週末に学ぶマイナス金利政策


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日銀による国債の買い取り、量的、質的緩和。そして昨日のマイナス金利。

お客様から「これって結局何なの?どういう効果があるの?」と聞かれ、

難しいこと聞かないでくれよ。。。。

と内心焦りますが、一応は金融業界に身をおく者。

今回は僭越ながら、これまでの日銀の政策とマイナス金利について解説致します。

昨夜お客様と行ったガールズバーの女子大生(misonoさんをだいぶぽっちゃりさせたような自称経済学部生)でも理解していたので、分かりやすいと自負しています。

まず日銀の目的ですがこれはズバリ「デフレ脱却」です。

物価上昇率2%を目指しています。

日銀の黒田総裁は今日100円で買えるキャベツを来年の今頃には102円にしたいわけです。

しかしこれが難しい。

国民全員が「デフレはダメだよね。やっぱり緩いインフレでないと」と思っていても、目の前のキャベツが102円になるのは嫌なのです。隣のスーパーで100円で売っていれば当然それを買います。

景気を上向いて経済が成長し、物価が上がる。皆が期待していることなのに、各個人の肌感覚では「嫌なこと」

この日本人の心理と黒田総裁は戦っています。



まずは世の中にお金をジャブジャブと流す作戦をとりました。

これが「日銀による国債の買い取り」です。

金融機関が保有する国債という紙切れを現金にかえることで、お金を多く流通させようとしました。

お金が大量に出回れば、企業は資金調達がしやすくなる。
色々と投資をする。
お金がまわる。
お金がまわれば景気が良くなる。
景気が良くなって会社が儲かれば社員の給料が増える。
給料が増えれば消費が増える。
そうすれば物価が上がる。

非常に単純な作戦ですが、過去にアメリカやヨーロッパはこの手で乗り切ってきたので、効果は実証済みです。

しかし今まで流通していたお金の総量が100だとすると、一気に150から200くらいに増やすことになります。

多くの投資家が「日本円が急激に増える。。。。価値が目減りする」と思って円が売られました。

黒田総裁がこの作戦を発表した2013年3月。その頃から円が急落し、1ドル80円から一気に100円を超えたのはこのためです。

日銀が買い取る「国債」は日本政府が発行する債券で、国の借金です。

ちなみに国債を日銀が発行している、と勘違いしている人が意外と多いですが、あくまで日本政府です。これは大事なポイントです。(後述します)

最も一般的と言われる10年物国債であれば10万円の国債が10年後に10万5,000円くらいになります。10年間で5000円儲かるわけです。

ちなみに日本国債の場合、90%は銀行や生命保険会社が保有しています。

これを日銀が買い取ってお金を渡すわけです。

しかもかなり良い条件で買い取ります。

銀行や海外の投資家はどんどん日銀に手持ちの国債を売ります。儲かるからです。

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ではそれらのお金は世の中に回ったのでしょうか?

株や不動産が上がったという感じはありますが、ほとんどの方には実感がありません。

日銀が買い取った国債の総額は360兆円。国の税収が56兆円ですからね。もの凄い量です。

これだけ爆発的に増えたはずの「360兆円」はどこに行ってしまったのか?

安心して下さい。ちゃんとあります。

日銀に

なんじゃそりゃ!!という話ですが、本当です。

少々ややこしい話ですが、銀行の銀行である日銀には各銀行が口座を持っています。(日銀が銀行向けに用意する日銀当座預金と言います。)

これは「民間銀行はお客様から預かった預金の一定の割合を日銀に置いておく」という法律があり、そのための口座です。各銀行が日銀に担保としてお金を預けているのです。

今回の国債の売買代金もこの口座に入りますが、この残高の増加が半端じゃないのです。

2012年ごろにはせいぜい40兆円くらいだったのが、2015年12月には230兆円を超えました。2015年の1月時点で162兆円ですから、1年で70兆円も増えたことになります。

各銀行は国債を売ったけど、その代金は日銀の自分の口座に入れっぱなしにしているわけです。

つまり、日銀の中でグルグルまわっていただけで「世の中にお金は回っていない」ということです。

そこにきて中国経済の減速や原油安の影響などで、景気の先行きが怪しくなってきました。



それで今回のマイナス金利です。

黒田総裁の気持ちを代弁すると

「お前ら(銀行)、金を外で使え!!うち(日銀)の口座に入れっぱなしにしてたら、マイナス金利で減らすぞ!!この野郎!!」

kuroda

というところでしょう。

かなり強引なやり方ですが、それなりに理に適っているわけです。

なお、このマイナス金利も昨年からヨーロッパの一部の国でやっている方法です。

黒田バズーカーなどと言われ、あたかもオリジナルな政策のように感じますが、実は「ヨーロッパでやっていることをちょっと遅れてやっているだけ」という指摘もあります。

ちなみに日銀が買い取った国債。満期になれば日本政府がお金を返してくれるはずですが、お金をジャブジャブにしよう!!と言っているのに日銀が政府のお金を吸い上げてしまっては元も子もありません。

なので、これも日銀しか使えない凄技「日銀乗換」で乗り切っています。

満期が来た国債を新しい国債に切り替えてしまうという大技です。

これにより、現在、日本政府は国債の支払いや利払いに応じなくて良いという状況が発生しています。

日本政府は日本銀行の55%の株主。

会社で言えば本体の負債を子会社に飛ばしているような状況で、民間企業で言えば大事件ですが、国レベルになるとこれを「政策」と呼ぶのです。



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1月 30th, 2016 by