世界の巨大地震の2割は日本で発生 今こそ抑えておきたい地震保険


昨夜の熊本の地震では震度7を記録し、その後も100回を超える余震が続いています。

現地の方々は本当に不安で、眠れぬ夜を過ごされていることと思います。

不幸にもお亡くなりになってしまった方々のご冥福をお祈りすると共に、地震の早期収束、そして被害に合われた方のいち早い復興を願っております。

今回の熊本の地震。そして記憶に新しい東日本大震災。多くの家屋が倒壊している映像を見ると地震の恐ろしさを実感せずにはいられません。

内閣府が出している地震に関するこんな統計データをご存知でしょうか?

世界全体で起こるマグニチュード6以上の地震。その20.8%は日本で発生

世界の国土のわずか0.25%にしか過ぎない日本に巨大地震の2割が集中しているのです。

まさに日本は地震大国。

この国で生活する以上、地震とは無縁ではいられません。

本日は知っているようで知らない地震保険のお話です。



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まずは基本的な地震保険の特徴です。

・地震保険は火事に対応する火災保険とセットで加入することが大前提。単体では加入出来ない。

・加入は各損害保険会社で取り扱っている。

・加入できる金額は建物が5,000万円、家財(家の中の物の被害)が1,000万円が上限。

生命保険は加入する方のご年収や生活環境によって、保険料さえ負担すれば10億円でも加入できるの対し、地震保険は一律5,000万円が上限です。

時価総額ウン億円という家に住んでいても、5,000万円までしか入れません。

これは法律で決まっているからです。

生命保険が民間主導で発展してきたのに対し、地震という未曾有の災害、そして万が一の時の支払いが巨額になる地震保険は国が主導して普及してきた保険です。

加入するためには前述の通り損害保険会社が提供する火災保険にセットすれば良いのですが、各損害保険会社はあくまで「窓口的な役割」で、手続きを行うためのわずかな事務手数料を除いて、利益を取ることを禁じられています。

残ったお金は全て積み立てられ、いざ地震が発生した時のために備えているのです。

言い方は悪いですが、地震保険は損害保険会社からすると全く儲からないのですが、国の方針に賛同して各社が取り扱っているとも言えます。

他の保険商品とは随分違う性質を持っている商品です。



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では、この地震保険。一体どれくらいの家庭が加入しているのでしょうか?

2014年の加入率で28.8%です。おおよそ3世帯に1世帯が加入している計算です。

ちなみに東日本大震災の前が23.7%(2011年)、その翌年の2012年には26.0%と一気に2.3%も増加しています。

現在が28.8%ですから、東日本大震災を契機に5%ほど加入率が上がったことになります。

28.8%を多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれですが、同じ任意加入のアメリカなどではおおむね10%台で推移していることを考えると、日本人の「地震リスクへ備える意識」は高いといえます。

反面、同じく火山地帯で地震の多いニュージーランドは国の施策として「強制加入」です。

そのため90%が地震保険(地震を含む自然災害全般の保険)に加入しており、日本でも同じように加入を義務付け、加入率を上げた方が良いのではないか?という意見もあります。



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地震保険って本当に払われるの?

これは最も多く頂く質問です。

「地震保険は受け取れない」という都市伝説が根強く信じられていますが、これは全くのデタラメです。

事実、東日本大震災では896,865件の請求があり、1兆2,345億円の支払いがありました。

この時にはあまりに被害が大きく、申請件数も多かったので、本来は査定人が一軒一軒回るところを、飛行機から航空写真を撮影して、そのエリア全てを全損認定するなどの特例措置がとられました。

未曾有の災害に損害保険会社が一丸となって素早く支払いに応じたことは、社会の公器としての保険会社の役割を全うしたことになります。

とは言え、この大きな支払いが各社の財務を大きく傷付けたことも事実。

そのため、その後地震保険の値上げが続き、現在に至るわけです。

なお、あまり知られていませんが「地震保険は1回の地震で6.2兆円の支払いを上限とする」というルールがあります。そして、もし保険会社が支払いに応じられなくなった場合には、その上限までは国が保障します。

そのため6.2兆円を超えるような被害がなければ、地震保険は支払われると思っていて間違いはないでしょう。



では、被災してしまった時にはどのような形で保険金を受け取れるのでしょうか?

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地震保険の場合、支払いのレベルは下記の3つに分かれています。

全損 加入している保険金額の100%をお支払い

家の基礎や壁、柱などの主要構造の時価50%以上の損害。または床面積の70%以上が火災、浸水などにより被害を受けている

半損 加入している保険金額の50%をお支払い

家の基礎や壁、柱などの主要構造の時価20%以上50%未満の損害。または床面積の20%以上70%未満が火災、浸水などにより被害を受けている

一部損 加入している保険金額の5%をお支払い

家の基礎や壁、柱などの主要構造の時価3%以上20%未満の損害。または45cm以上の浸水。

例えば5,000万円の地震保険に加入している場合、

全損で5,000万円

半損で2,500万円

一部損で250万円

と、どれに当てはまるかで相当な開きがあります。

一部損で分かりやすいのは屋根瓦の破損や、外壁の一部破損などです。

今回の熊本の地震の映像でもそのような家が多く見られました。

判断が難しいのは全損と半損です。

前述のような基準を原則としますが、一つの大きなポイントは「修復して住めるようになるか?」というところです。

一階部分が潰れてしまった。家が傾いている。このような場合は明らかに全損ですが、見かけの被害が大きくても構造体としては持ちこたえている場合には半損と認定されることもあり、非常に曖昧です。

保険会社が出している基準、政府が策定した基準、様々なものがありますが、実際のところ査定人の主観が相当影響することも事実です。

査定人も人情としてはなるべく多く支払ってあげたいと思っていますが、とは言え基準をないがしろにするわけにもいきません。

全損と半損の認定の不透明感、不公平感は地震保険の大きな課題です。

今回の熊本の地震の映像を見ると、建物にも相当な被害が出ている様子です。

失った尊い命はもちろんのこと、家にも家族の歴史、思い出が詰まっています。

それらをお金で元通りにすることは出来ませんが、新しい一歩を踏み出すためにお金が必要なのも事実です。

地震保険の力は微力ですが、被害にあわれた方々の一助になることを願っています。



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4月 15th, 2016 by