「◯◯県の山奥に不動産があるんだけど・・・」
私のような仕事をしていると、そんな話を良く耳にする。
だいたいパターンは決まっていて、
1 今は誰もいない実家
2 バブルの頃に「絶対上がる」と言われて親が買った土地
3 先祖代々の土地が「細切れ」になって自分のところに来た土地
のどれか。
ちなみに私自身も、母が茨城の方に土地を持っており、これは2のパターン。
バブルの頃に騙されて買った。
また、妻の実家の方でも、義母が北海道の大沼というところに先祖代々の土地(ケース3)を持っているようで、義父も蓼科の方に不動産がある。
大沼というのは、沼というにはあまりに大きな湖で、函館から車で1時間ほど北上したところにある。
厳冬期でも凍らない不凍湖であることから、白鳥の休息地として有名で、私も訪れたことがあるが、大変美しい場所だ。
蓼科も高原リゾートとして人気の場所。
母のもつ茨城には行ったことはないが、母曰く「山あり、海ありの良いところ」だそうだ(と思わないとやってられないだろうが)
つまり、それぞれの土地自体は、日本の豊かな四季を反映した素晴らしい場所なのだが、現実問題としては、何も活用されていない。
それどころか、正確な場所も良く分からない。
この3つの中では蓼科だけが所在がはっきりしているものの、茨城、大沼の2つに関しては、権利証に記された地番のみ。
ネットで何となくの場所は分かるが、隣地との境界線なども曖昧で、正確には現地に行ってみないと判断がつかないし、行ったところで木や草が生い茂っているだけの原野だろう。
結局のところ、
毎年、固定資産税を払っているだけ(土地の価値が低いのでいくらでもないが)
ということになり、今で言う「負動産」ということになる。
似たような話を色々な方からお聞きする。
これらの放置された土地に関して、率直に「もったいないな」とも思い、ここ数年、それらの活用法を研究している。
だが、これらの不動産には決定的な欠点がある。
土地を活用する上で「絶対に必要な」が3つのインフラが整っていないのである。
・電気
・水道(上水、下水)
・ガス
ガスに関しては、オール電化にしてしまえば電気でも代用可能。もしくは運搬可能なプロパンガスもあるので、インフラがなくても何とかなる。(と言うか、田舎に行けば都市ガスなどほとんどない)
また、水道も上水だけで良い。
都市部では下水網が整備されているが、地方では浄化槽と言って、地下に埋め込んだ濾過装置のようなもので処理することも多い。
だが、電気、水道(上水)はどうしても必要で、まずこれが大きなハードルとなる。
先の例で言えば、義母の持つ大沼。
電気は来てるかもしれないが、水道はどうだろう?という感じ。(あくまで大沼一帯を見た印象)
多分、来てない。
そうなると水道局にお願いして、自分の土地まで敷設してもらうのだが、これが一筋縄ではいかない。金もかかるし、手間もかかる。
水道局としてもたった一軒の家のために水道管を延長しなくてはならず、何だかんだと言って断れることも多いそうだ。
電気も同様で、来ていなければ電力会社に依頼し、敷地まで電線を引っ張ってもらうのだが、こちらの方は水道よりは気軽に応じてくれるらしい。だが、それでも近くに電柱があることが必須で、本当に山奥となれば断られてしまう。
実は、この2つが障壁となり「利用価値がない」という土地がかなりある。
不動産業者しか見ることの出来ないREINSというデータベースがあり、そこに山林や雑草地などが「格安」で売られているが、それらの土地のほとんどがこのケース。(農地以外の利用が出来ないという場所も多い)
インフラがないので、何も建てられない。
であるならば、電気、水道の問題さえクリアすれば良いのではないか?
電気に関しては、太陽光発電がある。
それらの電気をバッテリーに蓄積しておけば、最低限の生活は何とかなるだろう。
では水道の方はどうだろうか?
実はこれが一番難しい。
一つの解決策としては、井戸。
意外と知られていないが、日本中、ほとんどの場所で井戸を掘れば水が出る。
だが「どれほど深く掘れば良いか?」そして「出てきた水の水質がどうか?」という点については、やってみないと分からないそうで、つまり博打だ。
費用は最低でも80万円ほどで、深さによって費用は変わる。
半永久的に水を無料で使えると考えれば、それほど高くもないような気がするが「飲めない」となると料理などにも使うことも出来ず、それらはミネラルウォーターで代用するしかない。
注:関係者に話を聞くと「飲めないわけではない(たまに腹を壊す人もいる、くらい)」らしいが、今の飲用水の基準はかなり厳しく、ちょっとでも不純物が入っているとダメなので、一応、飲用不可となる。
だが、何となくやれそうな気もしている。
エネルギー、水の完全自給自足。
これが出来れば、従来は活用出来なかった土地にも新たな息吹を吹き込むことが出来る。
太陽光パネルを並べ、井戸を掘り、浄化槽を埋め、ガスはプロパン。
そこに小屋(コンテナハウス)を建てる。
完全スタンドアロンの家という点では、災害にも強い。
これを民泊などで貸したら、結構良い収益になるんじゃなかろうか?
電力の面では制限があり多少不便ではあるが、スローライフ的な感じで、そういうのが好きな人もいそうだ。(このあたりの事業プランはまだ甘い)
太陽光パネル、バッテリーで300万円、井戸で100万、浄化槽で100万円、小屋300万円、火災報知器、その他設備100万円。
計 900万円。
大沼、蓼科、茨城、どこかで実験してみたいが、うーん、大沼は冬の厳しさが半端じゃないから、あんなところで電気止まったら凍死する。実験中に私が死んでしまいそうだ。
蓼科も結構寒いらしいし、茨城もなぁ、騙されて買った土地だし・・・
(多分、周囲もそんな感じなので、何もなさそう)
そんな感じて、悶々としつつ、計画は全く進んでいないが、数年以内にはやってみたい。
また、本ブログでご報告する。
どなたが良いアイディアがあったら是非教えて欲しい。
本日のコラムでした。
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