ドル高の夜 住宅ローン金利の推移から・・・


空前のドル高だ。

当然、空前の円安ということになる。

しかしこれは日米だけに限った話ではなく、ドルに対してはほぼ全通貨が全面安となっており、アメリカ一強の状況が続いている。

だが当のアメリカはこの状況を是正するつもりはない。

相変わらず国内の消費者物価指数は高い状態で、インフレが収まりきっていないからだ。

今回は、そんなアメリの状況を「不動産と住宅ローン金利」という観点で見てみたい。

昔の日本、直近の中国を見ても、景気は「不動産が引っ張り」、最後は「不動産が終わらせる」というのがセオリーなので、今のアメリカがバブルか否かを判断するためには、住宅ローン金利にヒントがあるかもしれないからだ。

現在の米国の金利(=10年もの米国債)は5%を超え、この高金利が世界中のマネーを集めているが、それに連動する不動産住宅ローンの金利(30年金利固定型)も7%超だとという。

5,000万円借りたら、金利が年間350万円。

金利分の返済だけでざっと毎月30万円になる計算で、こんな条件で誰が家を買うのか?とも思うが、それでもそれなりの数は捌けているようだ。

流石に新築の住宅着工件数は前年148万軒に対し、今年(2024年)は132万軒と15%近く減少しているが、割安な中古を中心に市場は動いており、なんと今年の1月には中古の住宅販売戸数が前月を上回っている。

新築は減少しているが中古は底固く、改めてアメリカ経済の強さというか、より直接的に表現すればグリード(強欲)な国民性を垣間見る思いでもある。

だが、このあたりの心情をアメリカ在住の知人に聞けば、その行動の源泉は「焦り」だと言う。

「今買わねば、来年は1.5倍になり、再来年には手が出なくなる」

これがインフレ下の心理状況で、これにハマってしまうと金利が高いとか収入と支出とか、そんなことは全て頭の外に出てしまうそうだ。

「そんなわけあるかい!!」とも思うが、これはバブル時の日本でも起きたことで、1990年代の日本のバブル時には住宅ローンの金利はちょうど7%。

人間の欲、もしくは焦りには人種も国もない。

だが、こうも思う。

今のアメリカはバブルなのでは?

と。

それを探る意味でも、過去のアメリカの住宅ローン金利の推移を調べてみた。

1990年代は10%を超えていたことにも驚くが、これは1980年代の資産バブルの名残で、それがはじけたことで金利は徐々に低下。

その後2007・2008年のリーマンショックで急落し、コロナ禍以降急上昇していることが分かる。

コロナ前の2020年頃には3%程度で推移していた金利が、ほんの3年ほどで7%超となっているのはやはり「異常」ではあるものの、過去のデータ上は「まだ上がる余地がある」とも言えなくもない。

だが、過去の日本でも中国でも7%を超えたあたりで臨界点に達し、不動産市場が急激に低下するという「データ」もあるため、7%近辺にはバブル崩壊の導火線が埋まっているとも言える。

また話を戻せば「5,000万円の物件で金利負担が毎月30万円」というのは普通に考えて、あり得ない状況であり、そんな支出に耐えられる個人がそこまで多いとは思えない。

アメリカの不動産市場が崩壊のカウントダウンに入っていることは明らかであろう。

そうなれば金利は一気に低下し、世界的なドル一強もあっという間に解決する「かもしれない」

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空前のドル高円安に日本は揺らいでいる。

身近なところでは飲食関係・建築関係は輸入コスト上昇に直に影響を受けるし、石油・ガスのエネルギー高には国民全体が関係する。

「安い日本」を目当てにしたインバウンドは好調かもしれないが、それも一部の業界だけ。

国全体の貿易収支は赤字で、つまりは日本から冨が流出している状態は変わらない。

また、財務省が為替介入しようにも、外為特会の予算枠では、とても今の投機筋の莫大な円ショート(円を売る動き)を抑えられるとも思えない。

参考コラム
為替介入 伝家の宝刀は名刀か?それともなまくらか?

だが終わりは近い。

個人的にはワクワクしながら今の動静を見ている。

本日のコラムでした。

 

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4月 26th, 2024 by