ギュられる世界の新常識?!Rule of 70の衝撃


ギュられる

今年の新流行語になるかもしれない。

シンギュラリティ(技術的特異点)を達成したAIにより自らの仕事を奪われることを意味しているとのことで、若い世代で流行っているそうだ。

今更ここで書くほどのことでもないが、AIの急速な進歩により、今後様々な仕事が「消滅」する未来が予測されている。

特にその影響は従来「エリート」とされてきたホワイトカラーに深刻であり、子供の頃からその「枠」を目指してきた若者にとっては、AIの台頭は脅威でしかない。

いきなり出てきたライバルはあまりに大きく、あまりに強い。からだ。

ギュられる。という言葉には「刈られる」と似た受動的な響きがあるが、AIという不可抗力の前に佇むしかない若者たちの悲哀が込められているようで興味深い。

だが、現実社会においては最もインパクトを受けているのは若者ではなく「おじさん」だ。

実際、アメリカではAIによるリストラが大きく進んでいる。

「Rule of 70」

先日、マイクロソフトが発表した自主退職プログラムの中に含まれている「条件」がこれ。

創業51年の歴史で初の退職推奨プログラムで、米国の従業員の最大7%にあたる8,750人を「リストラ」することを目的としている。

年齢+勤続年数が「70」を超える社員が対象となっている。

しかし、露骨に「高年齢の社員」をターゲットにしていることが分かる。

「Rule of 70」に該当するケースをいくつか挙げてみよう。

・22歳で入社し、現在46歳 勤続24年(合計70)

・25歳で入社し、現在48歳 勤続23年(合計71)

・30歳で入社し、現在50歳、勤続20年(合計70)

・40歳で入社し、現在55歳 勤続15年(合計70)

・50歳で入社し、現在60歳 勤続10年(合計70)

年齢が高い、勤続年数が長い、この2つに当てはまる社員は社内では「ベテラン」という位置ずけで、過去のマイクロソフトの栄光を築きあげた「古参」であるはずだが、一方、給与水準も高く、また年齢的にも新技術(AI)へのスキル移行が難しい。

それをばっさり切る。

マイクロソフトほどの巨大企業でも来るべきAI世界に挑むためには余計な社員を抱えてはいられないということなのだろう。

40代後半以上は要らない。そう言われているようなものだ。

この件が表すように実社会で「ギュられて」いるのはまさに中高年世代。

日本の場合、雇用関係は法律で強く守られているし、マイクロソフトのようなことをすれば「弱者に厳しい企業」というレッテルを張られ、社会的なマイナスも大きい。

そのため同様のことが起こるとまでは思わないが、「Rule of 〇〇」という概念は浸透するのではないか?

つまり、どこの企業でも「勤続年数が長いだけのおじさん、おばさんは要らないよね」という共通認識が強くなる。

もちろん今でも同様の考えはある。

どこの企業でも何をやっているのか分からないような中高年社員がたくさんいて、「妖精おじさん」などと呼ばれお荷物になっていることが問題視されているが、それでも日本人のベースにある年功序列的な思考もあり「いままでの貢献度」などという曖昧な評価でその存在が許されている。

しかし、AIが社内の様々な業務を「ギュる」ことにより、このような人たちは一層やることがなくなるだろう。

更に言えば、日本においてのこの層は就職氷河期世代、ロストジェネレーションにがっちり一致している。

私自身もこの世代だが、何という悲劇だろうか・・・・

社会に出た時にはバブル崩壊の後始末でろくな仕事に就けず。

ようやく入った会社でも採用人数を絞ったせいで業務は過大。

パワハラ、セクハラが当たり前の中で20代、30代を過ごし、30代後半にさしかかってようやく肩書を得た時にはハラスメント意識の高まりで、下の世代に厳しく指導をすることも許されない。

下に残業をさせないために自身が身を削り、40代になれば人手不足。

ゆるゆる採用枠で入ってきたアホな新人が、自分が苦労してたどり着いた給与と遜色のない額を手にする。

で、ここにきてAI?

もうやってもらう仕事はありませんだ?

はぁ?

ふざけんな!!

まあ、本音はこんなところだろう。

もちろん日本の未来を考えれば雇用契約をより柔軟な形にし、企業は不必要な人材を整理し(それがたとえ古参であろうとも)、AIありきの体制に変えるべきだ。

だが大丈夫。

先に述べた通り日本には鉄壁の雇用制度がある。

万能完璧なAIも法律には勝てない。

幸い我々の世代は人数だけは多い。

もし雇用関係の法律を変えるような公約が出てきたら、逆に「雇用を守る!!」というような耳障りの良いことを言う反対政党に投票すれば良い。

AIだが何だか知らないが、沈む時は一緒だ。

シンギュラリティの最大の敵、それは我々就職氷河期世代かもしれない。

フッフッフ。

世代を代表して一筆申し上げた。

本日のコラムでした。

 

 

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5月 10th, 2026 by