高校生の頃、何となく東武より西武だった・・・


感情的には反対だが、合理的に考えれば「仕方がない」

それがほとんどの人の感想ではないだろうか?

池袋西武の話。

セブンアイホールディングが、そごう・西武を米フォートレス・インベストメントに2200億円で売却。

フォートレスはその後、ヨドバシホールディングスに池袋本店の土地・建物などを売却し2200億円の投資を回収するそうだ。

つまり池袋西武は近い将来「大家 ヨドバシ」、「テナント 西武百貨店」という構図になる。

現在報じられているところでは、西武百貨店の半分程度をヨドバシ店舗にし、もう半分に西武百貨店が残るようだが、その規模は相当に小さくなる。

争点になっているのが、建物の「顔」となる1階。

このスペースはお客さんの導入部分になるので、当然ヨドバシも譲れない。

しかし、現在の西武百貨店の1階にはハイブランドがずらっと並んでおり、ある種の高級感を醸し出しているので、それが無くなる(もしくは半減する)のは地元住民や、池袋をターミナル駅として利用している沿線(東武東上線、西武池袋線)住人としても「何となく嫌だ」というところなのかもしれない。

更に深刻なのは池袋西武に勤務している方々。

売り場が減れば、その分人員も要らなくなる。

当然、配置換え、職種変更、勤務地変更などが発生するので「冗談じゃない!!」となることが予想される。

「池袋西武で働いている」というプライドもあるだろうから、このあたりは一筋縄ではいかないだろう。

そのため、何十年ぶりにストライキが決行され、自社の売却が決議される8月31日に全館閉店となったのだが・・・・

あくまで個人的な意見ながら、

なにを今更

というのが率直な感想だ。遅い、遅すぎる。

また、ストによって逆に自分たちの存在価値を薄めてしまったような気もする。

実際のところ西武百貨店が閉まっていても何も困らないからだ。

反対側には東武があるし、電車で5分移動すれば新宿には伊勢丹もある。

哀しいかなこれが現実。

だが、冒頭でも述べた通り心情的には寂しい気持ちもある。

東京の北側で育った私としては、池袋は「最も身近なオシャレな街」であり、その象徴が西武百貨店であった。

高校生の頃、西武のポロ・ラルフローレンなどにはしょっちょう通ったし、女の子とデートする時にも、何となく「東武より西武」という感じだった。

そんな慣れ親しんだ光景がなくなるのは切ない。

しかし、儲かっていないのでは仕方がない。

実際、ここ数年、私自身もデパートで買い物などしていないので、今更「寂しい」などと言う権利もないし、金も使わず「そこに居て欲しい」などと言うのは何とも身勝手な話だろう。

 

なお、報道では「外資が伝統ある企業を安値で買い、切り売りして儲けている」という論調だが、フォートレスは不動産業界では割と有名な会社で、確かに米国の会社ではあるもののの、その親会社はソフトバンクだ。(但しソフトバンクもフォートレスをサウジアラビアの投資ファンドに売却する予定)

また、フォートレスは全国のホテルの再生やゴルフ場(アコーディアなど)の再生などで定評があり、私の知りうる限りでは、雇用とブランドを守りながら、事業価値を高めることに成功している印象だ。

決して「資産を切り売りして儲ける」というタイプの会社ではなく、じっくり腰を据えて再生に取り組んでいる。

その点からすると「良いところに買われたんじゃないの?」という気もする。

ここ数年で「池袋の顔」も激変するだろうが、何とか思い出の「池袋西武」が存続できるよう、微力ながら実際に「お金」を使いながら協力していきたい。

本日のコラムでした。

 

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9月 2nd, 2023 by