台風を、父を超えていけ!!沖縄旅行台風直撃の話・・・


今は亡き父がこんなことを言っていた。

「雨、雪、風、暑い、寒いに文句言う奴はバカだ。口に出したって何も変わらない」

子供心に「それもそうだ」と妙に納得し、以来、遺言として守るようにはしている。

が、どうしても口に出したくなることもある。

8月の夏休み、家族で沖縄に行ったが運が悪いことに台風が直撃。

初日から3日目までは、沖縄の最北部(かなり上の方)に滞在し、ヤンバルクイナを見たいと思っていた。

しかし、数日前に宿から連絡があり、

「来ない方が良い。停電するかもしれないし、そもそも倒木などで道が寸断すれば辿りつけるかどうか・・・」

と言う。

仕方なく宿をキャンセルし、初日は那覇に宿泊し、様子を見て北部を目指そうと思ったが、その後も状況は好転せず、他の宿(最北端よりはやや下る北部エリア)に電話するも

「来るのは自由だが、スタッフの安全のために16時以降は無人になる」

と、なかなかハードなことを言う。

スタッフもいない宿に我々だけで泊まる。

それはそれで面白そうだなとも思ったが、一人ならまだしも家族もいる。

結局、妻の「何かあったらどうするの?」という無言のプレッシャーに負け、諦めた。

どうでも良いが、世の母親の「何かあったら心配症候群」には正直なところ辟易とする。

先回りのし過ぎが子供をひ弱にする。

「何もない人生なんてない。転んで打たれて人は強くなる」

と反論したいところだが、その主張は平時に述べるべきであり、台風が迫っている状況で持ち出す議論でもないだろう。

雨の沖縄。

経験したことがある方ならお分かりだと思うが、基本的にやることがない。

しかも、那覇市内ですら台風の影響で大型ショッピングセンター、飲食店なども臨時閉店。

父の遺言を棚に上げ、家族全員で台風に毒つくしかない。

さて、どうしたものか。まだ今夜の宿も決まっていない。

折角の旅行、家族に楽しんでもらいたいが、コンテンツは何もない。

こういう時、戦略は自ずと決まる。

そう・・・金だ!!

金にモノを言わせ、良いホテルを取る。それしかない。

室内プールがあれば、下の息子は楽しんで遊ぶ。

高級ブッフェがあれば、食いしん坊の上の娘は納得する。

そしてサウナとか大風呂とかがあれば、妻はそれに浸かって満足する。

私は酒さけあればOKだ。

その条件でホテルを検索。

幸いどこのホテルも台風でキャンセル続出なのか、当日でも結構よさげなところが空いていた。

那覇市内から車で30分ほどの「やや高」のホテルを予約した。

ホテルに電話すると、

「本来14時チェックインですが、こんな状況ですからお着きになる頃にはお部屋に入れるようにしておきます」

とのありがたいお申し出を頂く。

やはり高い宿は違う。

本来であれば、北部のジャングルの中のコテージで自炊しながら「生命と自然」に思いを馳せる3日間を過ごすはずだったが、その対局にある快適なホテルライフとなった。

しかし、結果としては満足度は高かった。

やっぱり高い宿は良い。

外人だらけの室内プールでは水泳部の娘が弟をコーチし、劇的にクロールが上手くなった。

夜のブッフェは高いだけあって美味しかった。娘はドン引きするくらい食いまくっていた。

室内にいる時間が長いので、仕方なく家族でUNOをやったが子供たちが意外と強くて、悔しい思いをした。

結局、「金の力」で父の威厳を守ったわけだ。

 

「雨、雪、風、暑い、寒いに文句言う奴はバカだ。口に出したって何も変わらない」

父の言葉を思い出す。

言っても仕方ないことにくよくよするより、状況は状況として受け入れ、より良くなる方法を探し、行動しろ。

そういうことなのだろう。

そう思えば、仕事や人間関係にも通じる深い言葉とも言える。

昭和6年生まれの父は、戦前、戦中、戦後に少年期を過ごし、激動の時代に青年になった。

それこそ食べる物もない時代。

否応なしに「状況」に適応することを求められ、出来なければ餓死するしかない。

そんな時代にあって、天気など些細なことなのだろう。

そういえば、私が子供の頃、暑いとか、寒いとか、雨だとか、天気のことに文句を言うと、父はすぐに駅前のパチンコ屋に入った。

中は涼しい(もしくは暖かい)し、父の横でパチンコを見ているのは意外と楽しかった。

父が勝って、景品をもらえるのも嬉しかった(昔のパチンコ屋さんは景品として、子供向けのおもちゃなどがそろっていた)

今では考えられないが、当時は子ずれパチンコも大目に見られていたのだ。

これもこれで一つの「解決策」とも言える。

時を経て、私の選択肢は高級ホテル。

フッフッフ。

ちょっとだけ父親の背を超えたような気がしなくもない。

本日のコラムでした。

 

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8月 30th, 2026 by