まあ、そりゃそうなるよね・・・
1ドルが127円を超えた。
原因は色々あるが、一番大きいのは日米の金利差だろう。
日米の金利差は2.5%、そしてアメリカは今後も利上げしていくので、その差はどんどん開いていく。
誰がどう考えたって日本円で持っているより、米ドルに換金して高金利を得た方が良い。
コロナで世界中の中央銀行がゼロ金利政策を実施した結果、投資家は「利回り」に飢えており、そこにきての米ドルの利上げは、砂漠にオアシス、
男子校にエロ本である。
皆がこぞってドルを欲しがれば、相対的に円は下がる。
各種の経済ニュースを見ても「このままではほぼ確実に130円を超える」とあり、私もそう思う。
実際、弊社のお客様で富裕層と言われている方々も早々に、資産をドル債権に振り分けており、しばらくはこの動きは止まらないだろう。
そうなると、気になるのは日本への波及だ。
毎日、ニュースでじゃんじゃんやっているので、今更私が言うようなことではないが、円安によって輸入品が高くなる。
ガソリン、ガス、食品、何もかも高くなるだろう。
そのため、企業側もその分を転嫁するために値上げせざるをえないが、これはあくまで仕入れ分だけなので、利益が増えるわけでもない。
つまり、値上げてして売上が増加しても、その企業に勤務する方々の給与には反映されないだろうから、
給料は上がらないわ、物は高くなるわ、ふざけるなよ!!
となり、ますます消費者の行動は冷え込む。
そして、一番心配なのが長期金利。
既に上がり始めている。
日銀がやっきになって抑えにかかってはいるが、今後どうなるか?
ちなみに、よくこんな質問を受ける。
「長期金利が10年国債の利回りに連動していることは知っているが、今の国債は発行時に利回りが固定されているはず。それなのに何で長期金利が上下するの?」
その理由は、国債の単価が落ちるから。
例えば現在の国債の新規発行の利回りは0.2%程度だが、ある日、0.5%の国債が発行されたとしよう。(実際にはあり得ないが、あくまで仮想の話として)
そうなると、0.2%の国債を持っている投資家はこう考える。
「これ売って、0.5%国債に買い替えた方が良くね?」
だが、この状況で0.2%国債を買うバカはいない。だって0.5%で売ってるんだんから。
そのため、国債そのものの価格を下げないと売れない。
ちょっと計算してみよう。
手持ちの国債:10年国債 利回り0.2%
額面:100万円
残存期間:5年
100万円で買ったこの国債は、利回りが0.2%なので、毎年2,000円の利益がある。
(実際には利払いは年2回なので、1,000円が2回払われる)
そして、10年国債だが残存期間が5年なので、つまり、買ってから5年経過しており、あと5年で償還され、その時に国債は現金100万円と引き換えて貰える。
今後、5年間で得られる利益は、2,000円×5回=1万円ということになる。
対して、同じ100万円で0.5%国債を買えば、5年間で5,000円×5回=2.5万円を得られる。
その差額は1.5万円。
そのため、額面100万円の国債を98.5万円で売買すれば、条件はトントンになる。
だが、トントンでは誰も買わないので、もう少し安くする(98万円とか)必要があるだろう。
このような国債は市場で日々売り買いされているので、投資家が
「なんか今後金利上がりそうだな・・・今のうちに手持ちの国債を現金化しておこう」
と考えれば、多少安くなっても国債を売る。
売り手が増えれば国債の価格は落ちるので、その分、利回りは良くなる。
100万円で2,000円より、98万円で2,000円の方が利回りは上がる。
長期金利=10年国債の利回り
なので、結果、金利が上がる。
これが長期金利が上下する理由。
で、これが過去72日間の推移。

1月頭には0.075%だったものが、直近0.25%まで3倍強に急上昇。
個人的には「結構怖くない?・・・・」というのが感想だ。
先程の例では、0.2%と0.5%という2つの日本国債を対比して説明したが、実際には日本国債はアメリカ国債など、他の国の国債とも比較され価格が決まる。
そのため、アメリカの利上げを見込んで、年初から日本の国債の利回りも上昇(国債単体の価格は下落)
流石に日銀もこれを看過出来ず、
「分かった!!もう良いから手持ちの国債持ってこい!!市場で売るより良い条件で買ってやるから!!」
と宣言した。(これを「指し値オペ」と言う)
要は、市場の自由売買を半ば強制的に止めて、日銀が「全部、吸い込んじゃう」という荒業。
だが、それでも下がらない・・・・
でも、打つ手ないよね。
今後、アメリカはどんどん利上げする。
日本の金利も上がる(国債の価格が下がる)
しかし、それを放置すれば住宅ローンの変動金利などが上がり、国内には怨嗟の声があふれる。
自民党ビビる。
日銀に「何とかしろ!!」と言って、日銀、無制限に国債を買う。
結果、金利は低いままに維持出来るかもしれないが(出来ないんじゃないか?という気もするけど)、そうなれば余計に日米の金利差が広がる。
より一層の円安になる。
輸入コスト増大で国民と企業は大打撃・・・
自民党ビビる。
うーん「もう詰んでない?」と思うのは私だけだろうか。
余談ながら、弊社はドル建保険の契約も多いので、お客様には今のところ喜んで頂いてはいる。
本日のコラムでした。
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