ったでしょ!!(母)」

「その日とは違う日ってママ言ってた(娘)」

「ちゃんと言いました(母)」

そんなやり取りの後、娘が放った一行。

「チッ」

たった1文字半に母がキレた。

妻の言葉をそのまま書けば、

「パンツまで洗ってもらっていて、舌打ちされる覚えはない!!」

とのこと。まあ、それはそうだろう。

うちの妻は極めて温厚な人で、子供に対しても怒りをあらわにすることはあまりないのだが、この時ばかりはよほど腹に据えかねたのだろう。

ピックアップ!!マロン インザ ファイアー(火中の栗を拾う)

触らぬ神に、などと言っておいて何だが、それでもいざトラブルに巻き込まれれば、果断の決意をもって熱々の栗にも手を伸ばす。これも私の人生の教訓だ。

出来るだけ揉め事は避けるが、身に降りかかった火の粉は全力ではらう。

これも男の生き様だ。

話を進めよう。

まず、妻の話は聞いた。

次は娘。

早速、インザファイアー状態のマロンちゃん(娘)の部屋の扉をノックする。

案の定、イライラのプリプリ状態でママへの不満を口にしていた。

この家を統括するゴットファーザーとして、力押しで「お前が悪い!!」と断定することは簡単だが、娘ももう中学生。一応は大人としてその言い分を聞いた。

聞けば、悪い発言であったことは自分でも分かっている。それでも「そんなに怒ることはないではないか?」ということがその主張の主旨であった。

生意気と失礼の違いは分かるか?

そんな話をした。

「クッ・・・このクソ親父、こちらの劣勢につけこんで、下らない演説をしにきやがったな・・・」

娘の目の端にそんな感情を読み取ったが、あえて無視する。

生意気と失礼の境界線は「敬意」だ。

相手に敬意をもっていれば、ある程度荒い言葉の応酬となり、双方が感情的になったとしても、最後は許される。

むしろ若いうちは生意気なくらいでちょうど良い。

物わかりの良い若者など、何の面白みもない。

だが境界線を越え、相手に敬意を持たない状態。

その暴言は自分がスッキリするだけで、周囲に大きな禍根を残す。

その点から言えば「チッ」という短い言葉には敬意のかけらもない。

だが、娘が母に対して敬意がないのか?と言えば、当然ながらそんなことはない。

言い負かされた怒りで、一時的に敬意レベルが下がっただけだろう。

そう、この「敬意レベル低下」が怖いのだ。

これが起こるとあっという間に、自分でも気づかない間に境界線を越えてしまう。

父もこれで過去随分痛い目にあってきた。

基本的に存在そのものが生意気なのに、更に怒りのスイッチが入り境界線を越え「失礼領域」に入る。

結果、多くの人を傷つけ、失望させてきた。

なお、もう一つ私特有のスイッチとして「悪乗り」もある。

悪乗りして、繰り出す度を越した失礼。

怒りと悪乗り。この2つが敬意レベルを低下させる2大要因だ。

娘を見るに、元々、慎重な性格でもあるので悪乗りはあまりしない。

悪乗りはむしろ下の息子の方に色濃く継がれているような気がする。

誠に血は水よりも濃い・・・

「怒りに我を失し境界線を越えるな!!その先には失うものしかない。」

そう忠告し、娘も多少は理解したようだ。

最後にこう告げた。

「ちなみに父がこれらのことに気づき、自分を律することに成功したのは・・・」

45歳だ!!

「つい最近じゃないか・・・・」

娘はそう絶句していた。

親の希望としては20代後半くらいまでには自らをコントールする術を身に着けて欲しいが、さてどうだろうか?

本日のコラムでした。

 

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10月 11th, 2025 by