子供の勉強、親の介護、家族間のイライラを鎮める方法


「何でそんなことが分からないの!!これが分からないことが、分からないわよ!!」

こうして文字に起こしてみると、まるで早口言葉のようでもある。

そして実際、まくし立てるような「早口」で、妻はこのフレーズを娘に投げつける。

売り言葉に買い言葉。

「何で分からないんだ!って言われたって、分かんないもんは分かんないんだよ!!

娘がそう応じる。

母娘のそんなやり取りを横で聞いていると、兎にも角にも「分からない」のだということだけは、よく分かる。

こんな時こそ父の出番だろう。

「まあまあ、2人ともそんな熱くならずに。どれ?何が分からなのかな?お父さんが見てあげよう」

しかし10分後。

「お前、今まで何勉強してきたんだよ!!これが分からないなら、この問題なんて分かるはずねーだろ!!」

そこには絶叫する父がいた。

「分からない」の連鎖は止まらない・・・

とにかく、我が子の勉強を見るのはイライラする。

同じことは介護でも言える。

うちの父は既に他界しているが、亡くなるまで約10年間、認知症で介護生活であった。

ある時「大きな風呂に入りたい」と言うので、近場の温泉に連れて行ったのだが、ヨボヨボして危なっかしいので、私が一緒に入り、背中を流し、頭を洗う。

子供の頃見た父の大きな背中。それがこんなに小さく・・・

そう思うと寂しくもあった。

その後、私自身が体を洗うため「風呂に入って待ってて」と告げたのだが、頭を洗って湯船に目をやると、そこに父はいない。

あれ?と思い、脱衣所に戻ると、何故か脱衣所にある洗面所のハンドソープで自らの頭を洗い、泡だらけになっていた。

周りのお客さんはドン引き。

仕方がないので、再び風呂場に戻り頭を流し、今度は一緒に脱衣所に戻る。

しかしちょっと目を話すと、また洗面所で頭を洗おうとするではないか。

無限ループかよ!!一生出れないよ!!いい加減にしろよ!!

思わず怒鳴っていた・・・

子の勉強と、親の介護。

家族間の仕事として、この2つはイライラの双璧をなしている。

家族だけに甘えもあり、怒りをストレートにぶつけてしまう。

そんな時、ある本に出会った。

アービンジャー・インスティチュート著

自分の小さな「箱」から脱出する方法

その本の中、こんな一文が私の心をうった。

「人は自分がするべきことをしなかった時、他者に怒りをぶつける」

その本の中では、実例としてこんな話が描かれていた。

ある時、夫が仕事で遅くなり帰宅すると、家に帰ると家族は既に寝ていた。

しかし、台所には洗っていない大量の食器。

「俺は仕事で疲れてるのに、皿も洗ってないのか!!」

妻に対して、強い怒りを覚える。

が、一歩引いて冷静に考えれば、妻にも事情がある。

子供の相手で疲れきって、寝かしつけている間に自分もついウトウト。

後で洗わないと。そう思っていた食器がそのままになってしまった。

このような時、本来であれば夫が後片付けをすれば良い。

次の日、妻もそのことに感謝し、皆がハッピーに。

何をするべきか?

心の奥底で正解を知っているのである。

だが、自分も疲れているし、そもそも面倒臭い。

その瞬間、責任転嫁が始まる。

「これは俺の仕事じゃない!!食器くらい妻が洗うべきだ!!」

自分がする「べき」ことをしなかった言い訳が、他者を責める「べき」となる。

私だってそう。

子供が「分からない」というなら、自分もその目線までおりて、分かるまで一緒に考える「べき」

父の風呂も常に一緒に介助する「べき」だし、病気なのだから、妙な行動をしたとしても、それを許容し、優しく接する「べき」なのだ。

何が正解かは知っているはず。

本来じぶんがやることをせずに、その怒りを子供と老人にぶつける最低男。

まあ、そうは言ってもねー

腹が立つものは腹が立つんだよねー

残念ながら、私はそこまで人間が出来ていない。

むしろ先の「理論」を知り、それを理解した上で怒っている。

これは八つ当たりなのだ!!と。

でも家族ってそんなもんだろ?と。

そう開き直っているから質が悪い。

まあ、将来、自分が老人になったら子供たちに怒られるんだろうね・・・

本日のコラムでした。

 

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5月 13th, 2022 by