多くの人にとって恐らくは無意味な配偶者控除の改正


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本日は配偶者控除のお話です。

来年2018年から改正される「配偶者控除と特別配偶者控除」

概要は以下の通りです。

・103万円以下の配偶者控除は従来通り(但し所得制限あり)

・特別配偶者控除を従来の103万円~141万円から、103万円~201万円に拡大

・特別配偶者控除の38万円満額控除が150万円まで拡大

・ただし、年収1120万円~1220万円の方は「段階的適用」で、上記の3~7割程度の控除

・年収1220万円以上は従来の配偶者控除も含め一切対象外

イメージとしては、所得が低い方には減税(奥さんの収入が増えても控除が受けられる)、所得が高い方には単純に増税という感じでしょうか。

しかし、この議論もともとは廃止論からスタートしていました。

それが一転して配偶者控除「拡大」となりましたが、

一体どんな議論をすればこうなるのか?

と不思議でなりません。

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結果的に今回の改正でわずかながら税収は減る見込みです。

そして、一番わりを食うのは「年収1220万円以上」の方。

配偶者控除が一切なくなるのですから完全に増税となります。

対象となる方々は所得税の税率も高いですから、結構痛いですよね。

このような昨今の「強い者イジメ」に対し、

「金持ちは取られて当然」

というのが一般的な認識かもしれませんが私の考えは違います。

そもそも所得税の累進課税で「高所得者」には高い税率が課せられています。

更には相続税、贈与税も最高税率は55%

それで責任は果たしているのではないでしょうか?

無論「お金のない人から取れ」という乱暴なことを主張しているのではなく、何となく取りやすい人から取るという、

「ポリシーなき増税(減税も)」

はやめて欲しい。ということです。

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今回の改正については、

「主婦層にもっと社会で活躍して欲しい」

というお題目がありますが、各種のシンクタンク(〇〇総研みたいな)のレポートを読んでも、

「労働市場における影響は軽微」

とされています。

つまり「今より多く働こう!!」と思う人は少ないということです。

理由は130万円の壁、社会保険(健康保険+厚生年金)です。
♯勤務先企業の規模(従業員501人以上、他条件あり)によっては、106万円が「壁」になります。

130万円を超えれば夫の扶養から外れて自分自身が社会保険に加入しなくてはならず、その負担は給与のほぼ15%。雇用側も15%です。

これは大きいです。

将来の厚生年金受給などのメリットがあったとしても、目先の「手取り」が減る可能性が高いため、多くの方が敬遠しています。

特に若ければ若いほど、子育てなどに「今」お金が必要。更には根本的に社会保険制度を信用していませんから加入のハードルはより上がります。

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実際、

「何故、収入を抑えるのか?」

という主婦を対象にした調査に、49%が「社会保険に加入したくないから」と答えていて、およそ半分の方が社会保険を意識して働いているということでしょう。

また、このような考えは働いている側だけでなく雇用する側も同じです。

パートの方々を、

「社会保険には入れたくない。。。」

と思っている雇用主は実際のところ多いです。と言うかほとんどでしょう。

(現実問題としてパートを社会保険に入れたらやっていけないところはかなりある。)

そのため、今回の改正を行ったところで、社会保険に入りたくないという労使双方の意思がある限り、130万円の壁(もしくは106万円)が立ちはだかり、主婦層の社会進出は進まない。というのが各シンクタンクの見解で、私も全く同感です。

だからこそ思います。

「何のためにやるのか?」

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社会保険という国民全員の難題を先延ばしにして、税収を下げてまで効果の見込めない配偶者特別控除を拡大。その代償として文句が出にくい年収の高い人をイジメる。

「ポリシーなき増税(減税)」

と言わざるを得ません。

そもそも「税と社会保障の一体改革」はどうなったのでしょうか。。。

 

話は変わりますが配偶者が「控除」の対象になったのは1940年。昭和15年のこと。

それ以前の大正時代から「扶養控除」はありましたが、これらは子供を対象にしたもので妻は対象外でした。それを1940年に改正し「配偶者控除」を作ったのですが、これは当時の時代背景として、

「妻の分も税金を安くするから子供を増やせ」

という人口政策的な意図があったとされています。

1940年は太平洋戦争開戦の前年。

まさか今の日本が戦争ということはないでしょうが、いつの時代も税に関する施策には「国からのメッセージ」が含まれています。

一見甘い「配偶者控除拡大」というこの言葉を我々はどう捉えるべきなのでしょうか?

個々人の見識が問われます。

本日のコラムでした。


9月 23rd, 2017 by