相続財産は半々、なのに相続税は9:1 ?!


親が亡くなり、子が遺産を相続する。

ここでは兄A、弟Bの二人のお子さんがいたとしましょう。

兄弟間の関係は良好で、円満に1/2ずつ分けました。

しかし、実際に負担する相続税10のうち兄が9を払い、弟は1で済む。

こんなことが実際にあります。

その原因となるのが、

小規模宅地等の特例

です。

例を挙げながら解説していきましょう。

先のA,Bには以下のような財産が遺されました。

現金・有価証券    1億円

自宅(土地・建物) 1億円

Aは遠方に住んでおり、Bは母(父は既に他界)と同居していました。

Bは引き続きその家に住むため、

「お金はAが、自宅はBが」

相続することになりました。

A 兄 現金・有価証券    1億円

B 弟 自宅(土地・建物) 1億円

幸い現預金と自宅の価値がほぼ同じであったことから、兄弟間の話し合いもすんなり決着しました。(多くのケースでは不動産の方が高く、すんなりとは決着しないのですが・・・)

しかし、ここから相続税の話になるとガラッと風向きが変わります。

まず、金融資産と不動産で相続税評価額が異なります。

現金・有価証券1億円は、ほぼそのまま1億円と評価されますが、不動産は市場価格の6~8割程度で評価されることがほとんどです。

すぐに現金化できるわけではない不動産は、流動性の高い金融資産より財産としては「目減り」すると考えられるからです。

ここでは市場価格の7割、つまり1億円が7,000万円になったとしましょう。

そして、更に評価額を下げる方法があります。

それが先に述べた「小規模宅地等の特例」です。

この制度は親と同居していて、死後もそのまま家を継ぐようなケースに適用されるもので、土地の価値を80%減してくれます。

そのため市場価格1億円の不動産も1億円→7,000万円→1,400万円と、評価額は相当に下がるのです。

注:小規模宅地等の特例は土地だけに適用され、建物は対象外です。
上記の1億円の自宅には「建物」も含まれ、その分は8割引きになりません。
ただし、築年数の古い建物は「ほぼ価値がない」場合が多いため、上記では話を分かりやすくするために建物価値を「ゼロ」としています。

このような状況では、相続税上の分配は以下のようになります。

A 兄 現金・有価証券      1億円

B 弟 自宅(土地・建物) 1,400万円

もちろん、これはあくまで「相続税評価」の上での話で、実際の市場価値としてはどちらも1億円ですから、ご本人たちに不公平感はありません。

では次に相続税を見ていきましょう。

相続税は以下のような流れで計算されます。

1 相続財産の「相続税評価額」を計算する

2 基礎控除を引き、課税の対象となる「遺残総額」を決める

3 各人の「法定相続分」を出し、相続税の「仮計算」をする

4 実際の取得割合で按分する

まず1ですが、これは先に述べた通り、現金・有価証券が1億円、自宅が1,400万円となりますので、合計1億1,400万円です。

2では基礎控除を除きます。

基礎控除は「ここまでは相続税がかからないよ」というラインであり、計算式は以下の通りです。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人

今回は兄弟の二人なので、4,200万円です。

ここまでは非課税なので、これを「超えた分」が遺産増額です。

1億1,400万円 - 4,200万円 = 7,200万円

課税の対象が7,200万円と分かったところで、3に進みますが、これは少々小難しい話です。

相続税の計算では

「一旦、相続財産を法定相続分に割ってみる」

という作業をします。

法定相続分とは、法律で決まっている「原則的な分け方」であり、今回、相続人は兄、弟の二人なので1/2ずつです。

7,200万円を1/2に分けると、一人あたり3,600万円となります。

「3,000万円~5,000万円」の相続財産には20%が課税されますが、200万円の控除があるので、3,600万円の相続税は520万円です。(3,600万円×20%-200万円)

つまり、

「普通(法律通り)に相続したら一人520万円の相続税がかかるよね」

ということを確認したわけです。

これが二人分なので、相続税は1,040万円です。

これが「家全体の代替わり(相続)」にかかる税金ということですが、最後にこれを

「もらった分(実際の取得割合)で按分」

します。

今回は以下のように財産を分けました。

A 兄 現金・有価証券      1億円

B 弟 自宅(土地・建物) 1,400万円

総額1億1,400万円のうち、兄Aが1億円と全体のうち87.72%、弟Bが1,400万円で12.28%を継いでいますから、相続税1,040万円もこの割合で負担することになります。

結果はこのようになります。

A 兄 912万円(87.72%)

B 弟 128万円(12.28%)

いかがでしょうか?

実際には同じ価値の財産を相続していながら、税負担は9:1になりました。

財産分与の段階では特に揉めていなかったのに、この段階になって関係がギクシャクしてしまうようなことも多いです。

このような問題の解決策の一つが「生命保険」です。

あらかじめ相続税を賄えるだけの保険に入っておいて、受取人に兄弟A、Bを指定。

受取割合を9:1に設定しておけば良いのです。

具体的な商品としては「一時払終身保険」などがあります。

この商品は保険料を一括で支払い、亡くなった時には支払った保険料の1.5倍~2倍の保険金が受け取れます。(年齢、性別、加入時期などによる)

先の例で言えば、1040万円の相続税を支払うために、600~700万円程度を支払えば良く、かつそれを兄弟が「想定される負担分」に照らし合わせて受取比率を設定しておくのです。

みかづき保険ではこのような相続に関するシミレーション、対応策のご提案をさせて頂きます。

Zoom等でのご相談も可能ですので、以下よりお問い合わせ下さい。

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加藤 圭祐 みかづきナビ
運営会社:あおばコンサルティング
1級FP技能士・宅建士

 

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3月 14th, 2026 by