人気の狭少住宅 狭くてもバスタブを置く若者の本音


「マジですか?・・・」

実物を見て、思わず絶句した。

バスタブと言っても、半畳ほどのスペースしかなく、サイズ感としてはドラム缶を半分に切った程度の大きさ。

まるで五右衛門風呂だ。(これ↓)

ユニットバスのサイズは、その大きさを縦横の長さを表す4つの数字の羅列で表記される。

大きな一軒家などに使われる「1624」は160cm×240cmのことで、約1.5坪の広さがあり、複数人で入れる。

対して、都心のマンションなどでは一回り小さい1616(160cm×160cm)、一人暮らし用のワンルームでは1216(120cm×160cm)などが使用されることが多い。

なお、先の写真は0816というもので、つまり80cm×160cmしかなく、バスタブなどは70cm×60cm程度。

デブの私など一度これに「つかれ」ば、すっぽりハマってしまって、誰かの手を借りなければ出れなくなってしまう。

だが、これが

「人気がある」

のだそうだ。

主に都心の人気エリアに立つ狭少マンションなどで使用されていることが多い。

お付き合いのあるデベロッパーの社長さんからそう聞いた時には冗談かと思ったが、ある案件でこれを採用し、現場で実物を見たものの全くピンと来ない。

だが、最近の若い方はシャワーだけで済ますことが多く、それでもたまには「湯につかりたい」こともあるため、このサイズがニーズに合っているのだそうだ。

 

「お風呂に浸かりなさい!!10秒数えて!!」

そう言われて育った私たち世代には、お風呂に入る=バスタブにつかるもの、という思い込みがあるが「タイパ・コスパ」にこだわる今の若者にとって、風呂を沸かすことは、

・お湯を溜めるのに時間がかかる

・光熱費がかかる

・掃除の手間

というマイナス面の方が大きい。

であるならば、バスタブに関するスペースは極力少なくして、居住スペースを広くとる方が良い。というわけだ。

非常に合理的だ。

だが、こうも思う。

だったらもっと割り切ってシャワー室だけで良いのでは?

そうも思うのだが、それはそれで違うようだ。

先に述べた「たまには浸かりたい」というのもあるが、主な理由は「人に言えないから」

「シャワーのみ」というフレーズはなかなかインパクトがあり、どんなところに住んでいるのか?という話題になった際「お金がないと思われる」という引け目になる。

また女性の場合、「シャワーだけ」は「女子力が低い」印象を与えてしまう。
(私はそうとも思わないが・・・)

そのため、形だけのバスタブが必要とされるわけだ。

タイパだコスパだと言っているのに、プライドのためだけに「70×60」の五右衛門風呂を置かないといけないという矛盾は、いかにも人間臭くて面白い。

そう思えばプライドこそがタイパ、コスパの一番の敵と言えなくもなく。

本日のコラムでした。

 

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5月 4th, 2024 by