今ある「危機」をまとめてみた


「今の景気はいつ弾けるかね?」

最近、こんな話題になることが多い。

過去の歴史を振り返っても「金融危機」は10年ごとに発生している。

バブル崩壊、ITバブル、そしてリーマンショック

ほぼ10年おきに発生するこれらの「危機」は、金融・経済界の「地震」のようなもので、ある意味では誰も避けられない。

2008年のリーマンからすでに11年。

地下に滞留しているマグマがいつ噴き出るのか?

そこで、今回、次の経済危機のきっかけになるような、今ある「危機」をまとめてみた。

1 米中貿易摩擦

トランプが始めたこの「戦争」

すぐには決着はつかない。というのが大方の見方で長期化が予測されている。

日本国内でも製造業などを中心にすでに影響が出ている企業もあり、ジワジワと実態経済に波及し始めている。

米中貿易摩擦を原因とした世界経済の減速が「危機」の下地になる可能性は高い。



2 中国の債務問題

これも以前から指摘されているが、中国国内の政府系企業や地方行政府の中に財政悪化しているところが増えている。

そして1であげた貿易摩擦が、それら企業や地方行政府にさらなる追い打ちをかけている。

今のところ中央政府が救済しているが、雨後の筍のようにあちらこちらで破綻した場合、中国発の金融危機に発展する可能性が・・・

3 米国の教育ローン

米国の大学の学費は桁違いに高い。

そのため、大学に進学する若者の多くが教育ローンを組むのだが、その残高が160兆円にも上っている。

それらの高額なローンの返済が、就職後の若者の人生に大きな影を落とし、社会問題化している。

そのため、一部の国会議員が「全ての教育ローンをチャラにする」という政策を掲げ、若者層から絶大な人気を得ている。

現状、20%の債務が滞納や債務不履行に陥っており、2020年代中盤には40%以上(60兆円以上)が「焦げ付く」と予想されている。

これらのローンの貸し手は連邦政府であるため、不良債権の処理が米国内の経済にどのような影響を与えるかは未知数。



4 レバレッジド・ローン(米国の企業債務)

FRBのパウエル議長も指摘していたが、米国内の企業債務が過去最大に膨らんでいる。

その額、日本円にして3,300兆円。

中でも、銀行以外のノンバンクなどが提供しているレバレッジド・ローンが地雷源。

現在の残高は110兆円。

金利は高いが、審査が緩いため、信用力の低い企業や新興企業などの資金源として、近年、急成長。2018年は前年比較で20%も増加した。

経済が停滞すれば、まず初めに不良債権化する可能性が高く、ノンバンクの破綻につながる。

また、これらの債券は様々な金融商品(主にデリバティブ商品)に組み込まれており、構造的にはサブプライムローンと同じ問題を抱えている。

5 債券バブル崩壊

歴史上かつてない低金利が続いた影響で、企業が発行する社債の発行が増大している。

それほど高い利回りを約束しなくても投資家に販売出来てしまうため、企業側にとってメリットが大きい。

そのため投資格付けで「BBB」という一番低い評価を受けている企業でも、他よりちょっと高い利回りを設定すれば社債が発行出来てしまう。

現在、米国内の社債の金額ベースで、約50%が「BBB」企業が発行したもの。

景気が落ち込めば、これら企業の社債がデフォルトを起こし、債券への信用不安が発生する。

これも4のレバレッジド・ローンと同様に様々な金融商品に組み込まれており、その全容は誰も把握していない。

さて、いかがだろう?

本日はそろそろ弾けそうな、今ある「危機」についてまとめてみた。

危機のほとんどは、低金利が長期間続いた「歪み」によるもので、要は

金を借り過ぎている

ということ。

金融緩和で、尋常ではない「マネー」が市場に出回った結果、身の丈に合わない借金を抱える企業、個人が増加している。

経済が好転しているうちは良いが、逆回転を起こせば・・・・

これらの借金が焦げ付き、

「次の金融危機」

を引き起こすのかもしれない。

本日のコラムでした。



 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします


10月 31st, 2019 by