75歳以上医療保険料引き上げがもたらす我々の未来


一定以上の収入がある75歳以上(後期高齢者)

その医療保険料が段階的に上がる法案が可決された。

厚労省などの試算によると、年収に応じた金額は以下のようになるらしい。

 年収    現行保険料    増額分

153万円以下  14,300円    増額なし

200万円      82,100円      + 3,900円

400万円    205,600円   + 14,000円

1100万円  660,000円    +130,000円

また、これとは「別に」2年に一度保険料は見直しされており、これも毎回確実に上がっていくため、今後も負担は増えていくだろう。

なお、今回の増額保険料を、それぞれの年収で割り「負担率」を見るとこんな感じになる。

年収200万円     0.20%

年収400万円  0.35%

年収1100万円  1.18%

現役世代では年収に関係なく負担率は一定(40歳以下4.95%、40歳以上 5.725%:労使折半の個人負担分のみ。注:東京都の場合)だが、後期高齢者では税金の累進課税のように取得増加に伴い「率」そのもが上がっていく仕組みとなっている。

なお、今回、驚いたのは

「年収200万円でも増やすんだ・・・・」

ということ。

高齢者支持層に支えられている自民党政権にしては随分思い切った印象を持つ。

だが、これに先立ち昨年2022年10月から「一定以上の所得がある方」に対して、医療費の窓口負担も2割になっており、こちらも年収200万円以上(単身世帯の場合)が基準となっているので、今回の改正もそれに合わせた形だろう。

個人的な予測では、これらの施策は間違いなく「効く」

特に後者の「2割負担」は、病院によっては待合室が「地域の老人の憩いの場」のようになっているケースもあり、そのような安易な受診を防ぐという意味では効果はあるだろう。

2021年度の医療費は過去最高の44.2兆円

人口ボリュームの多い団塊の世代が後期高齢者入りしたことで、今後もハイペースで増えていくと予想されており「改革待ったなし」ということだ。

また、団塊の世代は日本経済が最も良い時期にビジネス人生を送っていることから、退職金や厚生年金などの年金額も多く、今回の「2割負担」+「保険料増額」に該当する方が多いのではないか?(試算では後期高齢者の4割が負担増となるようだ)

その点「持っている人は相応の負担をする。」という社会保険の理念からすれば、ごくごく当然な改正と言える。

だが、自身の将来を考えると、多少憂鬱にはなる。

「老人になれば医療費は1割」

これは我々世代が子供のころから刷り込まれてきたもので、ここにきてその想定が瓦解してしまった。

正直な話、今回の改正も「良くやったな」とは思いながらも「焼け石に水」でもある。

現役世代が年収に関係なく3割負担をしていることを考えれば、今後、高齢者でも2.5割負担、3割負担とするのが「筋」であり、それも時間の問題だろう。

と、同時に今回のことで、自民党が大敗するとは思えないので

「保険料上げても意外と文句出ないな」

ということを永田町のセンセー達(と厚労省)が知ってしまえば、これからも保険料は上がり続ける。

そうなると、我々の世代(40代)や今の若い世代は

「一生3割負担」

「老後も高額の保険料負担」

を強いられる可能性が高いだろう。(と言うか、そうなるしかない)

ネットの論調を見ると「優遇され過ぎている高齢者から取れ!!」とばかりに、今回の改正に拍手喝采している方が多いが、実はそれは将来の自分たちに向けられた「見えざる手」でもあるのだ。

このブログでも度々言っているが、年金額が減ることはないものの、上がることもないので、長期間のインフレによって相対的な年金の価値は低下する。

対して徴収系(窓口3割負担、保険料増額)は上がり続ける。

いよいよもって国はあてにならない

改めてそう痛感している。

本日のコラムでした。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします


5月 12th, 2023 by