選挙前にご一読!!高市政策と変動ローン


私自身、高市総理には非常に好感を持っている。

初の女性総理というだけでなく、性格は明るいし、旧来の政治家のような胡散臭さもない。

だが、政策となると

「うーん、日本国債(長期金利)は大丈夫なのだろうか?・・・」

という点を非常に杞憂している。

日本国債(長期金利)と言われてもピンと来ないかもしれないが、実は多くの人の生活に関係する「住宅ローン」と日本国債は直結している。

特に変動金利だ。

総務省の統計によると、日本の勤労者世帯(収入を得ている世帯)の約4割が「住宅ローン」を利用しており、そのうちの8割が変動金利を選択。

やや乱暴な計算ながら、4割(40%)×8割(80%)=32%が変動の住宅ローンをかかえていることとなり、働いている人たちの約1/3が変動金利の影響を受けている。

そして、それは高市総理によって命運を握られている。かもしれない。

本日はそんな話だ。

まずは基本的なところ。

何故、日本国債の利回りが上下するのか?

について解説したい。

日本国債は国が発行し、民間が買う。

つまり、国の借金であり、その返済期限によって2年、5年、10年など、色々なものが出されている。

この中でも最もスタンダードなのが10年国債。

この10年国債の利回りが=「長期金利」と定義され、各種住宅ローンはこれに連動する。

その話はあとでするとして、ここでは利回り(長期金利)が決まるプロセスについて説明したい。

10年国債は市場で常に売り買いされており、利回りは変動する。

ここで素朴な疑問がある。

日本国債は発行時に利回り(年1%など)が決まっている。

それなのに何故に、それが「上下する」のか?と。

特に最近、その動きが激しいので、その仕組みを解説する。

直近では、高市総理の解散宣言で大きな動きがあった。

現在の高市人気から自民党の圧勝を予言したマーケットは、今後も積極的な財政出動、つまり赤字国債が増大すると見て、財政悪化を懸念した結果、多くの投資家が日本国債を売った。

売る、ということは一方で誰かが「買う」ということだが、このバランスが重要で、これによって「利回り」が変動する。

多くの人が「売りたい!!」

買いたい人は「少ない」

こういう状況になると、逆競りのような形になり、国債の値は下がる。

具体例を見てみよう。

例えば、3年前に発行された(残存7年)利回り年1%の10年もの日本国債を持っている投資家がいる。

そして、こう考える。

「うーん、高市自民が勝ちそうだな。ってことはこれからも積極財政で、日本の財政は悪化する。最近、金利も上がっているから、これから発行される新しい国債の利回りは2%を超えそうだなぁ」

「手元の1%の国債を持ち続ければ、あと7年間、毎年1%は受け取れるが、売ってしまって、その資金を他の投資(新たに2%の国債を買う、もしくは株式投資など)に向けた方がよさそうだ!!」

そして、市場で売却する。

しかし、利回り1%の国債など誰も見向きもしない。

市場にはもっと高い利回りの国債があふれているからだ。

そうなると、この国債はディスカウントして販売することになる。

額面1,000万円で利回り1%、既に3年経過しているので、残りの7年間で得られるリターンは7万円。

一方、今後は新規国債には2%程度の利回りが期待できるので、それを7年間保有すれば14万円のリターンが得られことになる。

つまり、額面1,000万円ものを、993万円にすれば、7年後に1,000万円が元本として戻ってくるので、そこで7万円儲かる+毎年のリターンで7万円、合計14万円となり「条件が揃う」ため、なんとか売却出来る。

が、これは理論上の話であり、実際にはそこに多くの投資家の「思惑」が入る。

・つーか、日本国債ホントに大丈夫か?

