五公五民は本当か?検証してみた


最近流行りの言葉。

五公五民

江戸時代の農民の徴収ルールで、穫れた米の50%を年貢として納め、残り50%を自分のものとすることが出来ることを表している。

しかし、五公五民では生活はかなり厳しく、これより年貢を増やし「六公四民」などにすると一揆などが多発する。

で、現代。

財務省が公表している「国民負担率」という数値が今年度47.5%となり、江戸時代の五公五民が、再び現実のものとなっているそうだ。

そうだ。とやや曖昧な言い方をしているのは、正直な実感として「そんなことあるかね?」という気がするから。

いくら何でも5割も取られているような気はしない。(余程の高年収者は別にして)

では実際にはどうなのだろうか?

本稿でそれを検証してみたい。

年収500万円、700万円、1,000万円の3パターンでやってみた。

なお、前提条件としては以下の設定を用いている。

・夫、妻、子供ありの家族構成

・妻はパートで100万円/年程度の収入、この年収は今回のシミレーションには含めない(ご主人の年収のみ)が、配偶者控除は適用(年収によって変動する)

・子、親などの扶養控除はなし 

・その他控除(生命保険料控除など)は年10万円とする

・持ち家、住宅ローンは年収の20%、固定資産税は年収の2%とする

マイカー所有、自動車税は年5万円、ガソリンを月2万円(年間24万円)使用

・年間貯蓄率は年収の5%。それ以外は生活費、教育費などで全額使用しているものとする

まず、可処分所得と、生活費・教育費などを表にしてみた。(単位:万円)

かなりザックリとした数字ではあるが、何にどれくらいお金が消えているのかは分かる。

例えば年収500万円の場合、年収の15%、75万円は社会保険料として天引きされる。

また、先に挙げた条件で税金を計算すると、おおよそ28万円程度。

可処分所得は397万円で、手取り率は79.4%となる。

そこから住宅ローン、貯蓄を除くと残りは272万円。

これが生活費や教育費、レジャー費用ということになる。

年収が750万円、1,000万円と上がれば、当然、各数字も上がる。

で次に国に取られるお金(社会保険、税金)に焦点を当ててみたグラフが以下。

社会保険料、所得税、住民税は分かりやすいが、実は生活をしていて、意識せずに取られている税金も多い。

ここでは固定資産税、自動車税、ガソリン税(ガソリン代のおおよそ30%)、そして消費税(生活費の10%)を挙げた。

実際にはもっと他(酒税とかタバコ税とか)にもあるが、そこまで大きな金額ではないのでここでは取り上げない。

ざっと見ると、年収500万円で社会保険料や税金の負担率は26.4%、750万円で33.5%、1000万円で36.1%となっている。

年収1,000万円ではやや「四公六民」に近いが、それでも五公五民まではいかない。

しかし、財務省の国民負担率は実際に47.5%とある。

何故か?

実はこれ、法人税や会社負担の社会保険料なども含まれているからだ。

企業を「個人の集合体」としてとらえれば、社員1,000人で法人税を10億円納めている法人では、社員1人あたり100万円を納税していることになる。

社会保険料も労使折半で法人も各社員の年収の約15%ほどを負担しているが、これも結局は社員全員で稼いだお金から払っているものなので、突き詰められ個人で負担しているのと同じ。

それらが「上乗せ」されると平均47.5%となるのだろう。

年収が高い人は既に六公四民か、それ以上になっていると思われる。

なお、財務省の資料を見ると、日本の国民負担率は国際的には「真ん中あたり」にランキングされているそうだ。

高福祉国家として有名なフランス(69.9%)や、フィンランド(59.7%)などは、日本より高いことが分かる。

個人的には、日本の社会保障こそ「世界一」手厚いと思っているので(医療面などではフランスやフィンランドより上)、それが47.5%で使えているなら

「上手くやりくりしてるんじゃないの?」

とも思う。

だが、もう一つ気になる数字がある。

財政赤字も含めた「国民負担率」だ。

これも財務省から公表されており、近年では60%を超えている。

何のことはない。

目に見えない借金だから危機感はないが、既に我々は「六公四民」の世界にいるのだ。

しかし、それも限界に達し、今後はガチリアルな「六公四民」になるだろう。

もう一揆でも起こすしかないか?

本日のコラムでした。

 

 

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7月 8th, 2023 by