医療保険 保険料競争の未来


「もう・・・キリがないです・・・」

某生保の営業担当者がそうつぶやく。

最近、生命保険会社間での医療保険の値下げ競争が凄まじい。

A社が

「商品改定しまして、保険料は業界最安値の水準に」

と言えば、その数か月後にB社が

「A社を意識してうちも改定を」

となる。

医療保険のメインターゲットは20代、30代だ。

「若いうちに囲いこんで」しまえば長い間契約が続く、保険会社はそう考える。

医療保険は「入院・手術」に対して給付金を支払うものなので、当然ながら年齢が上がれば上がるほどそのリスク(病気・怪我)も上がる。

それを反映し、年齢に伴って保険料も上昇する。

見直そうと思っても、保険料が上がってしまうし、更に加齢により持病や健康診断結果の悪化によって、他社から加入を断れることもある。

つまり「見直ししにくい保険」とも言える。

だからこそ、多くの保険会社はこぞっと若い人にフォーカスするのだが、少子高齢化の影響で、若者の絶対数が減っている。

かつ、昔は当たり前だった「社会人になる=保険に入る」という構図が崩れ、若い層の「保険離れ」が進んでいる。

そんなマーケットに訴求するには「価格(保険料)」しかなく、各社がしのぎを削っているわけだが、この動きはここ10年くらい続いていて、こうなってくるとふとこんなことを思う。

「原価はいくらなんだよ・・・」

価格をディスカウント出来る、ということ言い換えれば「昔はぼったくっていた」ということでもある。

このことを保険会社の担当に問えば、皆決まり切って同じことを言う。

「入院する確率が減り、入院する日数も減っている。保険会社として支払う金額が減っているので、その分、集める保険料を安くても成り立つ」

一応、これは理にかなっている。

実際のデータを見てみよう。

厚生労働省が3年ごとに出している「患者調査」というデータを見ると、確かに様々な病気での「入院率」は減っている。

例えば2017年と2023年のデータを比較してみると、こんな感じ。

10万人あたりの入院者数

厚生労働省「患者調査」令和5年より抜粋

骨折は増減なし、アルツハイマー病は微増だが、その他の疾病では入院者数は減っており、いわゆる生活習慣病である糖尿病などは3割近くも大幅に減少している。

日本人の健康意識が高まったことや、人間ドックの普及によって入院するような酷い状態になる手前に治療が行われていること、そして、入院せずとも通院で治療できる体制が整ってきたことなどが要因だろう。

また、「保険に入る」のは一般的に収入も安定しており、健康管理もしっかりしている人たちでもある。

上記のデータは、その対極にある「低収入&健康に無頓着」の人たちも含んだものなので「保険に入っている人」だけに限れば、入院率はもっと下がっているだろう(残念ながら、そのようなデータはないが、保険会社は持っているはず)

以上、このような事情から医療保険の保険料は下がり続けている。

あくまで私の体感的なものだが、同じ保障内容で20年前に比べ30~50%くらい下がっている印象だ。

しかし、10年後、20年後はどうなっているのだろうか?

日本の社会保障制度も限界を超えており、今の「過剰」な医療体制を維持することは困難になるだろう。

入院はかなりの重症者か、一部のリッチ層のための「贅沢品」になる可能性も高いし、事実、欧米などでは随分前からそうだ。

仮にそうなった場合、更に保険料は下がる。

しかし、このような動向は思わぬ副産物も産み出すことになる。

若い層の保険料も下がっているが、それと同時に中高年層の保険料も下がっている。

そのため、30歳で入った保険と同等、もしくはそれ以上に内容の良いものが40歳、45歳くらいで「安く入り直せる」ようになった。

弊社でも同様の提案をしており、お客様からは

「まさかこの歳になって医療保険が安くなるとは思わなかった。」

との声が多い。

そうなると、冒頭で述べた保険会社の「戦略」

若いうちに囲いこむ、ということが成り立たなくなる。

まあ、そんなことは契約者にとってはどうでも良いことなので、今後も保険料がより一層安くなることを祈っている。

本日のコラムでした。

 

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11月 15th, 2025 by