損保激震!!カルテル発生!!エースとおじさんのオアシス「企業代理店」


これを書いたら消されるかもしれない・・・・

まあ、いいか。うちには関係のない話だから。

損害保険業界が揺れている。

ビックモーターに始まり、次に出てきたのは企業向けの保険料カルテル。

東急グループや京成電鉄、成田空港などに提供する保険において、大手4社で事前に保険料を「調整」していたことが発覚した。

やり玉に上がっているのは「共同保険」というもので、その名の通り複数の損害保険会社が「共同」で保険を提供するものだ。

先に挙げたようなインフラ系の企業は、建物や線路、滑走路、車両など膨大な「資産」を保有している。

このような規模になると、それぞれの資産に個別に保険をかけるより「全体」に保険をかけた方が効率的で、かつ保険料も安くなる。

しかし、あまりにも資産総額が大きいため、1社の損害保険会社だけで引き受けきれないのである。

仮に大きな災害などが来て、何百億円、何千億円という保険金支払いが発生した場合、その保険会社が吹っ飛んでしまう可能性があるからだ。

そのため、これらの超大型の保険は複数社が「共同」で引き受ける。

幹事  A社 50%
非幹事 B社 30%
非幹事 C社 20%

こんな具合だ。

まさに呉越同舟で、全ての保険会社が一蓮托生の運命となる。

実際にこのような案件を担当していた方から話を聞いたことがあるが、本来ならライバルであるずの各社の担当者間には奇妙な「連帯感」があるそうで、その案件から外れても、会社の垣根を超え「情報交換」的な飲み会をしているようなことも言っていた。

なお、これくらいの大型案件を担当する者は、各社30代後半から40代後半くらいのバリバリのエース級社員であり、この案件を卒業した後、お互いがそれぞれの会社で幹部となっていくので、人脈的な価値もあるのだろう。

まず、この関係性の中でカルテルが発生しやすい。

「皆で上手くやろうぜ」

という雰囲気の中、各社自社のシェアを守りつつ利益を確保したいというバイアスがある。

次に「企業代理店」の存在がある。

大企業ともなると、その傘下の子会社に必ず保険代理店がある。

そのグループの保険を一手に引き受け、手数料を得るのだが、とにかく契約の量が半端ではないので、手数料もかなり入ってくる。

しかも一切営業する必要がなく、ほぼ自動的に契約が発生するのだから、こんな楽な仕事はない。

そのため、ここには本体の出世コースから外れた「おじさん」たちが片道切符で出向していることが多い。

だが、このようなおじさん達には保険の実務がわからない。

そのため、実務は保険会社側で出世コースから外れた「おじさん」が担当するのだ。(企業代理店でも保険会社の出向者を受け入れないところもある)

企業、保険会社、双方の「上がりおじさん」達のオアシス。

それが企業代理店の実情と言える。

保険会社側はエース級の担当者が来て、対応する企業代理店側は「先輩おじさん」という構図となり、このあたりは官僚の天下りに近い。

忘年会だ、新年会だ、納涼会だ、と事あるごとに飲み会があり

「昔はああだった、こうだった」

などといういうありがたいお話を、先輩からお聞きする現役。

支払いは保険会社持ち。

そうなると、もうルールもへったくれもない。

このような関係の中で、自然発生的にカルテルが形成されていく。

また、多少保険料が高くなっても、結局は「手数料」という形で企業代理店側に返還されるわけだから、企業側も「全体」で考えれば損はしていない。

そういう意味では、関係者全員「一体何が悪いのか?」というのが率直な感想だろう。

今回、金融庁と公正取引委員会が各社に対して実態の報告を求めているが、正直なところ似たような話は山のようにある。

そんな実情は金融庁も公正取引委員会も重々承知していると思うのだが、まさか企業代理店の存在や、そこへの出向を禁ずるわけにもいかないだろうし、うーん、どのあたりを落とし所にするつもりなのだろうか・・・・

なお、冒頭でも書いた通り、このような大きな案件、弊社には縁がない。

カルテルなど声がかかるわけもなく、常にガチンコで勝負している。

その立場から言えば、生ぬるい環境で「保険」を弄んでいる輩が痛い目を見るのは、少々小気味よくもある。

もちろんこれは嫉妬ではない。

断じて嫉妬などではない。

本日のコラムでした。

 

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8月 8th, 2023 by