日大の後輩に自転車を盗まれた話


先日、「警察署」から電話があった。

警察のご厄介になる心当たりはないが、何故かドキドキしてしまうのは後ろめたい半生のせいだろう。

で、その要件はと言うと、

「最近、自転車を盗まれませんでしたか?」

とのこと。

そういえば会社の事務所に置いてある自転車が最近無くなっていたことを思い出した。

しかし、その自転車もビルの駐車場スペースの端に長いこと放置していたような状態で、てっきり管理会社が廃棄したのだと思っていた。

「ああ、そう言えばなくなってましたね」

そう答えると、相手の警察官が事情を教えてくれた。

犯人は日本大学の学生で、酔って3人で3台の自転車を盗み、職務質問をされてご用となったようだ。

なるほど。

確かにうちの自転車だけでなく、他の自転車も一掃されていた。

だからこそ管理会社かな?とも思っていたのだが、根こそぎ盗んだわけか・・・

弊社のすぐ近くには日本大学の校舎があり、そして私の母校でもある。

つまり自転車は「後輩」に盗まれたということで、何とも情けない話だ。

 

後日、その警察官が自転車の返却に来てくれた。

見ると掃除をしてくれたようで古い自転車がピカピカになっており、更にはオマケとして鍵まで頂戴した。

最近の警察は随分とサービスが良い。

「被害届を作成するので印鑑が欲しい」

そう言うので会社の会議室に通した。

書類を作っている最中、興味本位で犯人の今後の処遇について聞いてみる。

聞けば今回は「盗難」、「飲酒運転」、「共犯」という3つの罪状があるそうで、意外と共犯が重いのだと言う。

3本合わせ技で、検察に送検されるとのことだった。

但し、十中八九の確率で「不起訴」になるため、大学を退学になるようなことはないとのこと。

流石にこんなことでドロップアウトするのは可哀想なので、その点に関しては安堵した。

「で、検察で不起訴になってそれで終わりですか?」

そう聞くと、物事はそこまで単純ではなく、最近施行された自転車の飲酒運転に関しては罰金刑が課せられる可能性が高いということだった。

ちなみに自転車の飲酒運転の罰則は以下の通り。

・3年以下の懲役または50万円以下の罰金

・呼気中アルコール濃度が0.15mg/l以上で免許停止(自動車免許を保有している場合)、0.25mg/l以上で免許取消しなどの処分

この罰金の金額は検察官が状況を鑑みて決めるそうだが、飲酒運転だけでなく「盗難」、「共犯」もあるので、あくまでその警察官の個人的な感想だが「それなりの金額になるのでは?」ということだった。

んー、なるほど・・・

数十万円単位の罰金ともなれば、大学生では払えず、当然親が払うことになるだろう。

大学まで行かせた子供が酒飲んで、自転車盗んで、捕まって、罰金・・・・

親も泣くに泣けないだろう。

私も子供がいるので、この点については同情してしまう。

そして繰り返すが日大の後輩でもある。

「何とか穏便に済ませられないんですか?何なら被害届出さなくても良いですが」

そう言うと、警察官は「それは困る」と焦りはじめ、結局書類に判を押したが、何とも釈然としない気分だった。

もちろん盗難はダメだが、酔った勢い、若気の至りで過ちをおかすこともあるだろう。

正直、「ごめんなさい」で済む話だと思うし、多額の罰金を科すようなものでもない。

しかもその罰金も被害者である私が受け取るならまだしも(別にいらないが)、罰金は一度、国庫に入り、そこから交通安全対策交付金として警察に戻るのだと言う。

何とも胡散臭い話だ。

と言うことで、気になったので調べてみた。

これは、平成25年から令和4年までの自転車関連の飲酒運転の事故件数の推移
(内閣府 令和4年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況 第2章 4節より抜粋)

多少増えたり減ったりはしているが、年間200件から300件程度で、例えば令和4年では全体で289件、うち軽傷が211件、重症が47件、死亡が31件となっている。

この中には、もちろん飲酒運転をした人が通行者に激突して重症を負わせてしまった、もしくは死亡させてしまったというケースもあるだろう。

しかし、普通に考えれば大多数は「自爆事故」だと考えるのが自然だ。

そもそも全国で1年間で289件、重症・死亡に限っては78件「しか」発生しておらず、そのほとんどが自業自得であることを考えると、こんな少ない件数のために厳罰化をする必要があるのだろうか?

むしろ、先の大学生も交通事故の被害者のボランティアに参加したり、実際に自転車の飲酒運転で自爆して酷いケガをした人の体験を聞くなどの経験の方がよほど反省を促すことになるだろう。

もちろん飲酒運転はダメだし、それを擁護するつもりもないが、

「ダメ」だったら全部取り締まるの?全部罰金取るの?

ということに関しては、大きな息苦しさを感じずにはいられない。

本日のコラムでした。

 

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2月 21st, 2025 by