FPはインフレについてどうアドバイスするべきか?


私がこの業界(ファイナンシャルプランニング:FP、生命保険)に入って20年以上が経つ。

数々のご家庭のFPをやせて頂いたが、その中で一番重要なのは

ライフプランニング表の作成

である。

ご家族のお名前を縦軸に並べ、横軸では2025年、2026年と時間の経過を追う。

年ごとに収入と支出を計算し、年単位での収支を見ていく。

支出の部では、日々の生活費や住宅関連費(家賃、ローンなど)などを並べ、更にはその年に想定されるであろう「イベント(小中高大の入学金、車の買い替え、数年に一度の海外旅行など)」を入れ、そのコストも計上する。

一方、収入の部はわりとシンプルで、給料や、副業などがあればその収益を、そして65歳などのタイミングでは退職金、老後は年金などが入る。

このような表を細かく作り、年ごとの大まかな収支を作っていけば、仮に85歳、90歳まで生きた時に「どの程度の貯蓄が残っているか?」ということが分かる。

当然、その通りになどなるはずもないが、

まあ、普通に生活していけばお金に困ることはなさそう

うーん、明らかに人生の収支がマイナス。もっと貯蓄か投資をしないとダメ

というような、ある程度の「目安」にはなる。

さて、この表で一つの指数がある。

それがインフレ率だ。

生活費、家賃などは原則、インフレ率を考慮して計上していく。

例えば年間の生活費が200万円、インフレ率が1%だとすると、30年後に同じ生活水準を保つには270万円が必要になる。

わずか1%でも複利でかかってくるので、意外と馬鹿にならないのである。

だが、このインフレ率。

正直、昔は説明しているこちらも、聞いているお客様もピンと来ていなかった。

ずっとデフレ社会を生きてきた世代としては「物価が上がる」ということに実感がなく、そのためお客様の中には「インフレ計算なんて必要か?」と露骨におっしゃる方もいた。

だが、昨今のインフレでそんな幻想は吹き飛ぶ。

体感的には物価はここ3,4年で1.3~1.5倍くらいになっている感覚だ。

個人的には今のインフレは円安によるところが大きいため、「悪いインフレ」だと思っているが、一応は給料も上がってきているので、日本経済を覆っていたデフレは完全に去り、今後はインフレを前提とした社会になることは間違いない。

そんなわけで、ライフプランニング表を作成する際、最近ではインフレ率に異を唱える方はいなくなったのだが、問題はその「設定(%)」だ。

私自身はこの仕事を始めてからずっと1%で計算していた。

だが、今後はどなのだろうか?・・・・

一応、日本銀行は「2%の物価上昇」を長らくお題目のように唱えているが、最近では3%に近い水準で推移している。

仮にインフレ率を3%とすると、先に挙げた事例「年間生活費200万円」は30年後には「年間生活費485万円」となる。

30年後と言うと随分先のようにも感じるが、30歳の人なら60歳。

更にその20年後の80歳(30歳の50年後)なら、200万円=877万円だ。

いくらなんでもこの水準で「全く問題なく人生を終えられる人」はほとんどいないだろう。

そのため、最近作成したライフプランニング表は、どう計算しても「老後破綻は確実」という結果となり、著しく評判が悪い。

だがこれらの結果は逆説的にあることを明示している。

それは「やっぱり貯金はダメだ」ということ。

単に銀行に入れておくだけでは「お金が腐り」どんどん価値が低下してしまう。

株なり不動産なり、インフレに対応するようなものにお金を入れておかないと自らの生活を防衛することは出来ない。

こちらから言うまでもなく、お客様の方がそう結論付けるのだから、インフレというものがいかに庶民の生活にインパクトがあるか、ということだ。

とは言え、株も不動産も高騰し過ぎていて今手を出すべきか?判断が難しい・・・

インフラとどのように付き合うべきか?

そう聞かれたとしてもファイナンシャルプランナーとして、まだ明快な解はない。

我ながら何とも情けないが、今となっては「物価が安定」していたデフレが懐かしい本日のコラムでした。

 

 

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11月 23rd, 2025 by