2026年4月施行 治療と仕事の両立支援 努力義務化の「?」


2026年4月、労働施策総合推進法の改正により企業の

「治療と仕事の両立支援」

が努力義務化された。

内容を簡単に説明すれば、

従業員が病気や怪我した場合、企業は治療と仕事が両立できるように支援(努力)しなくてはいけませんよ

ということになる。

現時点ではまだ「努力義務」なので、何か罰則等があるわけではないのだが、今までは病気や怪我を理由に一方的に解雇するような事例も多く発生していたため、それらを「防ぐ」という意味では大きな一歩だろう。

一方、従業員の病気・怪我のリスクを企業に押し付けているような側面もあり、その点には強い違和感を感じる。

本日はそのあたりを論じてみたい。

まず、この政策の背景にはがんとメンタル疾患がある。

もちろん他にもいろいろな病気があるが、ここでは代表的な2つとして挙げる。

まずはがんの話から。

一昔前には「不治の病」だったがん。

昨今では治療法が進化したことで、生存率は劇的に高まっている。

だがそれでも厄介な病気であることには変わりはなく、正直なところがんが発生した「場所による」ところが大きい。

外科的な手術でパッと切れて、1,2回の抗がん剤で終わるようながん(胃がん、大腸がんなど)であれば、患者本人もびっくりするくらい短期間(1,2週間)で社会復帰できる。

しかし、例えば血液のがんである白血病や、肺の根元に出来たようながん、脳の悪性腫瘍など、物理的にアプローチ出来ないがんの場合、その治療はかなり困難だ。

切れない以上、放射線や抗がん剤などに頼るしかないが、がんの進行を妨げることはあっても根治に至らないことも多い。

このようにがんと「長い付き合い」になる場合、問題になるのが仕事(収入)だ。

毎月、抗がん剤を使用するような場合、

1週目「入院+抗がん剤」

2週目「自宅療養(具合悪い)」

3,4週目「なんとか普通の生活が送れる」

こんな感じの生活パターンになる。

つまり、月のうち半分が治療、半分が仕事という生活となるため、職場の理解がないと就業を継続することが難しくなるのである。

このような「がんによる就業不能」及び「がん貧困」は近年、社会問題化しており、その解決に向けたものが冒頭の「治療と仕事の両立支援」の努力義務化なのだろう。

そしてもう一つ、メンタル疾患の問題。

これも一昔前なら、「すぐにクビ」になってことが多かった。

直接的に解雇はされずとも、何となく周囲の圧力を感じて自ら退職してしまうようなこともある。

病気で仕事を休む場合、給料の2/3程度が支給される傷病手当もあるが、心のバランスを崩している中で「職を失う」ことは不安を増大させ、デメリットになることはあってもメリットにはならない。

もちろん、職場のストレスが原因の場合は別で、むしろ辞めたことでメンタルは改善することも多いが、これにせよ進退は自らが決めることであって、企業側が押し付けるものではないだろう。

しかし、この問題は近年かなり改善されてきている。

と言っても企業側が急に仏心を出したわけでもなく、理由は単純。

数が多すぎることと、人手不足だ。

以前と比べ「休職します」と言い易くなったため、近年ではその数が増大。

ある企業の人事担当者に話を聞くと、昔は休職するのは年に数人だったが、今は月に数人と、2倍どころか10倍程度になっているとのこと。

つまり「休む」のが普通になっている。

また昨今の人手不足もあり「戻ってきてもらわないと困る」という企業側の実情もある。

そのため、メンタル疾患を原因とした休職には、企業側の理解がかなり進んでいるように思う。

だが、それでも問題はある。

重度のメンタル疾患となると、休職も長期、かつ複数回に渡ることもあり、復職をしても一般的な就業に耐えられないようなケースも。

先に挙げたがんでも同様のことが言える。

特に抗がん剤治療などは基礎体力も低下するため、業種・職種によっては働きたくても働けないようなこともある。

このようなケースではやはり行政のセーフティネットが助けるべきだと思う。

傷病手合も現行制度では支給が1年6ヵ月までとなっているが、それを超えた場合、生活保護や場合にとっては障害年金などに移行しなくてはいけないのだが、これらの受給のハードルは極めて高い。

社員の健康を守るのが企業の責務であることは明白だが、本当に重い疾病の場合、例え本人が「働きたい」と意思表示していても、それに対応することは難しい。

どこまでが企業の責任なのか?

国の制度も変えるべきでは?(傷病手当の長期化など)

企業に何かを求めるなら、国も何かを変えるべきであり、そのあたりを明白にせずに一方的に「努力義務」だけを課す。

それも随分無責任に感じるのは私だけだろうか・・・・

本日のコラムでした。

追伸:

なお、弊社の守備範囲である「保険」で言えば、社員が病気と闘うことをサポートするものとしては、以下のようなものがあります。

・法人向けがん保険

社員ががんになった時に給付金をお支払い

・GLTD(団体長期障害所得補償保険)

社員が長期間働けなくなった場合、収入の一部を長期に補償。退職時にそのまま補償を渡すことも出来るため、退職後の収入を支えることも出来る

もしご興味があればご連絡頂ければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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7月 3rd, 2026 by