・いや、まだまだ金利上がるだろ。利回りが2.5%くらいになる価格なら買っても良い

このような市場の原理によって、不人気の日本国債(特に利回りが低いもの)は、理論値よりディスカウントせざるをえない。

先の例で言えば、993万円でも売れず、991万円で売れたとしよう。

買った方は、7年後の償還時に額面の1,000万円を手にし、991万円の差額、9万円が儲かる+7年間の利息7万円を受け取り、総額16万円のリターンを得る。

つまり1000万円を投資し、7年間で16万円を得ているので、利回りはざっと2.28%となる。

このような数値が常に市場で形成されていくが、これは日本政府にとっても無関係ではない。

次に新しい国債を発行するための基準になるからだ。

市場での利回りが2.28%なのに、新規国債の利回りが1.5%だったとした「誰も買ってくれない」ので、市場に合わせて最低でも2.28%の利回りにしなくてはいけない。

当然、今後の利払いは多くなり、より財政を悪化させる。

それを赤字国債で賄うとなれば、まさに負のスパイラル。

次に、何故、10年物国債が住宅ローンに関係するか?

これはシンプルだ。

銀行が住宅ローンと日本国債を天秤にかけているから。だ。

銀行からすれば、自分たちが儲かるのであれば、住宅ローンだろうが、日本国債だろうがどっちでも良い。

長期金利が2%という状況の中で、住宅ローンの金利が1%だとしたら

「住宅ローンなんかに金貸さないで、国債買え!!」

ということになる。

もちろん、銀行の「社会的責任」とか、「国民にマイホームを持ってもらいたい」等々の建前はあるが、本音では儲かることが第一なのだ。

一昔前は国債の金利(長期金利)が無茶苦茶低かった(0.1%とかだった)ので、「住宅ローンの方がまだマシ」だったわけだが、今は事情が異なる。

住宅ローンでも2%前後の「上がり」が欲しい。それが本音だろう。

そしてそれを実現するのが「変動金利」だ。

「将来、金利(10年物国債の利回り)が上がったら、住宅ローンのご返済の金利も連動させてもらいますね(だって、そうじゃないと我々、国債買った方が良いもん!!:心の声)」

という約束をし、しっかりと自分たちが損しないような仕組みになっている。

多少時間はかかるが、変動金利は確実に長期金利に近づくようになっている。

一方、変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」という2つのセーフティ処置がある。

前者は当初5年間は返済額が変わらないというもので、後者は5年経過後も返済額の上限は125%(1.25倍まで)というもの。

これをもって、

「5年は返済額が変わらないし、将来も上がって25%だろ?別に心配するほどでもない」

そうおっしゃる方も多いが、実はそう簡単な話でもない。

この2つははあくまで毎月の「返済額」だけにフォーカスしたもので、その裏でも金利はしっかり機能しているからだ。

例えば毎月10万を返済している場合、金利が上がったとしても5年間は10万円が維持されるし、その後も12万5,000円(125%)が上限となる。

だが、その「内訳」は大きく違う。

例えば3000万円借りている場合、金利が0.5%(最近までの変動金利)であれば、年間の利息は15万円で済む。

毎月12,500円。

月の返済額が10万円(ボーナス返済なし)だとすれば、87,500円が元本返済に回り、12,500円が利息という構造だが、これが2%になると利息だけで年間60万円、毎月に均して5万円になるので、同じ10万円を返済していても、元本返済部分5万円、利息5万円となる。

実感として「毎月10万円」であることは変わらないが、実態は全く異なるわけだ。

仮にこの金利が3%などになれば、年間の利息は90万円。毎月7.5万円の利息を負担する必要があり、10万円の返済額の大半を利息が占める計算になる。

流石に3%まではまだまだ壁があるように感じるが、とは言ってもこのわずか1年間で1.3%も「上昇」しているので、今年の暮れくらいには「いよいよ3%」が見えているかもしれない。

そうなると、変動を組んでいる人の大部分は「利息を払っているだけ」というような状況になり、中には住んでいる家を手離すような人も少なからず出てくるだろう。

冒頭、高市総理個人には「好感を持っている」とは述べたが、政策的には極めて危険な道を歩んでいるような気がしてならない。

積極財政も悪いことではないが、既にマーケットが拒否している。

保険を通じて、長年債券にかかわってきた私としても到底支持出来ない。

選挙も近い。

「雰囲気・空気」だけでなく、我がこととして一票を投じて欲しい。

本日のコラムでした。

 

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1月 22nd, 2026 by