JAL vs ANA CA合コン対決


先日、お世話になっている不動産会社の社長ご夫妻とお食事をご一緒させて頂いた。

奥様とお会いするのは2回目だが、ちゃんとお話をするのは今回が始めて。

すらっとした長身の綺麗な方で、聞けば20代、30代とJAL(日本航空)でCAをなされていたとのこと。

破綻する前のJAL。

その華々しい時代のお話をお伺いし「そういえば」と昔話を思い出した。

今から10年以上前になるが、ある社長さんのゴルフコンペに行くと、やたらとCAの方々が多い。

その社長さんはいわゆる「CA好き」で、どういうネットワークなのか、JAL、ANA、海外エアラインのCAが、毎回2,3人で連れ立ってやってくる。

朝、コースに出る前のクラブハウスでお互いに自己紹介をするが、その社長が

「加藤君、誰か良い人がいたら紹介してあげて!!」

と話を振り、そのCAさん達も「是非、お願いします!!」と「どなたかお医者様はいらっしゃいませんか!!」と同じくらい切羽詰った感じで言うものだから、半ば義務として合コンを企画していた。

数で言えば10回程度だろうか。

そこで触れ合った「CAの世界」はなかなか面白いものだった・・・





1 JALは貴族、ANAは富豪、LCC&海外エアラインは雑草

某欧米系のエアラインのCAさんが、こんなことを言っていた。

あくまで当時の話だが、やはりJALが最も品格が高く、ANAは品では少々劣るが会社として裕福な(儲かっている)ので、気持ちに余裕がある。

LCCや海外航空会社は「それ以外」ということで肩身の狭い思いをしているとのこと。

CAの世界では「どこの航空会社か?」ということで価値が決まるらしい。

実際、JALのCAは酒を飲んでもピシッとしている方が多いのに対し、ANAのCAは酒を飲むと「普通の女の子感」が出る。

LCC&海外の中には、やや「酒癖が悪い子」もいて、まあ、なるほどな。と思わなくもない。(あくまで個人差あり)

