裏金作りより大事な政治家の仕事


感情的な話は抜きにして、今回の自民党派閥の裏金について述べたい。

まず大前提として「裏金」が必要なことは分かる。

あまり詳しくは書けないが、現代の日本でも裏金は飛び交っているからだ。

「いや、私の業界はそんなことはないよ」

そうおっしゃる方は、自分に縁がないので知らないだけか、知らないフリをしているだけだ。

私自身、IT業界、保険業界、不動産・建設業界を経験してきたが、どこの世界にも裏金の話はあったし、特に建設業界などはひどい。

どの業界でも力のある「キーパーソン」がいて、その人に便宜を図ってもらうためには裏でお金を渡すというのが一番効果的で、一番話が早い。

そして、数億、数十億円のお金が動く建設業界は必然的にその手の話が多い。

また多くの許認可権が絡む政治の世界なんて建設以上にドロドロしているだろうから、いまだに裏金が飛び交っているだろうし、どんな清廉な人物だったとしても、ライバルたちがやっている以上、自分だけががやらないというわけにはいかない。

つまり裏金は必要なのだ。

で、今回の方法だが、非常に理に適ったやり方だなとは思う。

パーティー券を売った「売上」も記載せず、裏でキックバックする「支出」も書かない。

手品のように裏金が出来る。

公式な証拠としてはパーティー券を買った法人・個人側に発行される領収書だけだが、そんなもの、そもそも発行しているかどうかも怪しいし、特に個人にはほとんど出していないだろう。

また政治資金収支報告書のルールではパーティー券については20万円以下は記載の必要がないので、領収書を発行していない個人や法人(事情を知った上で領収書なしで払っているような企業)からの「小口」の収入は政治資金収支報告書にも載らなければ、領収書もないので、支払った証拠ももらった証拠も残らない。

もちろん銀行口座などを通じてやりとりするようなバカな真似はせずに、秘書が現金を回収するのだろう。

ただし、各議員から派閥本部への送金などはどうしていたのかな?とは思う。

幹部クラスの大御所議員になれば結構な金額になるだろうから、それを現金で持ち歩くのは危険だ。

ああ、そうか。

「これは計上する」という分は銀行経由で送金し、あえて証拠を残す。

「これは裏金」という分は現金で運ぶ。

「7割は振込、3割は現金で持ってきて下さい。」

そんな感じなのかもしれない。

それらが派閥本部に集まり、貢献度に応じて現金で分配すれば「完璧な裏金」が出来上がる。

私が会計担当なら、こんな手順を踏む。

また裏金作りをしている議員本人の感情としても「何が悪いの?」というのが正直なところだろう。

自分の支援者から集金した金。派閥というより自分への応援だ。派閥に上納はするが一部は自分の活動費(表に出せない活動)として使う。

それが政治。

清濁併せ吞まなければ自分の信じる政治が出来ないんだ!!何が悪いんだ?

まあ、本音はこんなところだろう。

冒頭で述べた通り、感情を抜きにすれば一定の理解は出来る。

で、感情論。

ふざけんなよ、と。

我々にはインボイスなんていう超面倒臭いものを押し付けておいて、自分たちは裏金を作って、使う。

政治資金規正法違反だし、脱税だし、その裏金の使い道によっては贈収賄、選挙法違反の可能性もある。

一体何様のつもりなのか?

民間で裏金が発覚したら、そりゃもう大変な騒ぎになる。

警察、税務署が押しかけ、場合によってはその会社は潰れ、関係者は最悪刑務所だ。

で、裏金議員たちはどうなったのか?

「要職から更迭」

だそうだ。

ふざけんなよ、と。

取締役から平社員に降格されたくらいで許されるはずがない。

裏金が必要な事情は分かるが、バレたならけじめを取らないといけない。

逮捕者が出る。いや、立件は難しい。等々、様々な意見があるが、是非、ここは検察に頑張って欲しい。

インボイス、増税、物価高、低賃金。

今こそ人身御供が必要な時。

頂点から転げ落ち、それをもって国民の溜飲を下げる。

その姿を見せるのも政治家の重要な、超重要な仕事だ。

今こそ「仕事」をして欲しい。

本日のコラムでした。

 

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12月 10th, 2023 by