夢の中の君へ


少々堅苦しい話から始める。

デルタ波、シータ波、アルファ波、ベータ波

全て脳波の種類だ。

デルタ波  0.5~4Hz(ヘルツ)睡眠中、麻酔状態など

シータ波  4~8Hz うとうとしていたり、瞑想中

アルファ波 8~13Hz とてもリラックスしている状態

ベータ波  13~30Hz 思考、集中、活動中、ストレス

巷のビジネス本などでも「アルファ波をキープしリラックスすることが重要」などと書いてあるが、実際のところストレス社会に生きる現代人はベータ波状態でいることが多いそうだ。

なお、Hz(ヘルツ)とは1秒間に電気的な波が何回繰り返されるか?ということを表している。

脳の中にはニューロン(神経細胞)があり、微弱な電気信号を送ることで身体をコントロールしたり、物事を考えたりする。

寝ている間やリラックスしている時には脳の活動は穏やかで、そのため1秒間あたりの「波」の回数は少ない。

逆に集中していたり、興奮している時には脳内は活発になり波の回数は増える。(ベータ波)

Hzは「脳の回転数」のようなもので、Hzが低ければ脳はゆっくり(リラックス)動いており、高ければ速く(集中、緊張、思考)動いているということになる。

 

さて、話は唐突に変わる。

9歳の息子がバカすぎる。

何度同じことを注意されても同じミスを繰り返すし、忘れ物もひどい。

先日も水筒を学校に忘れてきた。

翌朝、妻から「今日は持って帰ってきてね」と釘を刺され「うん!!分かった!!」と勢いよく返事をしたものの再び忘れる。

3日目。学校に二泊三日した水筒に残っていたお茶を「汚いから飲まないこと」と言われたにも関わらずそれすら忘れて口にし、それでも全く腹を壊さなかったことを誇っていた。

こんなことが年がら年中起こる。

数歩歩くと数秒前のことはすっかり忘れてしまうような感じで、親から見ても「注意散漫」という表現がぴったり。

胃腸は強いが、どうも頭は弱いようだ。

そんな話を古い付き合いの友人達としていると、皆が口々に「男の子はそんなもの」、「うちもひどかった」と同意してくれた。

しかし、ある一人が「脳波」の話をし始めた。

冒頭の説明文もそいつの受け売りだ。

曰く、子供の脳は成長するにつれHz(ヘルツ)を上げていく。のだそうだ。

産まれてすぐの新生児はほとんどが眠りの中にいるのでデルタ波(0.5~4Hz)が中心。

1歳ごろからシータ波(4~8Hz)が優位となり、3~5歳ごろから徐々にアルファ波(8~13Hz)が強くなり、8歳を超えたあたりで常時10Hz程度まで出力が上昇。

そこからは個人差があるものの、おおよそ中学に入るころには成人と同レベルのベータ波(13~30Hz)が主体的になる。

彼の話は続く。

「まだ脳が発展途上でアルファ波状態なんじゃない?放っておいてもベータ波まで出力が上がれば集中力も論理力も飛躍的に伸びるよ」

何だ!!その神解説は!!そう感嘆しそうになったが、それよりも先に他の友人が口を開いた。

「あっ、分かる!!なんかある日突然覚醒する瞬間があったな」

もう高校生になった息子を持つ友人がそう言うと、皆が一様にうなずいた。

うちの息子は私が40歳の時に生まれたため、割と「遅い子」である。

そのため友人の子供たちはほとんどがうちの息子より大きく、つまり友人たちの父親・母親歴は私より長い。

脳波説が展開され、それに激しく同意する先輩父母。

これには説得力があった。

「つまりはまだ夢の中ってことか」

まあ、そういうことだな。その友人がうなずく。

であるならば無理に起こす必要もない。しばらくは見守ってやろうじゅないか。

良いことを聞いたので、妻にも話してみよう。

そう思いながら家に帰る。

途中、便意を催したので玄関からトイレに直行。

座った瞬間、ケツに冷たいものを感じた。

息子がまき散らした小便が便座に飛び散っており、その上に座ってしまった。

「夢の中」の所業とは言え、流石にイラっとする。

トイレから出ると、すぐ横の脱衣所で風呂から出た息子がフルチンで鏡に向かって変なポーズをしていた。

「こっちの方がカッコ良いな、フッフッフ」などと一人でブツブツ言っている。

問答無用でケツを蹴る。

ケツ小便にはケツキックだ。

「痛っ!!ケツが割れた!!ケツが割れた!!」

と叫ぶ息子。

早く目が覚めて欲しいような、欲しくないような・・・・

本日のコラムでした。

 

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5月 2nd, 2026 by