また、正規雇用か、非正規か。というカテゴリーもあるそうで、

「タイ航空の正規CAと、ANAの非正規ではどちらが上なのか?」

と聞くと、

「日ハムの3番と、巨人の7番って感じですかね」

とおっさん臭い解説で煙にまかれた。

傍目には皆さん美人で、英語も堪能。礼儀正しく、普通の人からすれば「高嶺の華」

プロ野球選手と同じく「なれるだけで凄い」のだが、どんな世界にもヒエラルキーがあるらしい。

なお、一度、メンバーが揃わず、ANA2名と海外エアライン2名を招いた合コンを開催したことがある。

「まあ、今夜は呉越同舟ということで」

私がそう挨拶すると、男性陣は「上手いこと言うね」と笑っていたが、女性陣の目の奥底は笑っていなかった。

そして、双方牽制のし合いで、合コンも盛り上がらずに終ってしまう。

後日、そのことを例のCA好きの社長さんに報告すると、

「一番やってはいけないことだ」

と真顔で言われた。

そう言えば、この方のゴルフコンペでも、原則的に毎回1社のCAさんしか参加しておらず、つまりはそういうことなのだろう。



2 オフサイド、会話泥棒のラフプレイ

CAは社内教育のせいか皆総じて姿勢が良い。

そしてメイクも上手い。

そこから発せられる「凛とした空気」

思わず見とれてしまうが、騙されてはいけない。

CA。それは・・

中身は男

だからだ。

あの世界は体育会系。

「気合と根性」という考え方が根底にあり、全員が全員というわけではないが、基本的には「俺が俺が」のフォワード気質である。

そのため合コンに「売れ筋(医師、弁護士、イケメン)」の男性がいると、ポジション争いは熾烈を極める。

「上がり過ぎだ!!下がれ!!下がれ!!」

監督(主催者)の私がいくら指示を出しても、全く言うことをきかない。

ラインは乱れ、試合は混乱。

こういう状況になると、何とか目立とうとして「ラフプレー」が横行してくる。

何の脈絡もなく、会話の途中に自分の自慢話を始める「オフサイド」

「この間、渋谷で一日に3回もスカウトされちゃったんですよぉ。あれって詐欺とかなんですかね?」

「詐欺」という言葉を付け加えることで自虐っぽくしているが、結局は1日3回のスカウトを自慢しているだけ。しかも何の関係もないタイミングでぶち込んでくる。

完全にオフサイドである。

また、相手の会話を奪ってしまう「会話泥棒」も多い。

男性がこう言う。

「この間、出張でパリに行ってね・・・」

ここから、まだ彼の出張話が続くはずなのに「私、パリ線に乗ってたので、もう地元みたいなもんなんですぅ」と自分の話にしてしまう。

あの店が美味い、パリ郊外の〇〇という街が素晴らしい。などなどの知識披露が続き、いつの間にか男性の話を「盗んで」いる。

「怪盗!会話泥棒参上」である。

好みの男性を前に「私イケてるでしょ?」と発奮してしまう気持ちはわかる。

そのため1度や2度のラフプレーであれば見逃すが、あまりに酷いとベンチに戻すしかない。

「そろそろ、席替えしましょうか」

そう言って、暴れん坊を監督の横に座らせる。

「オフサイド2回、泥棒3回だよ。分かるね?」

「すいません。もっと丁寧にボール(会話)回します。」

とは言え、いきなり前線に戻すわけにはいかないので、男性陣の中でもやや会から溢れているような方の相手を任す。要はペナルティだ。

すると途端にCAの顔に戻り、相手の話に「身体全体で頷く」ようなリアクションで、男性を気持ちよくさせるのだから、その能力は素晴らしいの一言。

興味のない相手にはプロ根性が保てるのだろう。

しかしその目は笑っていない。

「いつ戻すのか?」

1分ごとにこちらにサインを送ってくるが、あえて気づかないフリをする。

せめて20分はそこを守って欲しい。それが本音だが、そんな意を汲んでくれるCAはいない。

ハッと気付くと「トイレに立ったついで」という名目でゴール前にいるではないか。

そして再びラフプレイで試合をかき乱す。

それでいて、しっかりと相手の男性とは連絡先を交換しているのだから恐れ入る。


3 上昇志向の目的地

某航空会社のCA。

ある若い医師と良い感じになっていたのに、その彼が突然、自分とは違う女性と結婚した。

しかもその相手は彼女たちの業界では最高峰の「JALのCA」

その屈辱感は外の世界には分からないらしい。

「話を聞いて欲しい」

というので、合コンの後に居酒屋で愚痴を聞いたが、

「自分は今まで最高の努力をしてきた。だから幸せになる権利があるはず」

という趣旨の話を30回以上聞かされた。

「そうだな」

そう連発するしかない。

夜12時解散の合コンの後の居酒屋。深夜2時をまわっていた。

彼女の年齢は30歳目前。

「もう、あそこまでの『スペックの人』には会えない」

そう言っていたが、好きだったのは「人」か?それとも「スペック」か?

聞くだけ野暮だと思い口には出さなかった。



先日、食事をご一緒した不動産会社社長の奥様がこんな話をしていた。

「JALの同僚で、JALに入る前から付き合っていた彼氏と結婚した子がいた。」

その彼氏は20歳近く年上の「おじさん」で、当時のJALのCA軍団の価値観からすると、

「もっと良いのがいるでしょ?」

という感じだったそう。

周りは事あるごとに「別れなよ」と言っていたらしいが、初志貫徹でその人と結婚したご同僚は今では多くのお子さんに恵まれ、幸せに暮らしているそう。

ご主人も60代にして事業欲旺盛で、複数の会社を経営し大成功。

今も交流があり、双方の家を行き来していらっしゃるそうだが、

「今になって思えば、素晴らしい人を選んだ。あの子の見る目は確かだったと思う」

とのこと。

そしてその奥様も、ご主人が不動産で成功しておられるが、出会った当時は起業前で決して良い時代ではなかったらしい。

要は先見の明があったのだろう。

「価値観は変わりますからね。」

そう明るく笑い、ご夫婦で銀座の夜に消えていった。

競争を勝ち抜き、若くしてブランドのある会社に就職したCA達。

そのマインドで、同じくブランドのある相手を求めるのだが、経験と年数を経て「何か大事か」ということが変化していく。そんなことを端的に表すエピソードで非常に面白い。

所属する航空会社、正規、非正規、彼氏や旦那の職業、年収、容姿、持ち物。

その昔、CA達から聞くその世界は「周りとの比較」ばかりで大変そうだったが、それを卒業すれば元々備わっている能力と根性が武器となり、CAという肩書きがあってもなくても軽々と世の中に飛び立てる。

やはり強くて優秀な女性たちなのだ。

そう言えば、昔合コンに来てくれていた連中は元気だろうか?

久しぶりに連絡を取ってみようか?

しかし次の瞬間こう思う。いや、やめておこう。

理由は自分でも良く分からないが、本能がそう告げる。

触らぬ神に祟りなし

褒めたそばから何だが、これもまた私がCAに持つ印象の一面でもある・・・

本日のコラムでした。


 

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12月 25th, 2018 by