おのれ新NISAめぇ~


新NISAが始まった。

それに伴い年末から貯蓄系の保険の解約依頼が相次いでいる。

「長らく保険で積み立ててきたのですが、保険のお金を新NISAで投資に充てようかと思いまして」

なるほど。なるほど。それも良い選択でしょう。

だが、理由は何であれ解約というのはお客様との縁が切れることでもあり、一抹の寂しさはある。

このような場面。ポリシーとして、

解約を引き留めることはしない

と決めている。

お客様の資産であり、どのように使うかは当然ながらお客様が決めること。

口を出すのもおこがましいし、第一、引き留めなど、逆の立場でやられたら鬱陶しいこと極まりないからだ。

「解約を検討しているのですが、どう思いますか?」と問われれば多少のアドバイスはするが、そうでなければ迅速に解約の手続きを進めるようにしている。

また、弊社のような小さな会社でも「新NISAきっかけ」の解約が増えているのだから、保険業界全体で見れば、莫大な金額が「流出」しているのだろう。

新NISAの裏側では、堅実型の生保+銀行 vs 証券との壮絶な戦いが繰り広げられているのである。

なお、ここまでの話で勘違いして欲しくないのだが、私自身はお客様に株式投資(投資信託も含め)を推奨している。

新NISAも最大限利用した方が良いという考えだ。

しかしながら、昨今の新NISAブームにはいささか眉唾的ないかがわしさを感じずにはいられない。

と言うのも、最近株を始めた方の大半が「本当の暴落」を知らないから。

株は下がる時には下がる。

それが「大暴落」となると、半端じゃなく下がる。

私自身、株の投資歴は20年を超えているが、その中でもITバブル崩壊、リーマンショックを経験しており、その都度、肝を冷やした。

ITショックの時には、当時IT業界にもいたので、色々と噂レベルの話が入ってきて、今考えれば完全に誤った投資方針だが、それらの低レベルの情報を真に受けて色々な銘柄を買っていた。

結果、大損。

当時は24,5歳で、金もない中やっていたので、気分としては「全財産を失った・・・」という感じ。

また、リーマンの頃には外資系生保に移っていて、そこそこお金もあったので、ここでもそれなりの金額を失った。

「株、やっぱり怖ぇ・・・・」

それが率直な感想だ。

また、リーマンの傷が「半端じゃなかった」ため、以来どこの国もかなり無理をして株価を維持している(特に日本)。それが今の状態でもある。

それを知っているからこそ「インフレに勝つには投資!!新NISAを!!」という政府の旗振りには、少々斜に構えてしまうのかもしれない。

と、言っているそばから年初より株は高騰し、連日、最高値を更新している。

おそらく新NISAの資金が流入したことも要因の一つだろうが、ここまで株価を上げるとは恐るべし新NISA。

そして真に恐るべきは「右向け右」の国民性とも言える。

新NISAは利益が出ても税金がかからないということだけであって、利益が確定しているものではないのだが、なんとなく皆がウハウハの未来を想像しているようで、何度か市場の「牙」を経験している私からすると、

「そんな甘いものじゃねーぜ・・・」

などと思ってしまう。

いや、これもあれも保険業界側から見た証券業界への嫉妬か・・・

なんにせよ運用にはリスクが付き物であり、どんな世界でもそうだが楽に儲ける方法はない。

勝っている人は、やはり「勉強、分析、反省」等々、やることをやっているのだ。

新NISAのブームに踊らされて大損こかないよう、各々くれぐれもしっかりと覚悟をして市場に臨んで頂きたい。

そう願ってやまない本日のコラムでした。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします


1月 21st, 2024 by