羊飼いの少年が「狼が来た!」と嘘をついて騒ぎを起こす。
だまされた大人たちは武器を持って出てくるが、徒労に終わる。
少年が繰り返し同じ嘘をついたので、本当に狼が現れた時には大人たちは信用せず、誰も助けに来なかった。そして村の羊は全て狼に食べられてしまう。(少年自身が食べられてしまった、というバージョンもある)
wikipediaより抜粋
イソップ童話の一つ「嘘をつく少年」
通称、狼少年として知られている。
過去、現在、子供たちに
「嘘をつくことがどれほど人の信用を失うか?」
ということを表すエピソードとして、多くの大人たちが語り聞かせてきた話である。
しかし将来、この話の狼は「マンボウ」に置き換えられているかもしれない・・・・
と言うことで、また「マンボウ(まん延防止等重点措置)」が来るらしい。
今回ばかりは「流石に安易すぎるだろう?・・・」という批判的なコメントが目立つが、それでも世論調査などを見ると「マンボウは適切だ」と回答した人が半分近くに上っており、国民の声としては意見が拮抗している。
まさに「稲川淳二状態」で「怖いなぁ、怖いなぁ」という感じであるが、怖い、と痛い、にはその大きさを表す単位がない。
相対的な比較が出来ないのだから、怖がっている人に「怖くない!!」と論理的に説明する術はなく、この点で議論をしても無駄だろう。
だがそれでも、過去のマンボウや緊急事態宣言の時には、国民の8割とか7割が賛成していたので、それに比べればかなりの人が「マンボウ」にビビらなくなってきたということ。
こちらは明確な数字なので分かりやすい。
そして、よる具体的に出ている数字としては、以下の東京都の情報がある。
東京都の新型コロナウィルス感染症対策サイト
「注目の指標」2022年1月18日の病床使用率等
確保病床数 6,919床
入院患者数 1,616名
病床使用率 23.4%
重症者病床数 510床
重症者数 7人
重症病床使用率 1.4%
1400万人が住む東京で、1,616名(0.01%:1万に1人)の入院患者と、重症者数7人、重症病床の使用率は1.4%という「数字」
なお、入院患者や重症者の年齢構成や基礎疾患の有無など、
「それが重要では?」
という情報は一切公表されていない。
私自身、オミクロン株というものが危ないのか、危なくないのか、重めの風邪と同じなのか?等々については專門家でもないので分からない。(近頃はこの「専門家」も随分軽くなったが)
だが、先の数字だけを見れば、経済活動を止め、多額の協力金をばら撒くという重大決定の根拠は
「入院1600人、重症者7人」
ということになり、だとするならマンボウというのは随分軽いものなのだなと呆れてしまう。
また、話は少々横道に逸れるが、協力金について「小規模飲食焼け太り!!」という、無駄に対立を煽るだけの批判にも、もうウンザリ・・・
店を閉めろ!!と言われているのだから、何かしらの補償を受取るのは当然で、飲食業側には何の責任もない。
それに前回の緊急事態宣言明けから、旧知の飲食店にも随分顔を出したが、どの店主も皆生き生きとしていて「補助金を貰えたとしても、自分の力が発揮出来ないのは辛い」と口を揃えていた。
仕事は金だけのためにやっているわけではない。
せっかくなまっていた身体が慣れてきたのに、また時短、休業か・・・
ため息をついている経営者、スタッフも多いのではないか?
とは言え「また」マンボウが来る。
さて、街はどうなるだろうか?
個人的な予想では、前回よりかなり緩むと思う。
飲食店も堂々と営業するところも増えるだろうし、夜遅くまで飲み歩く人もいるだろう。
だが、これが一番怖い。
「慣れ」だ。
脅しは何度も使えない。
仕事柄、色々な会社にお邪魔するが、ちょっとした危機に「このままじゃ倒産だ!!」と騒ぐタイプの経営者も結構いて、毎回社内で大騒ぎするので、何度目かにもなると、社員からも「また社長の持病が始まった」などと言われる始末。
本当の危機の時に、社員と危機感を共有出来ず大苦戦。
そんなことが日本で起こらないとは限らない。
再び強烈な新型コロナの変種が生まれるのか、それとも新たなウィルスか。
次の「リアルな危機」がどんなものかは知る術はないが、それでもいつかは間違いなく来る。
そんな時、軽くなりすぎたマンボウや緊急事態宣言に耳を貸す人がどれほどいるのか?
今回のマンボウで「怖がり淳二」が国民の半分くらいはいることは分かったが(そのことが分かったのが今回のマンボウの最大の成果かもしれない)、次回以降、もう半分は素直には聞かないだろう。
昔々、ある村にユリコという少女がおりました。
少女は皆の注目を集めるために、
「マンボウが来たぞぉ!!」
と・・・・
伝家の宝刀は抜かぬからこそ凄みが宿る。
それを「軽く」した罪は軽くない。
本日のコラムでした。
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