敢えて負けにいく


私事ながら、先日、とある空手の大会で優勝した。

私が所属する団体の中ではわりと規模の大きな大会であり、そこで勝てたことは一つの自信になった。

今期は2月にも地方大会で優勝しているので、2勝目ということになる。

但し、初級、中級、上級と分けられた中で「中級まで」という条件付きの部門での勝利であるため、他のスポーツに例えるならば、2部リーグで優勝した、というようなイメージだろう。

今後は化け物のように強い黒帯(初段)などが割拠する上級部門(1部リーグ)で戦うことになる。

ちなみに過去4回ほど上級に出たことはあるが、1度も勝てたことはない。

私がやっている空手はいわゆる「フルコンタクト系(フルコン)」というもので、手や足にガードを付けるものの、一般的なキックボクシング用のものと比べると非常に薄く、その状態でお互い「シバき合う」のだから、当然痛い。

また参加するのは重量級という体重の制限がない部門のため、場合によっては185cm、110kgというような人も出てきて、流石にそのような人を前にすると怖いし、試合が近づくにつれ

「何でこんなことやっているのだろう・・・・」

と途方に暮れることになる。

それでも勝てれば嬉しいし、負けたとしても「ようやく終わった」という解放感は相当なもので、むしろ逃げずにその場に立てた自分を誇らしく感じるものだ。

何でこんなことをやっているのだろう。

改めて自身に問う。

もちろん普段の練習の成果を発揮し、相手に勝つため、というのが教科書的な答えになるのだが、私の場合、ちょっと違うような気もする。

むしろ負けたい。

そんな側面もある。

「あなたは負けました」

そう通告されることは、実社会では少ない。

特に私のように自分で会社をやっていると、上司や競争相手となる同僚がいるわけでもないので、普段の生活で「負けた」と感じることはほとんどない。

もちろんある仕事を巡って競合に負けることもあるが、それとて一時的なもので「いつかは取り返す」という気でいればそれは負けではない。

結局のところ時間をかけて丁寧にプロセスを踏んでいけば、大抵のことはひっくり返せる。

仕事においては「負けない方法」が身についているのだろう。

私はしつこいのだ。

だがスポーツはそうはいかない。

明白に勝者と敗者が決定し、それは絶対に覆らない。

この負けの味が悪くない。

「君はまだまだだよ」

そう言われているようで、清々しい。

まだ先に道がある。成長がある。

50歳を過ぎれば、自身の能力に関わるほとんどのことは頭打ちになり、成長や進化を実感できることは少ない。

「俺はここに負けにきてるんだなぁ」

最近はそう思ったりもする。

さて、次のステージは上級だ。

しばらくは勝てない日々が続く。

でも、目指す先があることの方が嬉しい。

現実問題として上級で優勝することはかなりハードルが高いが、私はしつこい。

周りがヨボヨボになった60歳過ぎくらには夢が叶っているかも、しれない。

本日のコラムでした。

 

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8月 2nd, 2026 by