数字で見る異次元の少子化対策&やって欲しいこと・・・


異次元の少子化対策。

4月1日、その政策の中心を担うこども家庭庁が4.8兆円の予算で発足した。

どこか異次元なんだ?

子育てなめてるんじゃないの?

等々、批判が渦巻いているが、それでも少子化に対して具体的なアクションを起こしたことは素直に素晴らしいことだと思う。

今のところ議題になっている施策は以下のようなところ。

1 児童手当の所得制限撤廃 & 増額

2 学童保育や産後ケアなどの支援拡充

3 育休中に支給される育児休業給付金を現行の67%から80%へ引き上げ

4 給食費の無償化

5 18歳までの医療費無償化

6 大学学費の無償化、返済不要の奨学金制度など

だが、これらの施策、当然ながら「やりやすさ」は異なる。

それを整理する意味でも、それぞれに必要な予算を見てみよう。
(予算は各メディアなどの予想から抜粋。色々な推測があるのでやや不正確ではあるが、あくまで規模感を知る意味で提示する)

1 児童手当の所得制限撤廃 1,500億円

増額 いくら増額するか?にもよるが自民党内で議論されている

第二子3万円 第三子6万円案の場合 +3兆円程度

2 学童保育、産後ケア 内容未確定のためまだ予算の話にならず(だが数千億レベルだろう)

3 育児休業給付金引き上げ 1,400億円

4 給食費無償化 4,800億円

5 医療費無償化 5,000億円

6 大学無償化 3兆円(全額無償化の場合)

一口に少子化対策と言っても、数千億円で出来ることと、兆円単位になるものが混在しており、例えば児童手当の所得制限撤廃(1,500億円)などは比較的やりやすいが、それが増額となると3兆円の予算を要するので、一気に難易度が上がる。

その意味では1の所得制限撤廃(増額なし)から5の医療費無償化までは、合計しても1.5兆円くらい(3の学童、産後ケアを2,000億円程度とする)なので、

「やってやれないことはないかな」

という感じ。

だが、少子化対策の駒としてはやや弱い。

やはり、分母が多い児童手当の増額(3兆円)と、大学無償化(同じく3兆円)が「飛車・角」級であり、ここにどれほど踏み込めるか?が「異次元」か「否か」という評価に繋がるような気がする。

FPの立場で言えば、医療費や給食費を気にしているような家庭は多くはないし、育児休業も現行の67%で文句を言っているような人は少ない(もちろん増えるに越したことはないが)

そのため、これらのことよりは、やはり目先の現金(児童手当)と将来の不安(大学の費用)を解決してあげれば、子供を産む、育てるという心理的なハードルを下がるだろう。

だが、今回の異次元の少子化対策、個人的にはある視点が欠けていると思う。

それは「恋愛」だ。

ご存知の方も多いだろうが、そもそも婚姻数が激減しており、2022年は50万組を何とか維持したものの、今後更に減少する見込み。

出生数が80万人を切った!!と大騒ぎしているが、それはあくまでアウトプットの話であり、「入口」の婚姻数が50万組(女性50万人)では、現在の出生率1.36を掛け算しても68万人でしかない。

80万人どころから、これからは70万人を維持することも難しくなるのである。

婚姻数減少の理由はコロナ。

コロナ禍で若者同士の出会いが無くなっている。

平均4年の交際期間を経て結婚するということがデータにも表れているので、現在結婚している人たちの大半はコロナ前から交際がスタートしていたカップルだと想定出来る。

つまり、コロナ禍の3年間、ほとんど「種まき」をしていないので、2024年以降は婚姻数が激減すると予測されているのである。

結婚しなければ子供は生まれない。
注:「婚外子だっているじゃないか!!」という批判もあるが、あくまで日本の一般論としての話なので、あまり神経質にならないで頂きたい。

ここを手当しないと本質的には少子化は解決しないのではないか?

もちろん国や行政が「恋愛」という超個人的なプライバシーに立ち入るのは、かなり困難だと思うが一時期流行った行政主導の街コンや、例えばあまり利用されていない公園などの一角に、出会いを求める地域の若い人が集まれる場所(バーべキュー場なのか、バーなのかは分からないが)などを作っても良い。

「その発想がおっさんだよ」

そう突っ込まれそうだが、それでも「出会い」をアレンジするような動きこそ、本質的に求められていることだ。

近未来を見れば、異次元の少子化対策より、異次元の「出会い対策」の方が重要なのかもしれない。

若者よ!!恋をしろ!!

本日のコラムでした。

 

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4月 23rd, 2023 by