敗者に鞭を打つなよ・・・・


趣味で続けている空手。

先日、その大会で優勝をした。

50歳も超えると日々の生活の中で「嬉しい」と感じることはなかなかないが、優勝した瞬間思わず

やったー!!

と叫んでしまった。

と、言っても規模の小さな地域大会で、しかも私は運良くシード扱いだったため、たった2回勝っただけなのだが、それでも心の底から嬉しかった。

3年前、先に習っていた息子の影響ではじめた空手。

以来15回ほど大会に出場し、20戦以上を重ねてきた。

初めて出た「新人戦」で、ワンマッチの勝負にたまたま勝ち「デビュー優勝」を飾ったが、それ以降は優勝から遠ざかる。

1回戦でコロッと負けたり、決勝まで上がってもあと一歩のところで競り負けたり。

鮮烈なデビューをしたもののその後さっぱりと言うところが「何とも自分らしいなぁ」などと感じていたが、苦節(そこまででもないが)3年の末、ようやく2勝目を手にした。

自分でも驚くほど喜びの感情が爆発し、年甲斐もなく師匠や先輩と抱き合い、妻からは

「会場の誰よりもはしゃいでいた」

と言われる始末。

まあ、それでも良い。

いつか人生が終わる時に流れる走馬灯。

その一場面に出てくるであろう素晴らしい一日だった。

さて、自慢話が終わったところで本題に入りたい。

この日の私のように運に恵まれ勝つ者がいれば、負ける者もいる。

それが勝負の常だ。

だが、敗者に鞭を打つような行為は許されないはず。

しかし残念ながら空手の大会に行くと少年部の試合で「親が鞭打つ姿」を目にすることがある。

「なんだ!!あの試合は!!何でちゃんと指示通りにやらなんだ!!」

試合後、負けた我が子を大声で怒鳴るお父さんやお母さんが結構いるのだ。

そんなお説教は時に数十分続くこともあり、子供はうなだれながらそれを聞く。

もちろん気持ちは分からないでもない。

子供に期待し、自分と一体化しているのだろう。

しかし、はっきりと言いたい。

間違っている。と。

試合は怖い。本当に怖い。

特に我々がやっているフルコンタクト空手は実際に当てるので、突きも蹴りもダイレクトに衝撃を受ける。

一応、ガードは着けているものの、キックボクシングなどに比べれば随分と薄手だし、皆が日々鍛えているのだから、まともに入れば大人でもうずくまってしまう。

そして試合では自分と同じ背格好、時には一回り、二回りも大きい選手がこちらを倒そうと真剣に向かってくるのだ。

道場には過去何度も優勝している強者もいるが、そんな人ですら「毎回怖い」、「試合前は対戦相手が大きく見える」というのだから、その恐怖は推して知るべしだろう。

また、どんな競技でもそうだが試合では練習通りにはいかない。

まして素人であれば、実力の半分も発揮出来れば上々だろう。

そんな中で外野の「指示通り」に動けるような選手は数少ない。

ボクシングの亀田父、井上尚弥父よろしく自分を「名トレーナー」などと思い込んでいるようなお父さん、お母さんからすれば「指示を無視」することに腹を立てているのだろうが、あの場に立てばそれがいかに難しいことか分かるはずだ。

一応は試合に出ている私からすると、先に挙げたような親を見るに

「よくそんなに怒れるな・・・お前が出てみろよ・・・」

と呆れるしかない。

負けて一番悔しいのは本人なのに。

 

話は変わるが、うちの息子も同じ大会に出て1回戦で負けた。

相手は強化選手にも選ばれるような子で、そんな相手に前半までは一歩も引かない良い勝負をしていたのだが、後半、押し切られてしまった。

だが良い試合だったし、よく頑張った。

「ナイスファイトだったよ」

そう声をかけた。

ちょっと前までは負けてはピーピー泣いていたが、近頃ではグッと涙を堪え、対戦相手のところへ行きしっかりと礼を述べている。我が子の成長を感じた。

昔の偉い空手家が

「試合という勝負の場に立った。その瞬間に君はもう自分に勝っている。」

と言ったそうだが、まさにその通り。

勝負をすれば負けることもある。

負けから得るものもあるし、続けていればいつか勝つ日もくる。

武道も実社会と同じだ。

自分は勝負もしないで、論評だけをするような奴はそれが例え親だったとしても無責任なヤフコメとさほど変わらない。

本日のコラムでした。

 

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3月 7th, 2026 by