「『民間の』介護保険って入った方が良いの?」
最近、よく聞かれます。
介護保険と言えば一般的には国の制度ですが、民間の保険会社からも色々な商品が販売されていて、大別すると、以下の3つに分けることが出来ます。
1 完全掛捨型
2 貯蓄型
3 掛捨、貯蓄ミックス型
掛け捨て型は、
「要介護2以上に該当した場合、介護の状態が続く限り毎年60万円」
(条件は会社によって異なる)
というようなもので、介護状態になれば給付金が受け取れます。
保険料も「掛捨」なので安く抑えれていますが、逆に「介護にならなければ」何も得るものはありません。
2の貯蓄型は、
死亡 or 介護2以上
のどちらかに当てはまった時に保険金や給付金を受け取れます。
1の掛捨型が「介護だけ」に特化しているのに対し、「死亡」も含まれていることが貯蓄型の特徴です。
例えば保険金が1,000万円のプランであれば、生前に介護2以上に当てはまった際に
「1,000万円を上限とした給付金」
を受け取れ、残額がある場合は死亡時に残されたご遺族に保険金が支払われます。
介護で「700万円受け取りたい」とご要望頂ければ、残額の300万円はお亡くなりになった際にお支払いします。
介護を経験することなく亡くなれば、もちろん満額の1,000万円を受け取れますので、
「いつかは必ず1,000万円」
ということになります。
とは言え、この1,000万円の保険金の場合、ご自身で900~990万円くらいをトータルで支払って頂くことになりますので、(加入年齢による)
「ほぼ自分で貯めている」
ようなもので、まさに「貯蓄型」と言えます。
その分保険料は高額になります。
最後の「3 掛捨、貯蓄ミックス型」は、その名の通り1と2を混ぜたような保険で、
死亡 or 介護2以上
という条件は2の貯蓄型と同じですが、死亡時の保障が低く抑えられています。
例えば、以下のような条件です。
・要介護2以上に該当した場合、介護の状態が続く限り毎年60万円
・死亡時 100万円(但し、介護で給付金を受け取っている場合は対象外)
介護に関しては1の掛捨型に近く、死亡保障があるのは2の貯蓄型に似ています。
但し、このプランの場合「介護にならなければ」基本的には損をします。
死亡時に100万円を受け取れるとは言え、それまでに支払った保険料はその100万円を大きく超え、あくまでイメージですが250~300万円くらいを払うような感じでしょうか。
また途中で解約した場合も「解約返戻金」があるので完全な掛け捨てではないものの、これも「支払った分の6割程度が戻ってくる」だけなので、4割は掛け捨てしているようなものです。
保険料は「貯蓄型と掛け捨ての中間」と言ったところです。
「介護は心配だけど、掛け捨ては勿体ない・・・」
という消費者の心理を突いた商品なのでしょうが、個人的にはどっちつかずで中途半端なような気もします。
さて、このような介護保険の商品ですが、これらを検討する前に一つお伝えしたいことがあります。
それは、
必要以上に介護を怖がりすぎている。特にお金の面で。
ということです。
まずは一つの「事実」をお伝えします。
1/3 7.9万円 59ヵ月
という3つの数字です。
1/3は「介護が必要になる人の割合」です。
どうでしょうか?意外と少ないと感じる方が多いのではないでしょうか?
あくまで死因から推測したものですが、日本人の1/3はガンで亡くなります。そして1/3は血管系。つまり血管の詰まりによる心筋梗塞、脳卒中などです。
そして残りの1/3が認知症などを経て老衰や誤嚥性肺炎などによって亡くなっています。
もちろん別の要因でなくなる方もいるので「大きく分ければ、この3つ」ということですが、そもそも介護状態になる確率は1/3程度なのです。
そして、月7.9万円は「介護にかかったお金の平均」、59ヵ月は「介護に要した期間の平均」で、どちらも厚生労働省の調査結果です。
月7.9万円、約8万円。年間100万円と言ったところでしょう。
59ヵ月も約5年と言えます。
つまり、年100万円、5年間。合計500万円が「介護のお金」の平均的な実像なのです。
もちろんこの倍以上の「10年間介護が続いた」というような大変な話もありますが、それでもお金の面だけで言えば1,000万円です。
これらは元気なうちに自分で貯めることが出来ないほどの金額ではありません。
結論としては
「保険に入らなくても貯蓄があれば大丈夫」
ということです。
介護は大変
という世間一般のイメージに乗って、保険会社各社から介護系の商品の販売が続いていますが、私の印象としては「玉石混交」
1/3の確率なのであれば、1の掛捨や、3の掛捨貯蓄ミックス型などに入らずに、損をしない2の貯蓄型の方が「少しは増える」ので賢い気もします。
とは言え、これはあくまでお金の話で、「介護なんて大したことはない。」と言っているわけではありません。
私も自分の父が長年、介護状態にあって昨年亡くなりましたが、そのサポートをしていた母が介護生活を、
「ウンコとの闘い」
と言っておりました。
最も大変なのは排せつの介助で、いくら身内のものとは言え、汚いものは汚いし、臭いものは臭いですからね。
また、元気な頃を知っている家族がだんだん弱って、当たり前のことも出来ないようになる姿を見るのは辛いものです。
このような精神的な負担が介護の本質で、それはお金があったからと言って解決出来るものでもないように感じます。
介護の対策は「精神面」と「お金」は切り分けて考えるべきで、お金だけで見れば、それほどびっくりするほどはかからない。ということをご理解頂ければ幸いです。
本日のコラムでした。
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