「いやー、金欠っすわー」
夏休みに家族で豪遊した社員のR君が横でつぶやく
一応、経営者として「給料を払う立場」である私としては、
「チッ給料安いんだよ!!上げてくれよ!!」
と聞こえるから不思議である。
「そのツイート、声に出さずに『心の中で』呟いてくれないか?。。。」
と、こちらが心の中でツイートする。
中小企業の社長とはそんなもんである。
そんなR君が会社支給のiPhoneを買い替えたいと申し出てきた。
元々は個人所有のものを会社契約に切り替えたもので、随分と年季が入っているので異存はない。
ちなみにR君は、
会社支給のソフトバンクのiPhone
個人所有のドコモのガラケー
の2台を使用していて、両方の使用料は合わせて毎月1万2000円ほど。
「金欠なら、この際格安SIMで1台にまとめちゃえば?そうすれば個人負担分がなくなる。ついでに安くなるから会社も助かる。家計のコストダウン策としてお客様にもお話できるし」
と提案したが、
「いやー、Docomoもう16年も使ってるんで、何か愛着がねー」
「格安SIMで使える機種って、アンドロイドばっかりですよね?使いにくいみたいっすよ。。。」
といちいちネガティブな回答しか返ってこず、1ヶ月以上ウダウダ言っていた。
いわく、iPhoneはcool、アンドロイドはダサい、というイメージを持っているようで、
「スマホで一番良いのがiPhoneじゃないですか?アンドロイドにするのって、何て言うかBMWがプリウスに、叙々苑が牛角みたいな、
『都落ち感』
があるんすよー」
だ、そうだ。
「人は変化を嫌う」
フォード自動車を創業したヘンリー・フォードの言葉は深い。
別に引き続きソフトバンクの新iPhoneを支給しても良いのだが、その変化を嫌う気質が気に入らない。
しかも、ちょっと調査してランニングコストが異様に安くなることを「知ってしまった」後となっては、会社としても格安SIMに換えて欲しい。
ここは経営者として改革を断行するべきだろう。
何度目かの話合いの末、こう宣言した。
「うるさい。さっさと替えてこい。」
そしてこう付け加えた。
「お前、BMWも持ってないし、叙々苑も行ったことねーだろ!!iPhoneだけの一点豪華主義、ってその方が貧乏臭いわ!!」
一度怒るとその牙は相手の心をエグるほど鋭い。
これも、中小企業の社長の側面である。
ちなみに数ある格安SIMのサービス会社の中でも今回はIIJ mioを選んだ。
そもそも私がIIJ出身。
お客様も多く、他の会社を選択することはあり得ないが、雑誌などのランキングを見ると常に上位にその名があるから安心した。
また誰が書いているのか分からないネットの格安SIMランキングの情報は
「どう見てもこれアフィリエイト目的だろ。。。。」
というものしかないので、正直なところあまり参考にならない。
と、言うことで
「業務命令。IIJ mioに変更。即日実施のこと」
と相成る。
機種の選定はR君に任せたが、4日後にVAIO Phone Aというスマホが届いた。
ここからは、実際に使用しているR君の感想にバトンタッチしたい。
【R君の証言】
全然問題ない。マジで。
それどころか新しいスマホ超快適。最高。
VAIOスマホ、画面がiPhoneよりデカイし、デザインも格好良い。
確かにアンドロイドの操作性にはじめは違和感があったけど2日で慣れる。
何よりスマホは新しい方が性能が抜群に良い。
何をするにしても処理が早いし、長年使った古いiPhoneより画面も綺麗。
古い型落ちのBMWより、新車のプリウスの方が良い。そんな感じ?
しかも月々のコストも安いのだから、もっと早く換えておけば良かった。
むしろ換えない奴アホ。
いや、でもこんなサービスが広まったらiPhoneが売れなくなって。。。
アップルはヤバイかもしれない
とのこと。
あまりの変わり身の早さに少々腹が立つが、時価総額世界1位の企業の行く末を心配する彼の顔は真剣だった。。。
とは言え、当の本人は「格安SIM」に満足しているようで良かった。
会社としても今までのソフトバンクのiPhoneよりコストダウン出来たので、数千円と言えどありがたい。
なお、変更後の料金はこんな感じ。従来の半分以下である。
今までとの相違点は以下の3つ。
① 今までは通話し放題だったが、通話定額オプションは1度の通話に10分まで(「みおふぉんダイヤル」なる専用アプリを使う。使用感は通常の通話機能と変わらない。)
② ドコモ、ソフトバンクのキャリアのアドレスがなくなる
③ SMS(ショートメール)の利用にお金がかかる
①の通話に関しては、10分を超える電話というのは月に1度あるかないかという程度。
②、③についてはその方法でやり取りしていた方たちに(そもそも対象人数も少ない)
「今後はLINE or メッセンジャー or Gmailで」
と通達すれば済む。
なので、換える前には色々心配していたが、いざ変更してみると問題になることは皆無だった。
変更してから一週間。
「加藤さんも替えた方が良いですよ。会社の経費も安くなるし。」
と、彼の心配は世界的大企業だけでなく自社にも及ぶ。
何て良い奴なんだ。
しかし、彼は知らない。
格安SIMを一番疑っていたのは私だということを
つまり、彼でテストしたわけだ。
「人は変化を嫌う」
ヘンリーはそう言うが、何でもかんでもやれば良いというものではない。
事前の調査と試験導入は大事なことだ。
ありがとうR君。近々、私も格安SIMに換えようと思う。
本日のコラムでした。
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